ヘッドフォン
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一般的なステレオ音源はの空間伝播によるクロストークを生じるステレオスピーカー(厳密には音楽スタジオのモニタースピーカーの配置)を基準として制作[3]されているため、クロストークが極めて少ないヘッドフォンを何も工夫せずに利用した場合は基準とは異なる再生方法となり、左・右の音が極端に分離した不正確な空間表現を感じることになる。この違和感を解消して聴感上の空間表現を正確にする目的で、一般的なステレオ音源で想定されている据え置き型のステレオスピーカーでの再生に近づけるために意図的にクロストークを起こすためのクロスフィード機能を搭載したソフトウェア[4][5]オーディオ機器[6][7]が存在する(有料製品では高度なアルゴリズムを使用した製品があるが、無料で十分な再生品質を担保したWindows向けソフトウェアとしてはFoobar2000におけるMeier Crossfeedコンポーネント[8]が存在する)。但し、バイノーラル録音作品の場合は初めからヘッドフォン再生に最適化して制作されているためクロスフィード機能を使用しない方が正確な空間表現を感じることができる。従って、ヘッドフォンで一般的なステレオ音源を正確に再生するためには、制作時に基準としていた再生環境に合わせて音の加工を行った上で再生する必要がある。
技術上の定義

電子情報技術産業規格には次のような定義がある[9]。なお、電子情報技術産業規格、および日本産業規格、一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会[10]では「ヘッドホン」及び「イヤホン」表記である[9][11]
イヤホン
イヤホンとは「電気信号を音響信号に変換する電気音響変換器で音響的に耳に近接して使用するもの」をいう(電子情報技術産業規格JEITA RC-8140C 3(1))[9]
ヘッドホン
ヘッドホンとは「1個又は2個のイヤホンとヘッドバンドもしくはチンバンドと組み合わせたもの」をいう(規格3(2))[9]
ヘッドセット
ヘッドセットとは「装着者の音声を収音するマイクロホンを組み込んだヘッドホン」をいう(規格3(3))[9]
イヤセット
イヤセットとは「装着者の音声を収音するマイクロホンを組み込んだイヤホン」をいう(規格3(4))[9]

なお、過去の日本のNHK規格ではイヤフォンとヘッドフォンの区別はされず、ヘッドバンドを有し両耳に当てる形状のものは両耳載頭型イヤフォンとされ、さらにステレオ型、モノラル型として分けられていた[12]
技術上の分類

上の「技術上の定義」で形状の違いによる技術的定義を説明したので、その流れで当節でも、まずは形状の違いによる分類から解説し、つづいて人間の外耳への音の伝え方による分類を解説し、最後に核心部分である#変換器の原理による分類について解説する(なお最後に解説する変換器の原理の違いが音質に一番影響しており、実は最重要な違いである)。
全体形状による分類
耳覆い型(ヘッドバンド型?軽量オープンエア)

耳覆い形は大きく耳を覆い込む形状で装着時には十分な空洞ができるもの[9]


ヘッドバンド型かつ密閉型の例。通常は「密閉型ヘッドフォン」などと呼ぶ。(オーディオテクニカ ATH-A500)ヘッドバンド型。空洞はさほど無いタイプ。


ヘッドバンド型
ヘッドバンドを頭の上に乗せるものである。「オーバーヘッド型」とも呼ばれる。1970年代までヘッドホンの装着スタイルはヘッドバンドの形態に限られていた[13]。耳に良く密着し、密閉型では音漏れしにくいものが多い。しかし、持ち運ぶときにかさ張る、髪型が乱れるなどの理由で敬遠されやすい。折り畳み型もある。

軽量オープンエア
1979年に発売された非常に軽量な機種で戸外に音楽を持ち出す文化を生み出すきっかけとなった[13]
イントラコンカ型(インイヤー型、インナーイヤー型)インイヤー型

イントラコンカ形は耳甲介腔にはめて使用するもので、音響出力孔が外耳道近くになるように設計されたもの[9]。耳甲介腔に収まるサイズのものは1982年に開発されインイヤー型などともいい後にヘッドホン市場の大半を占めるほど一般的に普及した[13]
スープラコンカ型

スープラコンカ形は耳甲介腔の周辺にある隆起に載せて使用するように設計されたもの[9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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