ヘモグロビン
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かわりに、体重の半分ほどに達する重量のバクテリア(硫黄酸化細菌)を体内に飼っており、熱水噴出孔からのH2Sと水中のO2を取り入れ、共生細菌によるH2OとCO2からATPを生み出す反応によってエネルギーを得る。また、血液中には144ものグロビン鎖を持つ巨大ヘモグロビン他、複数存在する。この生物は、末端に濃い赤色の扇状の器官(plume) を持ち、それを海水中に伸ばして、呼吸のためにO2を、バクテリアのためにH2OとO2を吸収し、また同化のためにCO2を取り入れている(光合成を行う植物と同様)。この器官は鮮やかな赤色をしているが、これは何種かの非常に巨大なヘモグロビンのためである。通常、ヘモグロビンは、硫化物に働きを阻害されるが、これらチューブワームのヘモグロビンは、硫化物と酸素の両方を運搬できる点で特徴的である。
著名な研究者

マックス・ペルーツジョン・ケンドリュー - ヘモグロビンなどタンパク質の立体構造を解明し、1962年ノーベル賞を受賞。

クロード・ベルナール - 血液中のヘモグロビンの役割を解明。一酸化炭素との親和性にも言及。

他の酸素結合タンパク質
ミオグロビン
ヒトを含む多くの脊椎動物の筋肉組織に見られる。筋肉組織の色に赤と灰色があるのはこれのためである。タンパク質としての構造と配列はヘモグロビンに非常に近いが、4量体ではなく単量体であり、cooperative binding(英語版)を持たない。酸素運搬よりも、酸素の貯蔵のために用いられる。
ヘモシアニン
自然界で2番目に多く見られる酸素運搬タンパク質である。多くの節足動物・軟体動物の血液に見られる。鉄原子のヘム基のかわりに銅の補欠分子族を持つ。酸素結合時は青色になる。
ヘムエリスリン
海棲の無脊椎動物と、環形動物のいくつかの種の血液中に存在し、酸素を運搬する。ヘム基ではない鉄原子を含む。酸素結合時はピンクから紫色になる。非結合時は透明である。
クロロクルオリン
多くの環形動物に見られる。エリトロクルオリンに非常に近いが、ヘム団の構造が明らかに異なる。酸素非結合時は緑色になり、結合時は赤色になる。
ヴァナビンス(英語版)
vanadium chromagensとしても知られる。ホヤの血液に見られる。酸素結合のために、レアメタルのバナジウムを補欠分子族の中に含んでいると推測されている。
エリトロクルオリン
ミミズを含む多くの環形動物に見られる。巨大分子の血中遊離タンパク質で、鉄原子・ヘム基と結合したタンパク質サブユニットが数十から数百集まって、分子量350万Da以上の複合タンパク質を作っている。
ピンナグロビン(英語版)
二枚貝の一種Pinna squamosa (fr:Pinna nobilis) でのみ見られる。茶色の、マンガンを含むポルフィリンを持つタンパク質である。
レグヘモグロビン(英語版)
アルファルファダイズなどのマメ科の植物で見られる。これらの根には窒素固定バクテリア(根粒菌)がいるが、このタンパク質により酸素から守られている。鉄ヘムを持つ。
脚注[脚注の使い方]^ヘモグロビンF
^ a b 加藤真由佳, 田中雅彦, 松井みどり, 橋本由徳, 神谷葉子, 神谷剛, 渡邉賢司「ヘモグロビンA1c異常低値を契機に診断された異常ヘモグロビン症の2家系,4例」『医学検査』第63巻第4号、日本臨床衛生検査技師会、2014年7月、434-439頁、doi:10.14932/jamt.13-109、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0915-8669。 
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^ 生物学 第2版 ? 第39章 呼吸器系 ? 著:オープン教育リソース(OER : Open Educational Resources)、翻訳;Better Late Than Never

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