ペドフィリア
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性障害専門医療センターSOMECの福井裕輝は、子どもにしか興味がない「純粋型」と、大人に興味はあるがなにかしらの理由で性的欲求が子どもに向かう「非純粋型」の2種類のうち、純粋型については、遺伝性が高い3つくらいの遺伝子が関係しているのではないかと推測されているとし、親がそうでなくても、遺伝子による先天的な特徴であり、非純粋型については、ストレスや、成人女性に相手にされないといった環境的要因が大きいと語る[42]

Fiona DyshnikuやRachel L Fazioらによる、小児性愛者の遺伝的、身体的な特徴に関する研究も行われている[43][44][45]

小児性愛者は内気うつ病である傾向が高いと報告されている[46]。司法心理学コンサルタントのデレク・パーキンス教授は、「小児性愛は精神障害と認定されている。本人の意志で選ぶものではない」「小児性愛を行動に移さずにやっていける人も多い」としている。また、カナダの臨床心理学者であるジェームズ・カンター博士は、脳内の「混線」が原因だとし、妊娠初期の段階で胎児の脳がどのように形成されるかが鍵だと主張している[47][48]

小児性愛者の多くは子どものときに性的虐待を受けた経験があるという主張も流布されているが、研究ではそれは否定されている[49]
小児性犯罪者との違い「チャイルド・マレスター」も参照

ペドフィリア(小児性愛)という用語は子どもへの性犯罪を行う者に対して一般的によく使われる[50][51]。しかし、子どもに対し優先的もしくは排他的な性的関心を抱く人間を小児性愛者 (ペドファイル、pedophile) といい、子どもに対して性的な虐待を行う犯罪者を小児性犯罪者(チャイルド・マレスター)とは区別される[52]

ペドフィリアは小児性犯罪者を説明する重要な要因として科学的にも広く認知されている[53]。一般的にチャイルド・マレスターのうち25 - 50%の範囲の者がペドフィリアであると推定されている[54]。2006年の調査によれば、チャイルド・マレスターのサンプルのうち35%がペドフィリアであった[55]。人口に占めるペドファイルの比率は1%未満と考えられており、極めて高い児童性虐待の相対リスクとなる。小児性愛犯罪を犯したペドファイルが一部の犯罪において一般と比べて大幅に高い再犯率を示すため、ペドファイルの危険性は変わらないが、性的嗜好だけが原因とは限らないい[52][56]。また、ペドフィリア的性的嗜好のない者が児童性的虐待を行うことも多くある[57][58][59]。例えば、ストレス、夫婦問題、成人パートナーと接触不能、反社会的傾向、強い性欲、アルコールなどが原因になることもある[60][61]児童性虐待研究者でアメリカアルフレッド大学コミュニケーション学助教授のパメラ・D・シュルツは『9人の児童性虐待者』の中で、実害を及ぼしている者(チャイルド・マレスター)の7割はペドフィリアの傾向がないという調査結果を記載している。

研究の限界を指摘する意見もある。ペドフィリアに関する研究のほとんどが子どもに対する犯罪で有罪判決を受けた男性を対象としており[62][63]、本来のペドフィリアにおいて問題視される性的虐待とは、必ずしも身体的虐待をともなうものだけでなく、子どもに性的欲求を押し付ける行為自体も含められ[64]、児童の性的虐待自体がそもそもほとんど報告されないこと、さらに子どもに危害を加えていない小児性愛者の存在がほぼ可視化されていないこと、これらの理由でペドフィリアの既存研究には大きなデータの欠落があると問題視されている[49]。ただし、全人口に占めるペドファイルの割合の調査はあり[65]、ペドフィリアだけが逮捕・有罪になりやすい理由はないため、これらの批判はペドフィリアの危険性を疑わせるものではない。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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