1995年にゲン・コーポレーションによって1人乗りのH-4の試験飛行が実施された。その他には国内の愛好家が製作したホームビルト機で実際に飛行した例が複数ある。
2017年時点、東邦航空により八丈島 - 御蔵島 - 三宅島 - 伊豆大島 - 利島の往復と、八丈島 - 青ヶ島の往復で東京愛らんどシャトルと名付けられた定期航路が運航されている。これが日本で唯一の定期乗合ヘリコプター航路である。社用機としても一定の需要があり、中小の航空会社では運航を受託するビジネスを展開している。
香港とマカオではこの2点間を結ぶヘリコプターの定期航路(香港エクスプレス航空)があり、かつてこれは世界で唯一のヘリコプターによる国際線の定期航路であったが、どちらも中国に返還されたため、現在では(出入境にパスポートが必要ではあるものの)国内便として運航されている。その他、利用客の多い定期路線としてはモナコ - ニース(フランス)間やバンクーバー - ビクトリア間などがある。
2021年にはアメリカ航空宇宙局(NASA)が火星に送り込んだ無人ヘリコプター「インジェニュイティ」(Ingenuity)が飛行を成功させ、地球の大気より遥かに希薄な火星の大気でもヘリコプターが実用可能であることを実証した[15]。
用途火器により武装した軍事用途のヘリコプター(Mi-24A)
ヘリコプターは滑走路を使わず離着陸できるため様々な場所で利用されている。主な用途は人員輸送、貨物輸送、人命救助、報道、遊覧などである。
人員や貨物の輸送では、滑走路のない離島、山間部、石油プラットフォーム、ヘリポートのある都市部のビル屋上への離着陸。
空き地などへの離着陸も可能なため救急搬送用のドクターヘリ、ホバリングも可能なので災害救助用の警察や消防などの防災ヘリコプター、船舶のヘリパッドにも離着陸できるため沿岸警備隊や海上保安庁の巡視船での洋上捜索救難活動にも使用される。
軍事用としては、警戒監視、対潜哨戒機や攻撃機としての用途もある[注 3]。その他、テレビ局の報道中継用、空撮、農薬散布用の小型機、遊覧飛行用などとしても使われる。 ヘリコプターはその機構の複雑さからか「機械仕掛けの神」と称される事もあり[16]、航空宇宙工学の一分野としてヘリコプタ工学がある[17][18]。
用語
構造
メインローター
機体上部で回転する翼のことで、これが回転翼の名称由来になっている。回転する事により飛行に必要な揚力を得る。また、回転面を傾ける事により、前後左右の飛行が可能となる。エンジンで生み出された動力は、メイン・トランスミッションを介して望ましい回転数まで減速させてからメインロータを300 - 400rpmで回転させて飛行する。また型式や配列により、様々な種類に分類される。
テールローター
機体尾部にある小さな回転翼。メインローターが回転することで、機体が反作用によって逆回転方向の反作用「反トルク」(逆トルク、アンチ・トルク)を受ける。このままでは、機体が回転して操縦不能となるため、機体尾部に長く伸びた先のテールローターによって横方向に押す力を生み出し、メインローターの回転とは反対方向に回転力を与え、機首方向の安定を図る。また、テールローターの回転翼のブレードの迎え角の角度を調整することにより、それが作る推力を加減することによって機首方向を変化(飛行中に瞬時に反転、引き返す)させるのにも使用される。テールローターはエンジンからメイン・トランスミッションで望ましい回転数まで減速され、テールロータードライブシャフトを介してテール・トランスミッションでさらに回転数を減速した後に駆動されており、1,300-2,100rpm程度の回転数で常に回っている。型式や配列によっていくつかの種類がある(後述)[19]。
スワッシュプレート
スワッシュプレート(英: Swashplate