ヘリコプター
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2021年にはアメリカ航空宇宙局(NASA)が火星に送り込んだ無人ヘリコプター「インジェニュイティ」(Ingenuity)が飛行を成功させ、地球の大気より遥かに希薄な火星の大気でもヘリコプターが実用可能であることを実証した[15]
用途火器により武装した軍事用途のヘリコプター(Mi-24A

ヘリコプターは滑走路を使わず離着陸できるため様々な場所で利用されている。主な用途は人員輸送、貨物輸送、人命救助、報道、遊覧などである。

人員や貨物の輸送では、滑走路のない離島、山間部、石油プラットフォーム、ヘリポートのある都市部のビル屋上への離着陸。

空き地などへの離着陸も可能なため救急搬送用のドクターヘリ、ホバリングも可能なので災害救助用の警察や消防などの防災ヘリコプター、船舶のヘリパッドにも離着陸できるため沿岸警備隊海上保安庁巡視船での洋上捜索救難活動にも使用される。

軍事用としては、警戒監視、対潜哨戒機攻撃機としての用途もある[注 3]。その他、テレビ局の報道中継用、空撮農薬散布用の小型機、遊覧飛行用などとしても使われる。
用語
構造

ヘリコプターはその機構の複雑さからか「機械仕掛けの神」と称される事もあり[16]航空宇宙工学の一分野としてヘリコプタ工学がある[17][18]
メインローター
機体上部で回転する翼のことで、これが回転翼の名称由来になっている。回転する事により飛行に必要な揚力を得る。また、回転面を傾ける事により、前後左右の飛行が可能となる。エンジンで生み出された動力は、メイン・トランスミッションを介して望ましい回転数まで減速させてからメインロータを300 - 400rpmで回転させて飛行する。また型式や配列により、様々な種類に分類される。
テールローター
機体尾部にある小さな回転翼。メインローターが回転することで、機体が反作用によって逆回転方向の反作用「反トルク」(逆トルク、アンチ・トルク)を受ける。このままでは、機体が回転して操縦不能となるため、機体尾部に長く伸びた先のテールローターによって横方向に押す力を生み出し、メインローターの回転とは反対方向に回転力を与え、機首方向の安定を図る。また、テールローターの回転翼のブレードの迎え角の角度を調整することにより、それが作る推力を加減することによって機首方向を変化(飛行中に瞬時に反転、引き返す)させるのにも使用される。テールローターはエンジンからメイン・トランスミッションで望ましい回転数まで減速され、テールロータードライブシャフトを介してテール・トランスミッションでさらに回転数を減速した後に駆動されており、1,300-2,100rpm程度の回転数で常に回っている。型式や配列によっていくつかの種類がある(後述)[19]
スワッシュプレート
スワッシュプレート(
: Swashplate)とは、コレクティブピッチ・レバーまたはサイクリックピッチ・スティックの操作(後述)をメインローターのブレードに、ラダーペダルの操作(後述)をテールローターのブレードに伝達する機構である。ローター・マストと共に回転している側のスワッシュプレートと機体側に固定されローター・マストとは回転せず操縦装置と繋がっている側のスワッシュプレートで構成されており、両者はベアリングを介して結合している。機体側の操縦装置のリング機構とローター側のブレードとの間に設けられており、メインローターでは、ローターヘッドの下部にあるメインローターシャフトに、テールローターでは機体後方のテールブームから横に伸びるテイルローターシャフトに取付けられている。実際の操作の伝達は、まず操縦装置と繋がっているリング機構からスワッシュプレートに伝達され、そこからピッチリングとピッチアームを介してブレードに伝達されることで、ブレードの迎え角の変化を伝達できるようになっている[19]
前進または後退側ブレード
ヘリコプターが前進飛行状態にあるとき、ブレードを識別するために用いられる。前進ブレードとはローターの回転によりヘリコプターの進行方向に前進するブレードをいい、後退ブレードとはローターの回転によりヘリコプターの進行方向と反対の方向に動くブレードをいう。
翼型
ヘリコプターでは通常はメインローターの回転翼断面形状を指すが、テールローターにも翼型はある。主に空気力学的に効率良く揚力を得るための形状となる。
フリーホイールクラッチ
エンジンの駆動パワーを一方向へしか伝えない機構である(フリーホイールを備えた一般的な自転車のペダルに似ている)。ヘリコプターは飛行中エンジンが停止しても、正しい手順に従えばローターを回転させ続け穏やかに地面に降りることができる。しかしこの時エンジンとローターが固定ギア自転車のペダル如く固定されていると、停止したエンジンが逆に抵抗になってしまう。これを防ぐためフリーホイールクラッチが搭載されている(ただし、それが仇となりエンジンが停止することがある)。フリーホイールクラッチにはローラー型とスプラグ型があり、エンジンからのインプットシャフトとメイン・トランスミッションの間に装備される。構造としては、エンジン側の外輪とトランスミッション側の内輪とが、同じ方向に回転する場合には動力が伝達されるが、エンジン側が故障や出力の減少などで回転数が減少して、エンジン側の外輪の回転がメイン・トランスミッション側の内輪の回転より遅くなった場合には、動力の伝達が解除される仕組みとなっている[19]
遠心クラッチ
ヘリコプターのメインローターは非常に重いため、飛行機のようにスターターでプロペラごとエンジンを回転させ始動させることは出来ない。そこで、エンジン始動時でのエンジン回転数が低い時では、エンジンとメイン・トランスミッションを切り離しておき、エンジン回転数を大きくすると、エンジン出力をメイン・トランスミッションに伝えるクラッチである。ピストンエンジンで駆動されるヘリコプタに搭載されており、構造としては、エンジンと結合されたクラッチスパイダーに取付けられたクラッチシューが、遠心力により外側に押出されてメイン・トランスミッション側の遠心クラッチドラムに固着することで動力伝達を行う仕組みとなっている[19]
操縦ヘリコプターの地面効果
コレクティブピッチ
略称でCPとも表す。メインローターまたはテールローターのブレードの迎角を同時に変化させることにより、上下方向のまたは左右方向の揚力を同時変化させる事を言う(例として竹とんぼは迎角を変化させられないので、回転が高速であればあるほど高く上昇する)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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