ペドロ・サンチェス
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書記長就任後、サンチェスは社会労働党の統一と旧有権者の信頼を取り戻す必要性にせまられた[20]。結局、旧有権者の25%は新しい政党ポデモスを選択した[21]。またアンダルシアの社会労働党との緊張への対処も課題だった[22]

自身の存在を知らせるため、彼は多数のテレビ番組に登場するようになった。 はじめのうち、ポデモスはしばしばサンチェスを「ポピュリスト」と呼んだ[23]が、サンチェスはポデモスを「イデオロギー的日和見主義」と呼んで応戦した[24]

サンチェスはスペインの国家モデルとして、独立主義(independencia)ではなく連邦モデル(un modelo federal para Espana)を提案[25]するとともに、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ前首相の制定した憲法135条を改正し[26]、宗教的な要素を排除して、教育制度の世俗主義化を強化する[27]と主張した。

サンチェスはセサル・ルエーナ・ロペス(スペイン語版)をナンバー2に任命した。2015年2月、マドリード州パルラの路面電車の追加費用の調査のため、トマス・ゴメス・フランコ(スペイン語版)をマドリード州支部書記長職から解任した[28]

2015年12月20日に行われた総選挙で、社会労働党は90議席の獲得に終わり、第2政党にとどまった。にもかかわらず翌2016年2月2日、サンチェスは首相候補者としてフェリペ6世国王によって推薦された[29]。 2月24日、社会労働党は総選挙で40議席を獲得したシウダダノス党とサンチェス擁立で合意した[30]。しかし、3月4日の2回目の票決で議会は賛成131票(社会労働党、シウダダノス、カナリア連合)、反対219票(残りの下院議員)でサンチェスの首相就任を大差で否決した[31]。スペイン民主化後初めて、首相候補が2度目の投票で議会の信任を得られないという結果に終わった。

2016年、社会労働党は85議席という民主化以後最低の議席数となった。ラホイ首相の提案による国民党(PP)とシウダダノスの協定の後、サンチェスは国民党政府に繰り返し反対票を投じた。 ラホイの協定が失敗におわると、彼は「変革の力(ポデモスとシウダダノス)」に国民党に代わる政府を可能にするように要請した。
社会労働党書記長の辞任

2016年9月28日、社会労働党の連邦政策長官であるアントニオ・パラーダス(スペイン語版)は解散を強制するため、連邦執行部17人のメンバーの辞任を党本部にて発表した。サンチェスもその中に含まれていた。10月1日午後、連邦委員会が連邦議会の招集を拒否した後、サンチェスは社会労働党書記長の辞表を表明した[32]

2016年10月29日、サンチェスは下院議員を辞任した[33]

しかし、サンチェスは失脚後も愛車プジョー407に乗ってスペイン各地の党員を訪問してまわり[34]、影響力の維持を図った。

2017年1月、サンチェスは5月に予定されている、社会労働党書記長選挙に立候補することを発表した。
社会労働党書記長への復帰

2017年5月21日、選挙の結果社会労働党書記長に返り咲きを果たした。 2017年6月18日、第39回党大会で、サンチェスは正式に書記長に就任した。

社会労働党は一方的なカタルーニャ独立宣言の後、カタルーニャ州政府に対してスペイン憲法第155条を適用することで政府を支援することを決定した。
ラホイ首相に対する不信任案

2018年5月、2007年より調査が開始されていた国民党の大規模汚職事件、グルテル事件(スペイン語版)に対する初の裁判所の判決が下り、29人の被告人に計351年の懲役刑が宣告された[35]。事件に関与したとされるマリアーノ・ラホイ首相を含む国民党議員の証言は信頼性を欠くと指摘された[36]

5月25日、判決ののち、社会労働党は国会にラホイ首相に対する内閣不信任案を提出し、サンチェスが首相候補として挙げられた。

6月1日、投票が行われ、賛成180票、反対169票、棄権1の賛成多数でサンチェスの首相就任が決まった[37]
首相就任後

2018年6月1日、フェリペ6世国王は王令によりサンチェスを首相に任命した[38]。翌日、サンチェスはサルスエラ宮殿でスペイン王を前に就任を約束した。 2014年7月、スペイン王室が政府高官の宣誓にあたって、聖書と十字架の有無の選択に同意していたことから、サンチェスは宗教的なシンボルなしで宣誓を行なった。それにより彼は民主化後はじめて宗教的裏付けをもたない首相となった[39][40]

6月7日、新しい内閣の17名が就任した[41]。サンチェスは、1981年生まれと若いイヴァン・レドンド(スペイン語版)を大統領府の内閣官房長に任命した[42]。女性閣僚は11名を数え、スペインの歴史上もっとも女性の多い内閣となった[43]

任命ののち、サンチェスは現在の議会を維持し、2020年6月まで選挙を行わないと表明した[44]。しかしスペイン社会労働党は少数与党であり、他政党の協力なしには議会運営は成り立たない状況だった。2019年予算案が否決された場合は4月に総選挙に踏み切るとの情報が採決前より報道され、2月13日の採決ではカタルーニャ系の政党の支持を得ることに失敗し、賛成158票、反対191票、棄権1票で否決された。これにより前倒しでの解散総選挙が決まった[45]

2019年4月28日投開票の総選挙では、社会労働党は過半数には届かなかったものの、改選前を上回る議席数を獲得した[46]。その後連立協議は難航し、2020年1月5日にスペイン下院で行われた、サンチェスを首相として承認するかを問う投票では賛成166、反対165、棄権18票で、必要な議会過半数の176票に届かず否決[47]。1月7日の2回目投票では、賛成167、反対165票と僅差で承認され、1978年のスペイン民政復帰後はじめて連立政権が発足した(社会労働党ポデモス[48]

2021年6月22日にはカタルーニャ独立派との関係正常化を図るため、ウリオル・ジュンケラスら9人に対する恩赦を決定した[49]

2023年5月28日に執行された統一地方選挙で社会労働党が多くの議席を失い敗北したことを受け、翌29日に総選挙を7月23日に実施すると発表した[50]総選挙では社会労働党の敗北も予測されたが終盤に追い上げ、野党・国民党と極右政党Voxをあわせても過半数に届かず、社会労働党は第2党に後退したが改選前より上積みし、極右政党の政権入りの阻止には成功した[51]。25日、国王フェリペ6世がサンチェスを首相から解任し、新政権発足まで現職にとどまるよう指示した[52]。しかし国王から組閣を要請された国民党党首のアルベルト・ヌーニェス・フェイホーは9月27、29日の下院における首相就任信任投票を立て続けに否決されたため、サンチェスに再びお鉢が回り[53]、10月3日に国王より組閣を要請され連立政権樹立に向けた調整を開始[54]


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