ベニスに死す_(映画)
[Wikipedia|▼Menu]
マーラー交響曲第5番の第4楽章「アダージェット」は、もともとは作曲者が当時恋愛関係にあり、のちに妻としたアルマにあてた、音楽によるラブレターである。この映画の感情的表現において、ほぼ主役ともいえる役割を果たした。演奏は、フランコ・マンニーノ (Franco Mannino) 指揮・ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団

この映画を鑑賞したあるハリウッド・メジャーの社長は、「今度の新作映画では、マーラーにテーマ音楽を作らせよう」と語ったという(マーラーが既に没した大作曲家であることをその社長は知らなかった)。

ホテルのレストランで流れ出すのは、フランツ・レハール作曲のオペレッタ『メリー・ウィドウ』の「唇は語らずとも」。アッシェンバッハがタジオを見つめて頬を赤らめるシーンで、歌詞のない演奏版だが、ここでの歌詞を判っていると意外に直接的な内容である。

タッジオはホテルにあるピアノで『エリーゼのために』を弾く。それを聴いたアッシェンバッハは若き日に訪れた売春宿を思い出す(買った相手の名は映画冒頭の蒸気船と同じエスメラルダ)。

マーラーで使用されたのは交響曲第5番だけではない。交響曲第3番の第4楽章、アルト独唱の入る部分が、観光客で賑わう浜辺のシーンに重なる。独唱はルクレツィア・ウェスト(Lucretia West)。

アッシェンバッハとアルフリートが芸術を論じた後、アルフリートがピアノで弾く曲は、交響曲第4番の第4楽章冒頭の旋律。

アッシェンバッハの死を予告する海辺のシーンでは、ソプラノ歌手マーシャ・プレディト(英語版)によりモデスト・ムソルグスキー作曲『子守歌(Lullaby)』が歌われる。
原作からの翻案

原作者トーマス・マンは主人公グスタフ・フォン・アッシェンバッハを作家としていたが、モデルとしてはマン自身以外に、友人でもあった作曲家のグスタフ・マーラーも入っている。ゆえに監督のルキノ・ヴィスコンティがマーラーの音楽を使い、主人公をマーラーをモデルとした作曲家に変更したのは、恣意的な変更とは言えない。

また、同時代の作曲家でありマーラーと親交のあったアルノルト・シェーンベルクをもアルフリートという名で登場させている。2人の「美」についての論争は、この映画全体に満ち溢れる「対比」の主体軸である。
ドキュメンタリー

ヴィスコンティは、タッジオを演じる俳優を探していることについて、『タッジオを求めて
(1970)』というタイトルのドキュメンタリーを作成した。

関連項目

マーラー (映画)

注釈[脚注の使い方]^ introducing(新人)扱い。
^ アッシェンバッハが買った娼婦。
^ アッシェンバッハを店の奥に連れて行き事の真相を話す人物。
^ 砂浜でタジオと肩を組んで会話しながら歩いたり取っ組み合いをしたりしているポーランド人の少年。
^ 砂浜で連れの婦人と首飾りを品定めしている若い女性。
^ 砂浜でモデスト・ムソルグスキー『子守歌』(Lullaby、のち『安らかに眠れ、農夫の子よ』(Sleep, Go to Sleep, Peasant Son)に改訂)を歌っている婦人。
^ a b クレジットなし。

外部リンク.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、ベニスに死す (映画)に関連するカテゴリがあります。

ベニスに死す - allcinema

ベニスに死す - KINENOTE

Morte a Venezia - オールムービー(英語)

Morte a Venezia - IMDb(英語)

Morte a Venezia - American Film Institute Catalog(英語)

Analyse de Freddy Buache

https://www.unifrance.org/film/47925/mort-a-venise










ルキノ・ヴィスコンティ監督作品
1940年代

郵便配達は二度ベルを鳴らす (1943)

揺れる大地 (1948)

1950年代

ベリッシマ (1951)

われら女性(1953、オムニバス

夏の嵐 (1954)

白夜 (1957)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:37 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef