1596年から1599年の間のいつかに書かれたと信じられている。書籍商アンドリュー・ワイズ(Andrew Wise
)とウィリアム・アスプレイ(William Aspley)によって1600年に書籍出版業組合に記録され、同年「四折版」が出版された(印刷はヴァレンタイン・シムズ Valentine Simmes)。『ヘンリー四世 第1部』より人気がなく、四折版での出版はこれのみである。次に出版されたのは1623年の「ファースト・フォリオ」である。出版前に「たびたび公演された」劇であることが四折版の表紙に書かれている。記録を見ると、1612年に王宮で『ヘンリー四世』2部作が上演されたとあるが、題名が『サー・ジョン・フォルスタッフ(Sir John Falstaff)』と『ホットスパー(Hotspur)』となっている。『フォルスタッフ 第2部(Second part of Falstaff)』と書かれてある記録は1619年の王宮での上演を指しているようである[2]。 「噂」が登場して口上を述べてから、劇が始まる。『ヘンリー四世 第1部』の続きで、シュルーズベリーの戦い
登場人物ヘンリー五世(ハル王子)若い女性を口説くフォルスタッフ(Eduard von Grutzner画、1884年)
噂(RUMOUR) - 口上役。
王ヘンリー四世(KING HENRY the Fourth)
ハル王子(HENRY, PRINCE OF WALES)、のちにヘンリー五世 - ヘンリー四世の子。
クラレンス公トマス(THOMAS, DUKE OF CLARENCE) - ヘンリー四世の子。
ランカスター公ジョン(PRINCE JOHN OF LANCASTER) - ヘンリー四世の子。
グロスター公ハンフリー(PRINCE HUMPHREY OF GLOUCESTER) - ヘンリー四世の子。
ウォリック伯(EARL OF WARWICK)
ウェストモーランド伯(EARL OF WESTMORELAND).
サリー伯(EARL OF SURREY)
ガワー(GOWER)
ハーコート(HARCOURT)
ブラント(BLUNT)
王座裁判所の首席裁判官(Lord Chief Justice of the King's Bench)
首席裁判官の従者(A Servant of the Chief-Justice)
ノーサンバランド伯(EARL OF NORTHUMBERLAND)
ヨーク大司教スクループ(SCROOP, ARCHBISHOP OF YORK)
モーブレー卿(LORD MOWBRAY)
ヘースティングス卿(LORD HASTINGS)
バードルフ卿(LORD BARDOLPH)
サー・ジョン・コルヴィル(SIR JOHN COLEVILLE)
トラヴァーズ(TRAVERS)とモートン(MORTON) - ノーサンバランドの家来。
サー・ジョン・フォルスタッフ(SIR JOHN FALSTAFF)
その小姓(His Page)
バードルフ(BARDOLPH)
ピストル(PISTOL)
ポインズ(POINS)
ピートー(PETO)
シャロー(SHALLOW)とサイレンス(SILENCE) - 地方判事。
デーヴィー(DAVY) - シャローの召使い。
モールディー(MOULDY)、シャドー(SHADOW)、ウォート(WART)、フィーブル(FEEBLE)、ブルカーフ(BULLCALF) - 新募集者。
ファング(FANG)とスネア(SNARE) - 警吏。
ノーサンバランド夫人(LADY NORTHUMBERLAND)
パーシー夫人(LADY PERCY)
クィックリー夫人(MISTRESS QUICKLY) - イーストチープのボアーズヘッド亭の女将。
ドル・ティアシート(DOLL TEARSHEET)
貴族たち、従者たち、Porter、給仕たち、Beadles、Grooms、他
踊り手(締め口上の語り手)
あらすじ
ロンドンに戻ったフォルスタッフは、居酒屋の女将クィックリー夫人や売春婦のドル・ティアシート相手に呑んで騒いでいる。第2の反乱が起きたので、徴兵しながら戦場に向かう。その途中、グロスタシャーで法学院時代の悪友だったシャロー判事と再会し、思い出話に花を咲かせる。
ヨークシャーのゴールトリーの森にいた反乱軍のところに、ランカスター公ジョンから和議の申し入れがあり、反乱軍はそれに応じる。しかし、首謀者たちは捕まり、ようやく反乱は終わる。
戦いには勝ったものの、ヘンリー四世は病気で倒れてしまう。心配だったハル王子とも和解して、安らかに死んでゆく。
フォルスタッフはハル王子が王に即位してヘンリー五世になったことを知り、褒賞を期待して、シャローを引き連れてロンドンに行く。しかし、生まれ変わったヘンリー五世はフォルスタッフを拒絶する。さらにフォルスタッフはこれまでの罪で監獄に連行される。
エピローグでは踊り手が現れ、締め口上を述べる。そこでヘンリー五世が主人公の続編の予告をする。フォルスタッフはフランスで発汗死する予定であると語られるが、完成した続編(『ヘンリー五世』)では変更されている。また、フォルスタッフはジョン・オールドカースルとは別人であることがわざわざ告げられる。 2012年にはBBCがテレビ映画シリーズ『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』の一篇として製作した。
映像化