ペドフィリア
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性交渉を初めて経験する年齢と38個の遺伝子変異との間には関連性があり、遺伝子的な要因により「人が性交を始める年齢差の約25%を説明できる」[17][18][19][20]。総合的臨床見地によって診断が行われるのは前述の通りであるが、16 - 17歳の者への性的愛好が小児性愛とされるのはむしろまれである。

年齢・学齢早見表児童満年齢学年満年齢学年
11歳以下小学校5年?小学校6年以下16歳以上高等学校1年?高等学校2年以上
12歳以下小学校6年?中学校1年以下17歳以上高等学校2年?高等学校3年以上
13歳以下中学校1年?中学校2年以下18歳以上高等学校3年?大学1年以上

割合

二次性徴前(もしくは操作的に特定年齢未満)の児童に対しても性的興味も持つペドフィリア的性的関心、二次性徴前の児童に対して優先的もしくは排他的な性的関心を持つペドフィリア的性的嗜好、ペドフィリア的性的嗜好の中で社会不適合になっているペドフィリアの人々の割合に関しての研究や調査報告がある。

日本では唯一
NHKによる調査が存在する。『日本人の性行動・性意識』[21]では13歳未満の相手とのセックスについて、「してみたい」、「どちらかといえばしてみたい」、「どちらかといえばしたくない」、「したくない」、「実際にしたことがある」、「無回答」の選択肢でアンケートを行った。「してみたい」と積極的肯定回答した男性は、10代(16 - 19歳)6%、20代5%、30代4%、40代1%、50代8%、60代0%であった。他方、女性においては、積極的肯定回答はすべての層でほぼゼロに近く、消極的肯定回答も10代に2%が見られるのみである。これらについて、10代-40代では「どちらかといえばしてみたい」の消極的肯定も、積極的肯定とほぼ同数かそれ以上あった。「無回答」は30代以下では1割以下だが、年齢と共に大きく増加し、60代では半数に迫った。「無回答」の比率は、各年代とも男女間に大きな差は見られない。

アメリカ合衆国におけるキンゼイ報告(1975年)での調査及び、他の研究[22]が示す数字では、成人男性の少なくとも25%が小児に対し性的魅力を感じていると述べている。

ドイツの匿名パネルデータのオンライン調査[23]によると、4.1%の男性が二次性徴前の児童との性行為を夢想し、0.1%がペドフィリア的性的嗜好を持っており、さらに社会不適合になる性嗜好障害のペドフィリアは0.06%であった。

カルフォルニア大学ロサンゼルス校心理学部ポール=オーカミによれば性欲の第一の対象が思春期前の子どもだというアメリカ人の割合は1%前後だという。ただし「小児性愛者」の意味は法令や心理学者の判断、記者の偏見によって左右されるため、人口に占める小児性愛者の割合は1%・5%・21%・50%、いずれも正しいという。

ペドフィリア(小児性愛)が異常あるいは精神障害(Mental Disorder)かどうかについては、議論の余地がある。かつてAPAの精神障害診断基準 DSMから同性愛を外すことに尽力したリチャード・グリーン(Richard Green)等は、小児性愛感情を持つ一般人は、20-25%存在し、小児性愛的刺激物への反応率は27.7%と、広範に存在することから、ペドフィリアをDSMより取り除くことを主張している[24]

類型

一般に報告されている事例では、男性の小児性愛者のケースが、女性のそれを明らかに圧倒的に上回っている。

また、DSM-IVは、診断における補足項目として、次のような三つのポイントについて留意し記載するよう奨めている。
小児性愛者が対象とする児童について:a)女児のみを対象とするか、b)男児のみを対象とするか、c)男女に関係なく対象として性的に誘引されるか。

対象児童との関係が、「
近親姦」となるか否か。

性愛対象におけるヴァリエーション:つまり、a)もっぱら児童のみを対象として、成人や若い青年、少年・少女に性的嗜好を持たないか、b)性的嗜好対象が、児童のみではなく、広がりを持つか。

小児性愛の類型は明らかに存在すると思われている。しかし現在、その素因や他の性嗜好との相関等について、実証的に確認できるものはないに等しく、定まった説はない。
原因

ペドフィリアはそうなりたくてなるものではなく、貧富・教育・宗教・性別問わず、世界中に存在している[25]。その原因はわかっておらず、先天的なものか後天的なものかに関しても結論は出ていない[26][27][28]

ペドフィリアは児童ポルノとの関係がよく議論されており、その因果関係に関してはさまざまな主張がある[29][30][31][32]

小児性愛障害と診断された人は、生まれながらにして子どもへの性嗜好を最初から有していたわけではなく、多くの場合、児童ポルノを通して「子どもは性的な存在である」という認識を強化し、認知を歪めていくとする考察もある[29][33]性犯罪に関する加害者臨床を専門とする斉藤章佳によれば、児童を対象としたポルノを見る行為を繰り返し重ねると、「小児=性的対象」だと無意識に刷り込まれて、行動化へのハードルが格段に低くなるという[34]


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