ヘリコプター
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IGE[20]地面効果内の意味、OGE[21] は地面効果外の意味である。IGEは気流が乱れるため、機体が安定しにくく、OGEはメインローターの直径の半分以上の高さでなくなる。
トランスレーショナルリフト(転移揚力)
ホバリングの最中に前進操作を行い、ローター面に空気流入量が増え揚力が増す。前方からある程度風が吹いている場合はホバリングを行っている間でも揚力を受けているため、サイクリックを前方操作して機首が上がらないように抑えて対気速度を増して加速・上昇する。
トランスバースフローエフェクト(貫流速効果)
ブレードの先端付近では空気は下方向よりもむしろ渦状に流れる。前方から風が吹いている場合、この渦を流れる量が変化し、揚力に不均衡が生じる。それ以外にも、風によりメインローターの角速度が前方と後方で異なり揚力に不均衡が生じる。これらの不均衡や、渦状の空気の流れの変化によるジャイロ効果の結果、機体が左右に傾いたり機首の方向が変化したりする。
セットリングウィズパワー(ボルテックスリングステート
対気速度が少ない、または背風の時に垂直に降下するローターで作り出した空気の中にローターが入って揚力が下がり急降下する。コレクティブを下げたり、サイクリックの前方操作で回避する。
オートローテーション(自由回転飛行)
エンジンが停止しても降下を続けることでメインローターを回転させ、安全に降下飛行を続ける状態をいう。旋回や降下率をある程度制御できるので、安全に着陸できる。これにより、エンジン停止などの緊急事態の際、地上の一点に着陸させることが可能。固定翼機(通常離着陸機)が長大な着陸場所を必要とするのに対し、広い着陸場所を必要としないので、運用上非常に都合がよい。しかし、この状態での着陸は、極めて高度な操縦技量が要求される。
動力装置

ヘリコプターの原動機にはレシプロエンジンターボシャフトエンジンが利用されており、両者ともトランスミッションを介してローターを駆動させる。レシプロエンジンは、燃料消費量が少なく、安価であるが、振動が大きく、出力当たりの重量やエンジン自体の容積が大きい。ターボシャフトエンジンは、振動が小さく、出力当たりの重量やエンジン自体の容積が小さいが、高価であり、燃料消費量が多いが、その問題は技術の進歩により問題ではなくなってきている[19]。下記三種類の他に、回転翼端に取り付けた(ラム)ジェットエンジンなどの噴進機構で回転翼を回転させるチップジェットも過去には試作された。

1980年シコルスキー人力ヘリコプター賞が設立されたことで、記録挑戦用として個人や大学のチームが人力ヘリコプターを製作するようになった。日本ではYURI-Iなどが飛行に成功している。
レシプロエンジン

エンジン回転数を一定に保ちながら、必要な馬力に応じてエンジンのスロットルを開閉させて出力トルクを増減させるため、コレクティブピッチレバーの位置に連動してエンジンのスロットルが動くようになっており、コレクティブピッチレバーの先端には、コレクティブピッチレバーの位置はそのままにエンジンの回転数だけを修正するスロットルコントロールグリップがあり、グリップを回すことでエンジンのスロットルが動くようになっている[19]
ターボシャフトエンジン詳細は「ターボシャフトエンジン」を参照

エンジン自体に、機体側に掛かる負荷に対して常にエンジン回転数を一定に保つ燃料コントロール装置が装備されており、エンジン回転数の制御はエンジンをカットオフからフライトアイドルまでを制御するスロットレバーとフライトアイドルから最大出力までを制御する回転数コントロールレバーにより行われるが、エンジンの種類によっては、これらのレバーを1本のレバーにまとめたものがある。そのため、エンジン回転数を制御するには、コレクティブピッチレバーに連動して回転数コントロールレバーを動かす必要がある。また、コレクティブピッチレバーの先端には、エンジンの回転数を任意に制御できるビーブトリムスイッチがある[19]
電動機単座の電動ヘリコプターSolution F/Chretien helicopter

他の動力と同様に、回転数を一定に保ちローターのピッチ角で揚力の制御を行うものもある。マルチコプターなど複数のローターを備えるものは固定ピッチで、各電動機の回転制御のみで揚力や姿勢を制御している。

有人機では電動機を動力とする電動ヘリコプターの試作が行われている。日本では有人搭乗操縦電池電源電動ヘリコプターに対応する航空従事者技能証明などの「航空機の種類についての限定」制度が存在しない。

無人機では小型のマルチコプターが普及しており、趣味、撮影、農薬散布などの用途で使われている。

テールローターを電動ファンに置き換えた実験機も登場している[22]
メインローター詳細は「ヘリコプターのローター」を参照陸上自衛隊のUH-1J(ベル204)のメインローターのローターヘッド下部の写真 
1、下部スワッシュプレート(操縦装置と結合され機体側に固定している側のスワッシュプレート)
2、上部スワッシュプレート(ローター・マストと共に回転している側のスワッシュプレート)
3、コントロールロッド(ローター・マストと共に回転しており、マスト上部にあるピッチリングと結合されている)
4、油圧ダンパー(マスト上部とロッドで結合されている)メインローターと尾部を折り畳んたMCH-101

メインローターの翼の1枚1枚をブレードと呼ぶ。このブレードは固定翼機での主翼とエレベーターやエルロンの機能を兼ね備えており、進行方向と対気速度、上昇や下降運動中や加減速運動、ブレード自身の回転に対する加減速によって複雑な動きをする。

ブレードはローターヘッド、又はハブと呼ばれる回転軸の取り付け部に取り付けられている。ヘリコプターには全関節型、半関節型、無関節型、ベアリングレス型のローターヘッド形式がある(後述)。

艦載機として設計された機体にはメインローターを折り畳む機構を備えた機種もある。
回転方向

メインローターの回転方向は、上から見て米国製のヘリコプターでは反時計回り、欧州製では時計回りであることが多い(ドイツ製は反時計回り)。このため、ヘリパイロットが機種転換を行なう場合には異なった回転方向の機種では困難が伴う(トルクに変化があった場合、機体のヨーイング方向が逆になるため)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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