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ペデスタル作戦[1](ペデスタルさくせん、英語:Operation Pedestal
)は、第二次世界大戦の地中海攻防戦(英語版)において、1942年(昭和17年)8月中旬に連合国軍が地中海で実施した増援輸送作戦(英語版)。ジブラルタルからマルタ島へむかう連合国軍輸送船団と地中海艦隊(H部隊)を、枢軸国軍が邀撃した[2]。連合軍は大損害を受けたがマルタへの補給に成功して作戦目標を達成し、戦局の転換点となった[3]。イタリア側では戦闘の発生時期から8月中旬の戦い(イタリア語: Battaglia di mezzo agosto)と呼称するほか、マルタ島では船団の中核を成した石油タンカーオハイオがサンタ・マリアの祝祭日 (8月15日) に到着したことからサンタ・マリア船団 (マルタ語: Il-Konvoj ta' Santa Marija)と呼ばれている。第二次世界大戦の地中海戦域では[4]、マルタ島と北アフリカ戦線への補給を巡って連合国軍と枢軸国軍との間で幾度も海戦が繰り広げられた[5][6]。枢軸軍は基地航空隊の航空機による空襲と、Uボートによる襲撃
で[7]、マルタを封鎖した[8](マルタ攻囲戦)[9]。マルタを死守するイギリス軍は、航空母艦による空輸作戦 (Club Run) で戦闘機を補充し[10]、制空権が枢軸側に握られることを防いだ[11][12]。だが燃料不足と物資不足が深刻になり、イギリス海軍は1942年(昭和17年)6月に二つの大規模輸送作戦を実施するが[13]、ヴィガラス作戦は完全に失敗し[14]、ハープーン作戦は限定的な量しか補給できなかった[15]。そこで、8月に再びマルタへの大規模補給作戦を敢行した[16]。これがペデスタル作戦である[17]。作戦名のペデスタルは礎石を意味する[18]。貨物船13隻とタンカー1隻の合計14隻からなる船団がイギリスからジブラルタルを経由して地中海を東進し、マルタへ向かった[2]。船団には戦艦ネルソン、ロドニー、空母ヴィクトリアス、インドミタブル、イーグル以下多数の艦艇で構成されるH部隊の所属艦艇が付随した。あわせて中東方面での陽動出撃も計画された。また、空母フューリアスによりスピットファイア戦闘機部隊を発進させ[19]、マルタ島へ航空兵力を増援するベローズ作戦 (Operation Bellows) も同時に実施された。
ジブラルタル経由の連合軍輸送計画はすぐさま枢軸国側の察知するところとなり、ドイツ国防軍とイタリア軍を中心とした枢軸国軍との間で8月11日より激戦が展開された[20][21]。枢軸側は航空攻撃、潜水艦攻撃、魚雷艇攻撃、水上艦隊の出撃で連合軍輸送船団の撃滅を試みる[22]。連合軍側の戦艦や空母を含む護衛艦艦隊(司令長官サイフレット中将)はボン岬で引き返したので、弱体化した連合軍輸送船団(護衛部隊指揮官バロー少将)は8月12日以降の夜戦や航空戦で大損害を受けた[23]。しかしイタリア王立海軍の水上艦隊は枢軸軍空軍の掩護を受けられないため反転退避し[24]、連合軍潜水艦によって大損害を受ける[25]。さらにマルタを拠点とするスピットファイアの活躍でドイツ空軍やイタリア王立空軍も連合軍輸送船団にとどめをさせなかった[26]。8月13日から15日にかけて連合軍輸送船団はマルタに到着し、物資と燃料を補給した[26]。
本作戦の成功と連合軍の勝利により、マルタは急速に立ち直った[27]。