ベジタリアン
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[28]蒲原聖可はベジタリアンの類型を解説した論文においてベジタリアンの一種と説明し、肉類を避けているがそれだけでなく、自然と調和するための独自の思想があるとしている[25]。詳細はマクロビオティックを参照。
動機

菜食主義は以下のような動機によって選択される。
宗教ヒンドゥー教徒は殺生を行わない料理のみ摂取する

宗教において菜食主義の傾向が強い要素の中には、肉体より精神を至高のものとする禁欲主義の影響が大きいと考えられるものもある。これは、霊・精神性に対し、肉食や生殖欲が肉体性を象徴するとして罪悪視されたもの[注 4]もあるが、断食のように修行の一環として菜食主義的粗食を志向し、中には即身仏のように自発的殉教死に至るものもあった。

インドは不殺生戒(アヒンサー)思想の発祥地であり、遅くとも2000年以上前から菜食を奨励する宗派が存在した。現在、インド発祥で菜食主義を奨励している宗教は、ヒンドゥー教ジャイナ教が代表的であり、国民の31%がベジタリアンである[29]。「インドの菜食主義」も参照
ヒンドゥー教

肉食は避けるが乳製品は可。また宗派やカースト、地域や家庭などによって純菜食から肉食可まで様々な段階の戒律を持つ。牛、特に瘤牛は聖獣で絶対に食べない。
ジャイナ教

ジャイナ教は肉食を避けるだけでなく、耕す際に虫が死ぬ農業、火中に虫が飛んで入る火を使った料理なども行わず、卵や野菜[注 5]を食べない。ただし乳製品は可。この世に存在する限り間接殺は避けられないものであるため、ジャイナ教の僧は最終行として食を断ち餓死する。
仏教

仏教では自らの手で殺生をすることは禁じられているが、上座部仏教チベット仏教では肉食は禁じられていない。「五戒#不殺生戒」も参照

インドで発見された経典や北伝の初期仏教経典(阿含経)、南伝仏教パーリ語経典によれば、釈迦は直接殺を禁じ、菜食主義をに含めることを明確に拒否する記述があるだけではなく、肉を食べたことが記されている。さらに、釈迦に食事を振る舞うために、在家信者が肉を召使に買いにいかせた記述もあるので、肉食は不殺生戒を破ることにならない。ただし、肉が比丘や比丘尼のためにわざわざ殺されたことを見・聞・知した場合は、この肉を食してはならないと宣言している(三種の浄肉)。さらに、在家には「肉・人(奴隷)・毒・武器にかかわる職業に就いてはならない」と宣言している。

ただし、いくつかの病気の治療に肉をあげる記述も存在する。一見すると矛盾するが、これは当時のジャイナ教など他宗との間接殺に解釈の相違に起因するとされている。一方、中道を掲げ、極端な苦行を非難した仏教は、直接殺を避けるとともに、貪ることに戒め、全体的に間接殺を減らすのが第一であるとしている[30]

北伝の大乗仏教の経典では、釈迦が肉食をしたとの記述はないが、肉食が不殺生戒を破ると主張をする経典も存在しない[31]。しかし、全ての生き物に対する慈愛に基づいて肉食を避ける菩薩の道が強調されており、この論法で肉食を避けることの重要性を強調する記述が何度も見られる。この考えに則った大乗の菜食は、ジャイナ教徒の食事と似ており、肉食だけでなく、植物殺を生じる球根野菜の使用を避ける。ただしジャイナ教の僧侶のように、最終的に微生物の殺生をも避けるために、水を取ることさえ拒否し、入滅するようなことはない。台湾における仏教徒のための料理

中国仏教においては、南伝の経典も大まかに正統としながらも、大乗経典と食い違う部分は小乗の劣った教えとして認めない場合が多く、より厳格な菜食主義が主張される。仏教文化から発達した精進料理もベジタリアン料理の一種である。

中国語では素食(スーシー)と言い、台湾素食が知られている[32]

日本仏教では既に鎌倉仏教が厳格な菜食主義を放棄している一方で、精進料理の伝統も続けられている。僧の托鉢による受動的な肉食と在家の購買による能動的な肉食は異なるとして、托鉢以外の場合は菜食を奨励している場合もある。
キリスト教

宗教改革以前からあるキリスト教の教派には、金曜日などの特定の曜日や四旬節待降節にベジタリアン的な料理を作り、断食を守る伝統がある。これを小斎(ものいみ)などと呼ぶ。最も厳しい節制においては、カトリックでは肉、卵、乳製品が禁じられており、正教会ではさらに魚肉、オリーブ油(または植物油全般)も禁じられる。しかし、肉ではなく魚介であるという解釈のもとにベネズエラではカピバラアイルランドではカオジロガンなど水辺の鳥獣を食べてもよいとする例はあった(例として「中世料理」参照)。またカトリックにおいては20世紀後半から、この趣の節制は大幅に緩和された。

節制の時期などに関しては、それぞれの教派の項目および教会暦を参照のこと。
その他の宗教

セブンスデー・アドベンチスト教会 - 菜食主義(乳卵菜食)を奨励し、豚肉と鱗を持たない魚介類など、旧約聖書レビ記第11章で不浄とされる動物は忌避すべきとする。鶏肉と魚はどちらかというと食べても良いとする信者もいる。

ラスタファリアニズム


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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