北京とモスクワの間のホットライン接続は、1969年の中ソ国境紛争の際に使用された。しかし中国側はソ連側の和平の試みを拒否し、ホットラインは撤去された。中国とロシアの間のホットラインは、1996年に復活した[4]。 シャルル・ド・ゴールフランス大統領は、1966年にソ連を訪問した際に、パリとモスクワの間にホットラインを設置すると発表した。このホットラインは、1989年にテレックスから高速ファックス機にアップグレードされた[4]。 ロンドンとモスクワの間のホットラインは、1992年に両国間の友好条約が締結されるまで正式には確立されなかった。2011年にウィリアム・ヘイグ外務大臣がモスクワを訪問したときにアップグレードが発表された[4]。 2004年6月20日、インドとパキスタンの両国は、核戦争につながる可能性があると誤解されるのを防ぐため、核実験禁止を延長し、両国の外務大臣の間にホットラインを設置することに合意した[5]。このホットラインは、アメリカ軍将校の助けを借りて設置された。 2008年、ソ連に代わって経済的・軍事的に台頭してきた中華人民共和国(中南海)との間にアメリカ合衆国(ペンタゴン)はホットラインを開設した[6]。2015年にはサイバー攻撃やスペースデブリの問題化を受けてサイバー空間[7]や宇宙空間[8][9]の非常事態まで対象が拡大していることが特徴的である。 インドと中国は、両国の外相の間のホットラインの設置を発表し、関係強化と「政治的相互信頼」の構築へのコミットメントを繰り返した[10]。 2015年8月現在、ホットラインはまだ運用されていない[11]。 2013年2月、尖閣諸島問題により日中ホットラインの設置に新たな弾みがついた。それまでも、設置の合意はされていたが、緊張が高まったために設置されなかった[12]。 2022年11月、台湾海峡問題、尖閣諸島問題により、自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を防ぐため、防衛当局どうしが直接連絡を取り合うホットラインの早期の運用開始や外務・防衛当局の高官による「日中安保対話」などについて具体的に調整を進めることで一致した。[13] 北朝鮮と韓国の間には40本以上の直通電話回線があり、そのうちの最初のものは1971年9月に開設された。これらのホットラインの大部分は板門店の共同警備区域(JSA)を通り、赤十字社によって維持されている。1971年の開設以来、北朝鮮は7回、ホットラインを使えないようにした。最後に使えないようにしたのは2016年2月であり、金正恩の新年演説の後の2018年1月3日に再開された[14]。 2015年8月、ホワイトハウスとニューデリーの間のホットラインが稼働した。2015年1月にオバマ大統領がインドを訪問した際に、このホットラインの設置が決定された。これは、インドのとアメリカの首脳間の初のホットラインである[15]。 本来の意味のホットラインでは、事前に選択された宛先以外に電話を掛けることはできない。 しかし、口語的な用法では、緊急時に電話をするコールセンターまたはその電話番号自体を指すこともある。 すなわち、24時間対応で非営利の電話番号、例えば、一般的な緊急時の直通電話(代表電話番号ではなく、特に消防本部の通信指令室や救急車と救急指定病院を繋ぐダイヤルインの番号)や自殺志願者のための人生相談(クライシスホットライン)などがこれに当たる。 また、1979年の三菱銀行人質事件では、警察側本部と犯人を結ぶための直通電話が「ホットライン」と呼ばれた。
フランス=ソ連間
イギリス=ソ連間
インド=パキスタン間詳細は「en:Islamabad?New Delhi hotline」を参照
アメリカ=中国間詳細は「en:Beijing?Washington hotline」を参照
中国=インド間
日本=中国間
南北朝鮮間詳細は「en:Seoul?Pyongyang hotline」を参照
アメリカ=インド間
その他の用法
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 真珠湾攻撃のとき、米国陸軍省・海軍省からホノルルへの連絡も同様の手順を踏まなければいけなかった。直通回線のテストは行われていたが、公式回線とはなっていなかった。
^ 正確には「もし仮に盗聴されたとしても、情報理論的安全性がある」
出典^ ⇒The red phone that was NOT on the Hotline. electrospaces.blogspot.nl. 30 August 2013
^ 連邦規格1037Cの説明より
^ シドニー D.ベイリー 著 木村申二 訳「中東和平と国際連合―第三次中東戦争と安保理決議242号の成立」ISBN 978-4807492022 (原本……The making of Resolution 242) p.118
^ a b c Egilsson, Haraldur. ⇒“The Origins, Use and Development of Hotline Diplomacy”. Discussion Papers in Diplomacy. ⇒http://www.clingendael.nl/publications/2003/20030500_cli_paper_dip_issue85.pdf 2013年1月22日閲覧。
^ “India and Pakistan to have nuclear hotline”
^ Guo, Sujian; Guo, Baogang (英語). Thirty Years of China - U.S. Relations: Analytical Approaches and Contemporary Issues