ヘレーンは、ペーネイオス河とアイソーポス河のあいだにあるテッサリアー地方のプティーアーの王と見なされていた。彼の王位は息子アイオロスによって継承された[5]。
ヘレーンは山のニュンペーであるオルセーイス
を妻とし、そのあいだにドーロス、クスートス、アイオロスの兄弟が生まれた[1]。ヘレーンは息子たちにギリシアの土地を分けて与え、彼らはそれぞれの土地を支配した。クスートスはペロポネーソスの地を得、ドーロスはコリントス湾をはさんだペロポネーソス半島の対岸の地域を得た[注釈 1]。一方、アイオロスはテッサリアー地方とその周辺の土地を得た。ドーロスはドーリア人の祖とされ、またアイオロスはアイオリス人の祖とされる[6]。他方、クスートスはエレクテウスの娘クレウーサより二人の息子アカイオスとイオーンを得、二人はそれぞれアカイア人とイオーニア人の祖とされた[6]。ヘレーンの子孫たち(ヘレーネス、ヘレーンたち)は古代ギリシアの諸部族の名祖とされ、ヘレーン自身はギリシア人の祖とされたが、実際は事態は逆で、古代ギリシア人の名祖としてヘレーンという人物が創作されたとも言うべきである[4] [7]。 ウーラノス ガイア オーケアノス テーテュース
系図
イーアペトス クリュメネー
プロメーテウス エピメーテウス パンドーラー
デウカリオーン ピュラー
ヘレーン
ドーロス クスートス クレウーサ アイオロス エナレテー
イオーン アカイオス カリュケー アエトリオス
エンデュミオーン
脚注
注釈^ ストラボンによればパルナッソス山の周辺地域[5]。
脚注^ a b c アポロドーロス、1巻7-2 - 7-3。
^ a b c アポロドーロス、1巻7-2。
^ Grimal, p.190。
^ a b 呉茂一『ギリシア神話』、p.42。
^ a b ストラボン、8巻7-1。
^ a b アポロドーロス、1巻7-3。
^ 『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.258。
参考文献
アポロドーロス 『ギリシア神話』 高津春繁訳、岩波文庫 1953年、1982年改版36刷
ストラボン『ギリシア・ローマ世界地誌』飯尾都人訳、龍渓書舎 1994年
呉茂一 『ギリシア神話』 新潮社 1969年、1986年33刷
高津春繁編著 『ギリシア・ローマ神話辞典』 岩波書店、1960年、2007年27刷
Pierre Grimal The Dictionary of Classical Mythology Blackwell Publishing, 1986, ISBN 978-0-631-20102-1
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