ドラムスは総じてテンポが速く、またBPMが高くなくても手数が極めて多い傾向があるが、逆に重圧感を出すために極端にテンポを落とす場合もある。バスドラムを2つセッティングしたドラムセット(ツーバス)や、左右の足で1つのバスドラムを連続的に叩ける器具(ツイン・ペダル)を用いて、キックペダルを高速で踏み続けるプレイスタイルが採用されることがある。代表的なドラマーには、ジョン・ボーナム、コージー・パウエルらがいる。 攻撃的な音楽性に合わせ、歌詞の内容もやはり攻撃的なものが目立つ。一般社会では悪魔崇拝やオカルト、犯罪、麻薬についてなどが問題視され、特にキリスト教会や若者の親世代から批判の対象になることがある。これはこのヘヴィメタルのルーツ・バンドの一つであるブラック・サバスと、そのヴォーカリスト、オジー・オズボーンなど、複数のバンドのイメージによるところが大きい[7]。 ヘヴィメタルバンドの歌詞には、フォーク・メタルのように民俗音楽・民族音楽の影響を受けて歴史的事象を取り上げたものや、ユーライア・ヒープののアルバム『悪魔と魔法使い』の歌詞などファンタジーを感じさせるものなど様々なものがある。退廃的・反社会的な内容の歌詞でも、ブラック・サバスもそうだが単に衆目を集めるための「営業用」のものも多い。ブラックメタルやマリリン・マンソンのように、本格的に反キリスト思想を音楽活動の指針とし、歌詞にもその主張を取り入れているバンドも存在するが、その一方でストライパーのようなクリスチャン・メタルと呼ばれるバンドもある。また、ヘヴィメタルバンドの歌詞やパフォーマンスを、マチズモと結びつける者もある[8]。 政治的な思想信条や政党支持については、当然ながらミュージシャン個人によって異なる。アメリカのヘヴィメタルのミュージシャンの中には共和党の支持者もおり、ジョー・ペリー[9]、テッド・ニュージェント[注 3]、ジーン・シモンズ[注 4]、アリス・クーパー[注 5]、トム・アラヤ(スレイヤー)[10]、デイヴ・ムステイン(メガデス)、サリー・エルナ(ゴッド・スマック)らがいる(HMではないが、キッド・ロックも共和党とドナルド・トランプの熱心な支持者である)。一方で、ジョン・ボンジョヴィは反共和党で、民主党支持である[11]。日本においては、GALNERYUSの小野正利も靖国神社に参拝し竹島問題について言及している[12]。しかし、日本の場合は特に1980年代以降、音楽と政治思想を切り離そうと考える傾向が強まり、へヴィメタルに限らず、積極的に政治的な思想信条や支持政党を表明するミュージシャンは少なくなっている。 ヘヴィメタルのファッションを端的に表した言葉としては、「レザー&スタッズ」がよく知られる。革(レザー)のジャケットに鋲(スタッズ)を大量に打ち込んだものである。また、ステレオタイプなヘヴィメタルファッションとして、長髪、バンドロゴやアルバムジャケットをプリントした黒系のTシャツ、ジューダス・プリースト[13]のような皮のジャンパーや皮ブーツ、細身ジーンズとスケーターシューズの合わせ、迷彩柄のカーゴパンツ、衣類に打たれたスタッド(鋲)やスパイク、バンドロゴのワッペンや缶バッジを大量に付けたジャケット(パッチGジャン)などが挙げられる。 反キリスト的なコンセプトのあるバンドでは、逆十字やペンタグラムをかたどったアクセサリーを身につけたり、白粉をベースにおどろおどろしい模様をつけた化粧(コープスペイント)などを施すこともある。マリリン・マンソンは全身をキャンパスにしてメイクと変装を施し、「アンチクライスト・スーパースター」と自称したことで知られる。 しかし、例えば皮製のファッションは、ロブ・ハルフォードのSMファッションが由来であり[14]、他の例として黒人音楽を取り入れたコーンのようなニュー・メタルバンドでは、Bボーイファッションやストリート系ファッションを取り入れたり、スリップノットのようにマスクとユニフォームに身を包むなど、バンドやプレイヤー個人ごとのアイディアや音楽性、信条などから多様化しているのが実際である。 ヘッドバンギングした際の見栄えを良くするために長髪にしている者もいるが、HMは伝統的に長髪にするという側面もある。1990年代後半以降のジェイムズ・ヘットフィールドやフィル・アンセルモのように短髪の場合もある。ミュージシャンの高齢化により長髪を維持できずに短髪もしくは坊主頭にする者もいる。
文化的特徴
思想信条
ファッション
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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