ベルギー
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日本との経済的関係は、地理的問題(2001年から2015年まで空路の直行便がなかった[注釈 5]など)や、文化的交流が少ないなどの理由により、その存在は日本では一部企業を除きそれほど注目されておらず、特に銀行はバブル崩壊によりその多くが撤退した。ただし、確かな技術力を持つ企業が多いこと、またコーディネーションセンターに代表される外国企業に対する優遇税制措置が設けられていること、物流拠点としても立地が最適であること、かつ英独仏の主要国に近いこと、EUの本部所在地であることなどから大手自動車メーカーなどが欧州統括本社などを置いており、2015年10月時点で240 - 250社がベルギーに進出している[64]在留届を提出している邦人は6,000人近くに達し、在留日本人の総数は欧州の中でも上位に位置する。
工業色と面積で示したベルギーの輸出品目(2009年

ベルギーは人口規模・面積ともに小さい国(世界人口の0.1%、陸地面積の0.02%)であるが、中世に起源を持つ繊維産業や石炭の採炭と関連して長くヨーロッパ域内でもっとも工業の進んだ地域であった。第二次世界大戦以前から鉄鋼業機械工業石油化学工業がよく発達していた。しかしながら、石炭産業の斜陽化に従い、1980年代前半まで長期的な低迷傾向が見られた。その後、EC域内貿易の発展や財政再建によって再び工業が興隆し、石油化学工業、非鉄金属工業、自動車、食品工業を中心とした発展が見られる。ベルギー工業は輸入原料を加工し、半製品、製品として輸出する加工工業が中核となっている。貿易依存度は輸出87.1%、輸入81.1%[65]に達し、ヨーロッパ域内でもっとも貿易に依存した経済であるといえる。

おもな工業都市は、アントウェルペン(石油化学工業、工業用ダイヤモンド製造業)、シャルルロワリエージュ(製鉄業)、テムス(造船業)、クルトレ、ブルッヘブリュッセルヴェルヴィエヘントメヘレン(繊維業)、ヴァルサンランベール(クリスタルガラス工業)である。

世界シェアの高い工業製品は、世界第7位のプラスチック(670万トン、世界シェア3.3%)、同第8位のスズ(8,900トン、2.9%)である。世界シェア1%を超える品目を一覧すると、石油化学、非鉄金属、自動車、繊維、食品といったさまざまな分野においてバランスの取れた発展を見せていることが分かる。

石油化学 軽油(1,246万トン、世界シェア1.2%)、重油(760万トン、1.3%)、ナフサ(205万トン、1.1%)

非鉄金属 亜鉛(26万トン、2.6%)、銅(38万トン、2.4%)

自動車製造業 自動車(90万台、1.4%)

繊維 毛糸(1.3万トン、1.3%)

食品 バター(12万トン、1.5%)、ビール(17億リットル、1.1%)、豚肉(101万トン、1.0%)

その他 苛性ソーダ(水酸化ナトリウム、54万トン、1.2%)

鉱業

石炭採掘の歴史は古く、すでに12世紀から採掘が始まっていた。現在でも石炭は埋蔵されているが、品質面で国外の石炭と競争できないため、生産が急速に落ち込んでいる。1973年の採掘量は880万トンだったが、2002年時には17万トンまで下がっている。
南北の経済格差

工業・サービス業が発達した北部のフランデレン地域と、石炭・鉄鋼業が衰退した南部のワロン地域では失業率に2倍以上の開きがある(後者の方が失業率が高い)。労働者の需給にギャップが生じても、ワロン地域はフランス語以外話せない住民が多数であるため、ワロン人がフランデレン地域で就労することが困難であり、失業率の格差が縮まらない一因となっている。またブリュッセルは移民が多く、低技能労働者が多いことから、失業率はやはり高い。

また、南北の経済格差も深刻で、フラマン系の裕福な北部と、比較的貧しい南部という図式が定着している[66]。ベルギー建国時はこの図式は逆であり、南部のフランス語圏が工業地帯として発展しており裕福で、北部が貧しかった。しかし、今や北部のフラマン地域が裕福であり、北部が南部を見下している状態にある[67]
交通詳細は「ベルギーの交通(英語版)」を参照「ベルギーの鉄道」および「ベルギーの空港の一覧」も参照
国民詳細は「ベルギーの人口統計(英語版)」を参照
民族

住民はフラマン語を話すフラマン人が58%、フランス語を話すワロン人が31%、その他混血などが11%である。

近年、特に首都ブリュッセルは中東系を中心とした移民が多く、近年ではアラブ系の「Mohammed」がブリュッセルで生まれる男子でもっとも多く名付けられる名前となっている。「ベルギー人」も参照
言語「オランダ語連合」も参照

言語話者(ベルギー)

フラマン語  58%
フランス語  31%
その他  11%

ベルギーの国土は、憲法により使用言語別で主に3つの地域に分かれており、それぞれに地方公用語がある。

北部のフランデレン地域はフラマン語共同体に属し、フラマン語が公用語である。同語は「オランダ語の一方言」と例えられることもあるが、実際にはベルギーという国家内における社会言語学的な呼称であり、ほとんど差異はない。また、フローネン、ネーメン、コミーヌなどはフランス語地域である。当地域では、老若男女を問わずフランス語とのバイリンガルが多い。また、英語やドイツ語等も話す人も多い。フランデレン地域にはアントウェルペンヘントブルッヘルーヴェンメヘレン等の都市が立地している。


南部のワロン地域は大部分がフランス語共同体に属し、フランス語が公用語であるが、実際には一方言であるワロン語が主として話される。ワロン語は発音・語彙に若干の特徴があるが、標準フランス語と大きな差はない。ほかにピカルディ語シャンパーニュ語ロレーヌ語などのオイル語系諸方言が西部のフランス国境地域で話されている。また、南東部のルクセンブルク国境地域では、ルクセンブルク語が少数話されている。フランデレン地域と比べて、フラマン語や英語などの第二言語を習得している者は非常に少ない。ワロン地域にはシャルルロワリエージュナミュールモンス等の都市が立地している。


ワロン地域の北東ごく一部のドイツ国境地域(オイペンザンクト・フィート付近)はドイツ語共同体に属し、ドイツ語が公用語である。


ブリュッセル首都圏地域は公式に二言語地域とされており、フラマン語共同体とフランス語共同体の双方が自治権を持っている。だが、元々はフランデレン地域に位置するフラマン語圏であったが、19世紀にワロン地域やフランスからの移民を中心として都市が拡大しフランス語圏へと変化していきフランス語話者が8割以上を占める言語的な孤島状態となっている。同国最大の首都で国際都市であることから移民の受け入れも多いがたいていはフランス語に同化されていく等フランス語化がさらに進みつつある。郊外のフラマン語圏に住みフランス語圏のブリュッセル市内へと通勤通学するフラマン人も多く、周囲に住むフラマン人にとってフランス語とのバイリンガルであることが求められてきた。

フランデレン地域の人々とワロン地域の人々の間には「言語戦争」と呼ばれるほどの文化的な対立が存在し、連邦制が施行されて以降も、対立意識は完全に無くなってはいないと言われる。例として、2006年12月13日公共放送RTBFが「フランデレン地域が独立を宣言して、前国王アルベール2世がコンゴ民主共和国(旧ベルギー植民地)に亡命した」というフェイクニュースを流したところ、一時国内が混乱に陥り、地域間の溝の存在を露呈する結果となった(のちに、議論を喚起する目的があったと釈明した)。
婚姻

婚姻の際に姓が変わることはなく、夫婦別姓である[68][69]。また、同性同士の結婚(同性婚)も2003年より可能となった。
宗教詳細は「ベルギーの宗教(英語版)」を参照

ベルギー国民が信仰する宗教は、ローマ・カトリックが75%、プロテスタントが25%である。1994年の統計では、イスラム教が3%となっている。このほか、ユダヤ教などを信仰する者もいる。「ベルギーにおける信教の自由(英語版)」も参照

日本でも西日本を中心に布教活動をしているカトリック修道会淳心会は、ベルギー・ブリュッセル郊外のスクートで設立された(スクート会とも呼ばれる)。
教育詳細は「ベルギーの教育(英語版)」を参照
保健詳細は「ベルギーの医療」を参照
治安詳細は「ベルギーにおける犯罪(英語版)」を参照

ベルギーは日本に比べると治安が悪いと言われることが多いものの、近年では同王国内及びブリュッセル市内の犯罪認知件数が減少傾向にある。しかし、若年層を中心に麻薬類の使用事犯が増加している問題点をはじめ、スリ置き引きひったくり(主に邦人の被害率が高い)、偽警官による詐欺等の犯罪が依然として後を絶たない点が目立ち、強盗や侵入犯罪の被害に遭うケースも見受けられている。


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