ベトナム語
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歴史

東南アジア大陸部の言語は、通常インド文化の影響を強く受けているが、ベトナム語は例外的に日本語朝鮮語チワン語などと同様に中国語漢字文化の強い影響を受けている。

現在のベトナムの北部は、によって象郡が置かれて以来、中国の支配地域となった。この地を含む華南は「百越」と総称される諸民族が住んでいた地域で、そのひとつが、現在のキン族の祖先であった。「ベトナム (Việt Nam)」は漢字で書けば「越南」であり、現在の浙江省周辺にあった国の南にある地域のために「越南」と呼ばれた。

しかし、系統的にはシナ・チベット語族タイ・カダイ語族ではなく、オーストロアジア語族に属すると解することが一般的である。この説に従えば、話者数でクメール語(カンボジア語)を上回るオーストロアジア語族で最大の言語ということになる。また、中国語タイ諸語などの言語の影響を受け、声調言語になったとされる。
表記法の歴史上段がチュ・クオック・グーによる表記で、下段はチュノム(下線部)と漢字チュハン)による表記である。「私はベトナム語を話す」という意味。

中国の支配を受けていたため、ベトナムの古典や歴史的な記録の多くは、漢字による漢文で書かれており、漢字文化圏である。現代語をみても、辞書に載っている単語の 70% 以上が漢字語であり、漢字表記が可能である。対応する漢字が無い語については、古壮字などと同じく、漢字を応用した独自の文字チュノム(ベトナム語:Ch? Nom / .mw-parser-output .vi-nom{font-family:"Nom Na Tong","Han-Nom Gothic","Han-Nom Ming","HAN NOM A","HAN NOM B","TH-Khaai-TP0","TH-Khaai-TP2","TH-Khaai-PP0","TH-Khaai-PP2","TH-Sung-PP0","TH-Ming-JP0","TH-Ming-JP2","TH-Sung-PP2","TH-Sung-TP0","TH-Sung-TP2","TH-Sy-P0","TH-Sy-P2","Ming-Lt-HKSCS-UNI-H","Ming-Lt-HKSCS-ExtB","FZKaiT-Extended","FZKaiT-Extended(SIP)","FZKaiS-Extended","FZKaiS-Extended(SIP)","Sun-ExtA","Sun-ExtB","MingLiU","MingLiU-ExtB","MingLiU_HKSCS","MingLiU_HKSCS-ExtB","SimSun","SimSun-ExtB",sans-serif}.mw-parser-output .vi-nom .ext{font-family:"Han-Nom Gothic","Han-Nom Ming","Han-Nom Minh","TH-Khaai-TP2","TH-Khaai-PP2","TH-Ming-JP2","TH-Sung-PP2","TH-Sung-TP2","TH-Sy-P0","TH-Sy-P2","Sun-ExtB","MingLiU HKSCS-ExtB","Ming-Lt-HKSCS-ExtB","HanaMinB","Han-Nom Kai",sans-serif}𡨸喃*?)を作り、漢字と交ぜ書きをすることが行われた。

しかし、1919年科挙廃止、フランス総督府によるチュ・クオック・グー(後述)教育の推進により漢字、チュノムの使用頻度は次第に減少、1945年阮朝滅亡とベトナム民主共和国の成立により、ベトナムの国字として漢字に代わり、チュ・クオック・グーが正式に採択されたことで、漢字やチュノムは一般には使用されなくなった。

公式な漢字の廃止は1954年であり、南北に分断したこの年にベトナム民主共和国紙幣における漢字使用は廃止されている。現在では日常生活で漢字が見られるのは、テト(旧正月)や中秋節などの伝統行事や仏事、冠婚葬祭などである。漢字の理解者も、高齢者の一部や、国文学や歴史学などの研究者、書道家や仏僧、日本語及び中国語の学習者などに限定される。

現在のベトナム語表記に使われるのは、17世紀カトリック宣教師アレクサンドル・ドゥ・ロードが考案し、フランスの植民地化以降普及したローマ字表記「チュ・クオック・グー(ベトナム語:Ch? Qu?c ng? / 𡨸國語)」である。植民地期にはチュ・クオック・グーは、フランスによる「文明化」の象徴として「フランス人からの贈り物」と呼ばれたが、独立運動を推進した民族主義者は全てチュ・クオック・グーによる自己形成を遂げたため、不便性と非効率性や識字率向上を理由に、漢字やチュノム文は排除され、チュ・クオック・グーが独立後のベトナム語の正式な表記法となった。

現在、チュ・クオック・グーを公式の表記法とすること自体への異論は存在しないが、伝統的な漢文や難解な漢字・チュノム混交文を理解運用できる人材が少なくなっているため、人文科学、特に歴史研究の発展に不安をもつ知識人の間には、中等教育における漢字教育の限定的復活論がある。
文字

現在の正書法であるチュ・クオック・グーでは、ラテン文字と、それに補助記号(ダイアクリティカルマーク[注 1])をつけたものが用いられる。但し、F, J, W, Z は固有名詞・外来語・擬音語・感動詞を表記する際を除いては基本的に用いられない。文字名と読み方はフランス語の発音から以下のようになっている。??

漢字チュハン)とチュノムでも表記できるが、現在は中国の広西自治区東興市にいるジン族の人を除くとベトナム人は学んでおらずほとんど使われていない。

チュ・クオック・グー」のアルファベット文字文字名読み[1]音価IPA表記
A aaアーアー[a?]
? ?aアッア[a]
A a?アア[?], [?]
B bbeベーバ[?], [?b] (入破音)
C cxeセーカ[k]
D ddeゼーザ[z], 南: [j]
? ??eデーダ[?], [?d] (入破音)
E eeエーエ[?]
E eeエーエ[e]
G ggieジェーガ[?],
[?] (前母音字 i, ie の前)
H hh?tハッハ[h]
I iiイーイ[i]
K kcaカーカ[k]
L le-l?エラーラ[l]
M mem-m?エマーマ[m]
N nen-n?エナーナ[n]
O ooオーオ[?]
O ooオーオ[o]
? ??アーアー[??], [??]
P ppeペーパ[p]
Q qquyクイークワ[k(w)]
R re-r?エーラーラ[z], 南: [?], [?]
S set-siエッシサ[s], 南: [?]
T tteテータ[t]
U uuウウ[u]
? ??ウーウ[?], [?]
V vveヴェーヴァ[v], 南: [j]
X xich-xiイクシサ[s]
Y yi dai, i-c?-retイグレッイー[i?]

ベトナム語表記の特徴は、ではなく音節で分かち書きをすることである。これはベトナム語の単音節的な性質に合っている。










ベトナム語アルファベット


A

?

A

B

C

D

?

E

E

G

H

I

K

L

M

N

O

O

?

P

Q

R

S

T

U

?

V

X

Y



a

?

a

b

c

d

?

e

e

g

h

i

k

l

m

n

o

o


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