ペーパー・ムーン
原作では舞台がアメリカ南部であるが、当時は南部を舞台とした映画が多かったため、映画では中西部に変更されている。この他にも、原作に大幅に手が加えられており、エンディングも撮影中にはまだ決まっていなかった(ラストシーンは、スタッフが未舗装の道に迷い込んだ時に、偶然見つけた場所から発想されている)。
当時はすでにカラー映画がメインになっていたが、あえてモノクローム作品として制作されたのは、主演の2人が恐慌という時代設定に合わない金髪で青い目をしていたのを隠すためである。
モノクロのもうひとつの理由は、監督によれば「白黒の方が映画として表現力が増して見えるからだ」という。また手法として、カット割り無しで一気にシーンを撮影する場面が多く見られる。これは、観客を自然に引き込ませる意図を狙ってのことだが、演技する側にとっては難題であり、直線のドライブシーンは36回も撮り直された。この手法は、後半のカーアクションでも効果的に使用されている。
劇中で自動車を駐車する際、モーゼは縦列でなく斜めに車を駐車している。これは、当時の駐車方法を再現したものである。
撮影のラズロ・コヴァックスは、オーソン・ウェルズからのアドバイスでコントラストが引き立つ赤色フィルターを使用した。
当時はまだ無名だったランディ・クエイドが、モーゼと車を交換するため一緒に取っ組み合いをする男役で顔を出している。
出演する俳優・女優のほとんどが、『ラスト・ショー』などから監督作によく登場していた顔ぶれである。
密売人と警察官の俳優は同一人物であり、体重の増減を行うことで体型に変化を見せ、2週間あけて撮影された。
映画のヒットを受けてテレビシリーズ化(1974年9月にABCテレビにて放映)もされた。当時まだ子役だったジョディ・フォスターがアディに扮したが、人気は振るわず、1975年1月に放送は終了した。
同年製作・公開のドイツ映画『都会のアリス』と設定が類似している。そのため、『都会のアリス』監督のヴィム・ヴェンダースは、本作の試写を観て一時製作中止も考えたという。しかし、ヴェンダースは「2人の関係が最後まで変わっていない」ことを不満に思い、脚本の後半部分を書き直して映画を完成させた。
劇中のアディは「It don't?」や「I ain't?」など、崩れた英文法やスラングで喋る演出がなされている(通常は「It doesn't?」「I'm not?」)。
脚注^ Photos in 5 Minutes: 39 Bogdanovich, Clifford, Terry. Chicago Tribune (1963-Current file) [Chicago, Ill] 07 Jan 1973: i39.
^ “ ⇒Paper Moon, Box Office Information”. The Numbers. 2012年1月17日閲覧。
外部リンク
ペーパー・ムーン - allcinema
⇒ペーパー・ムーン - KINENOTE
Paper Moon - IMDb(英語)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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