歴史的にホビットは、闇の森と霧ふり山脈
の間にある大河アンドゥインの谷間で始まったことが知られている。『指輪物語』によると、かれらがどのように人類の一部と関係したかという系図上の詳細は失われた。当時、異なる気質を持つ三つのホビットの支族があった。最も多数からなるハーフット族は、指輪物語に描かれたホビットたちとほぼ同一である。ストゥア族は、船や水泳など水に親近感を持ち、ファロハイド族は冒険心を持つ人々であった。なお、これらストゥア族とファロハイド族の特徴は、後には非常にまれになったが、三支族間では婚姻を含む人的な交流は続いていたためか、まま変人や変り種とはみなされながらもハーフット族の内にもストゥア族やファロハイド族の特徴を持つ人物も稀に出ていたことが作中にて描かれている。第三紀の始まりに近いある年に、理由は知られていないが、おそらくはモルドールの勢力によって、かれらは困難な霧ふり山脈横断に取り掛かった。しかしながら、ストゥア族の一部はとどまり、長い年月の後これらの人々からゴクリが生まれた。ホビットたちは、西方への旅でそれぞれ異なった経路を辿ったが、結局は(かれらによってブランディワイン川と改名される)バランドゥイン川と風見が丘にはさまれた地へ来た。そこでかれらは多くの集落を作り、ホビットの支族の間の区別はあいまいになり始めた。第三紀1600年ごろ、二人のファロハイドの兄弟は、これもまた理由は不明だが、バランドゥイン川を渡って対岸に集落を立てた。多くのホビットたちがかれらに続き、以前のかれらの領土のほとんどで人口が激減した。第三紀の終わりまで、ブリー村と幾つかの周辺の村が残っている。ブランディワイン川の土手の西におけるかれらが設立した新領土は、ホビット庄(Shire シャイア)と呼ばれる。
ホビット庄と周辺の領域の地図については、エリアドールの項を参照。
第四紀にはエレスサール王の下で統一された王国に再編されたが、王によってホビット庄は保護され人間の立ち入りは禁止された。その後のホビットの歴史はまるで伝わっていない。一説によると、人間が増えるにつれホビット達は住む土地を奪われ、ただ生きるために野山をさすらい隠れ住む貧しい種族に成り下がってしまったという。 ホビットは『指輪物語』での活躍にて、現実の世界でも良く知られるようになったが、これによりコンピュータゲーム等でもRPG分野で良く登場する種族となっている。これらではトールキンが細に渡って描写した事もあり、また現代ファンタジー文学の基盤として『指輪物語』が君臨しているため、他種族の扱いと比較してホビットのイメージの変化は少ない。 また、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では権利上の問題から「ホビット」という名前が使用できなかったため、ホビット庄以外の西方語で使われた呼び名であるbanakilの翻訳であるハーフリング(小さい人)という名前(ドラゴンランスでは、ケンダー)で登場している。 同様に『ソードワールド』には「グラスランナー」という名前で登場。小さく、すばしっこく、運があり、陽気な種族として描写されていた。このように「ホビット」の名前を使うことを避けながらも、同種族に影響されたと思われる素朴で背の小さな人々が登場する作品は他にも多く存在する。この傾向はファンタジー分野のみならず、SF分野でも見られる。 『ロード・オブ・ザ・リング』以外の映画でホビットを主役にした映画として『ウィロー』がある。 創作以外の分野では、2003年にインドネシアのフローレス島で発見されたホモ・フローレシエンシスに対して「ホビット」という愛称が付けられている[3]。 コンピュータRPG等では、ホビット族は腕力に秀でず、際立って賢くもないが、敏捷さや器用さが目だって高く設定されている。またウィザードリィシリーズのように運の要素があるゲームでは、かれらの運の良さは他種族を圧倒する。ウルティマシリーズでは初期3部作においてボビット(Bobbit)として登場しているが、前述の『D&D』と同様の権利上の問題か、ユーザーインタフェース上の問題(キーボード操作のみのキャラクター作成画面で人間"Human"との衝突を避ける為)かは不明である。 名称は違うがホビットと同じ特徴をもつ種族としては、「ホートルット」(エルミナージュシリーズ)、「クラッズ」(剣と魔法と学園モノ。シリーズ)、「ポークル」(Wizardry?生命の楔?など)、「ミグミィ」(円卓の生徒。神秘性(信仰心)が高い所はノームの特徴も併せ持っている)などがある。 『ホビットの冒険』でビルボが13人のドワーフに「しのびのもの」(バーグラー)として雇われた事に因み、泥棒や盗賊として登場する作品も多い。 典拠管理データベース: 国立図書館
トールキン以外での使用
コンピュータRPG
脚注^ ホビット(Hobbit)というのはトールキンの創作した英語訳で、元の西方語ではクドゥク(kuduk)と記す。
^ 現在でこそパイプによる喫煙は高度に趣味化された喫煙方法だと見なされているが、19世紀の欧州ではパイプで喫煙するのは主に労働者や大衆であるという見方が存在していた。ホビット族が喫煙パイプを大事にしているというのも、牧歌的で平和なかれらが極めて民衆的だというイメージに沿う物であろう。
^ “パラオ古代人ホビットやドワーフではなかった
関連項目
マゾム
ハーフリング
⇒イスラエル
アメリカ
チェコ