ペンタゴン
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来客用の入口は南東側にあり、近くにはワシントンメトロのペンタゴン駅(英語版)やバス停がある。南東側の2階には小さなショッピングモールがある。南西側の入口は駐車場に隣接している。

ペンタゴンは地上5階、地下2階からなる。ペンタゴン内の通路の長さを合計すると約28キロメートルになる[6]。各階に、環状の5本の通路(リング)が通っており、内側からA,B,C,D,Eという名称がついている(地下にはさらにFとGがある)。一番外側のEリングは、5本の環状通路の中で唯一外の景色を見ることができるものであるため、通常、高官の席が割り当てられる。中庭側から外側に向かって10本の放射状通路が伸びており、南側から時計回りに1?10の番号が割り当てられている。各部屋は、階数、面しているリング、一番近い放射状通路と、それに続く2桁の数字(00?99)で区別される。例えば、2B315は、「2階のBリングに面した3番通路の近くにある15番の部屋」ということになる。この部屋へ行くには、まず2階へ行き、内側のAリングへ行って3番通路に入り、Bリングで曲がるのが一番分かりやすい[10]。この構造により、一番遠いところ(ある頂点の5階から、対蹠点の地上階へ)にも10分以内でたどり着くことができると言われているが、最も遠い場合には早歩きや屋根のない中庭を通過するルートを通る必要がある[11][12][13]。ペンタゴン内には、食堂や運動施設、瞑想や祈祷のための部屋もある。

ペンタゴンには、約2万3千人の軍人と文民職員、約3千人の国防に関わらない支援職員が働いている。

国防長官、統合参謀本部、4つの軍部はそれぞれ独自の郵便番号を持っているが、それらは所在地のバージニア州ではなくワシントンD.C.の郵便番号体系によるものである[14]

ペンタゴンの北側にはアーリントン国立墓地がある。ペンタゴン周辺の高速道路網はペンタゴン道路網(英語版)と呼ばれている[15]

1988年にアメリカ合衆国国家歴史登録財及びアメリカ合衆国国定歴史建造物に登録・指定されている[16]南側から見たペンタゴン
歴史
背景第一次世界大戦中にナショナル・モールに建てられた海軍本部旧庁舎。陸軍本部も、ペンタゴンに移転するまでの数年間、海軍本部の軍需品部門棟の中に置かれていた。

ペンタゴン建設以前、国防総省の前身の陸軍省(War Department)の本庁は、第一次世界大戦中にナショナル・モールのコンスティテューション通り(英語版)沿いに仮設ビルとして建てられた海軍本部の軍需品部門棟(Munitions Building)の中に置かれていた。陸軍省のオフィスは、ナショナル・モール内の複数の仮設ビルや、ワシントンD.C.、メリーランド州バージニア州にある数十の建物に分散していた。1930年代後半、陸軍省のためにハリー・S・トルーマン・ビルディング(英語版)が建てられたが、ここに陸軍省の全てのオフィスを収容することはできず、この建物は国務省の本部となった[17]

1939年にヨーロッパで第二次世界大戦が勃発した。アメリカは当初は中立を掲げ参戦はしていなかったものの、今後参戦する可能性に備えて陸軍省の業務は急速に拡大し、職員も増えた。陸軍長官ヘンリー・スティムソンは、本部のある軍需品部門棟が過密状態になり、オフィスが複数箇所に分散している現状は容認できないと考えた[18][19]

1941年5月、スティムソンは大統領フランクリン・D・ルーズベルトに対し、陸軍省のオフィスを拡張する必要があると述べた。同年7月17日木曜日、連邦下院議員クリフトン・A・ウッドラム(英語版)が議長を務める公聴会が開かれ、陸軍省のために新しい建物を建てる提案について議論した。陸軍省代表として出席したユージン・レイボルド(英語版)准将に対し、ウッドラムは、さらなる仮設ビルを建設するのではなく、「根本的な解決策」を取るべきだと述べ、レイボルドは5日以内に解決策をまとめて報告すると述べた。陸軍省は、建設部門を統括するブレホン・B・サマーヴェル(英語版)大将に計画を立てさせた[20]
計画1945年のペンタゴン周辺の地図。リンカーン記念堂(Lincoln Memorial)の東側にある櫛形の建物が、ペンタゴンに移転する前に陸軍省本部が置かれていた海軍本部ビルである。

政府関係者たちは、陸軍省のための新たな建物をポトマック川の対岸のバージニア州アーリントン郡に建設することで合意した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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