作品の大部分は宗教画で、聖人、殉教者像を得意としている。明暗の対比を強調した画面構成(テネブリスモ)[2]、老いた聖人の衰えた肉体やたるんだ皮膚をも美化せずに容赦なく描写する写実表現にはカラヴァッジョの影響がうかがえる。『聖バルトロマイの殉教』(題名は『聖フィリポの殉教』とする資料もあり)はこうした画風の代表作である。また、庶民をモデルにした写実主義的な画風を確立した[2]。
代表作『えび足の少年』『えび足の少年』 (1642年) ルーヴル美術館
この作品はルーヴル美術館所蔵で、1642年に描かれた[7]。
「えび足」とは、この絵に描かれた少年の、不自由な右足を意味する。障害をもち、身長の伸びが途中で止まったと思われる少年は屈託のない笑みを浮かべ、鑑賞者の方を見つめている。少年の手には歩行用の杖とともに、1枚の紙片が握られ、そこには人々に施しを勧める言葉が読み取れる。この絵は単なる風俗画ではなく、カトリック信徒の務めとしての「慈善」を勧める意味があるものと思われる。
代表作
『えび足の少年』(1642年)(ルーヴル美術館)
『ヤコブの夢』(1637年)(プラド美術館)
『イサクとヤコブ』(1637年)(プラド美術館)
『聖フィリポの殉教』(1639年)(プラド美術館)
『聖アグネス』(1641年)(ドレスデン絵画館)
『聖家族とアレクサンドリアの聖カタリナ』(1648年)(メトロポリタン美術館)
脚注^ a b “Jose de Ribera