ヘッドフォン
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

そのためポータブル向けのものは64Ω程度までの低インピーダンスのものが一般的である[20]。高インピーダンスのヘッドフォンはアンプやケーブルなど接続した機器による外的影響を受けにくいものの[19]、低出力のポータブル機器では駆動力不足によりヘッドフォン本来の能力を発揮できない場合がある[21]。なお、ヘッドフォンのインピーダンスはIECの規定で、1(kHz)の交流印加時のものを示すものとされており、典型的なダイナミック型であれば、R+jXであるから、これよりも低い周波数では低く(例えば直流を加えた場合には純抵抗成分Rのみになる)高い周波数では高くなる。
圧電型

薄い圧電体を2枚の金属板で挟み、これに音声電圧を加えることによって圧電効果ピエゾ効果)による振動を発生させる方式である。インピーダンスが高過ぎて通常のアンプとは合わないため、動作させるためには専用機器を使う必要がある。歪や再生周波数帯域の点でダイナミック型に劣るため、2021年現在、生産しているメーカーはラディウス(ドブルベ)のみである。圧電体がロッシェル塩であればクリスタル型、圧電セラミックであればセラミック型となる。
マグネチック型

磁石に取り付けた固定コイルに電流を流し、磁石の吸引力を変化させて振動板を兼ねる鉄片を振動させる方式。吸引力が非線形なため歪が出やすく、鉄片が磁石に吸着してしまわないように振動系を固く支持する必要があるため、周波数帯域が狭くなるという原理上の欠点がある。

最も簡便であり、音質も音声情報を認識する最低限のものであるためヘッドフォンとは区別されることも多い。一般に片耳モノラルイヤホンであり、その場合は丸みを帯びた開口部を外耳道に数ミリ挿入する。外耳道の入口で支持するだけのため脱落しやすい。
バランスド・アーマチュア型バランスド・アーマチュア型の原理
コイルでアーマチュア(電機子)を振動させ、ドライブロッドを経て振動板を振動させるJH Audio製バランスド・アーマチュア型IEMの上級モデル
高域用4つ、中域用4つ、低域用4つの(片側)合計12ドライバーを搭載する。

マグネチック型とほぼ同じだが、マグネチック型が鉄片を直接振動板として用いるのに対して、こちらは鉄片(アーマチュア、電機子)の振動を細い棒(ドライブロッド)で振動板に伝えて振動させる点が異なる。ダイナミックスピーカーが普及するまでテレビやラジオの個別聴取のために使用されてきたマグネチックスピーカーとよく似た構造[22]となっている。

ダイナミック型と比較すると、吸引力が非線形なため歪が出やすく、鉄片が磁石に吸着してしまわないように振動系を固く支持する必要があるため、周波数帯域が狭くなるという原理上の欠点がある。しかし、ダイナミック型より小型化が容易なことから、音質よりも小型化が要求される外耳道挿入型補聴器等によく用いられている。

インイヤーモニターの高級タイプでは、低域用・中域用・高域用など帯域ごとに専用ドライバーに分けて、周波数帯域が狭いなどの原理上の欠点をある程度改善した製品が開発されている。
静電型スタックス製のイヤースピーカーの廉価モデル。右側の箱は駆動用のアンプ

コンデンサ型またはエレクトロスタティック型とも呼ぶ[23]。背極(ステーター)のごく近傍に薄い導体の膜(振動膜)をおく。振動膜に直流電圧(バイアス電圧)をかけ、背極に音声の交流電圧をかけると静電力の変化によって振動膜が振動する。通常は背極を2枚用意し、その間に振動膜を置く(プッシュプル方式)。背極には空気を流通させる穴をあける。電圧に対して線形な静電力が振動膜の全面にほぼ均一に発生するため、低歪でしかも周波数特性に有害な分割振動が起こりにくいという特長がある。静電型は高い電圧を必要とし、抵抗負荷ではないため専用のアンプが必要である。

最初に製品化したスタックスは、静電型ヘッドフォンと専用ヘッドフォンアンプの製造に特化した企業である(同社ではイヤースピーカーと表記)[23]
クリスタル型

そもそもは、ロッシェル塩の逆圧電効果を利用したものである。ロッシェル塩は正圧電効果のある物質であり、クリスタルイヤホンはそのままでクリスタルマイクにもなる。ロッシェル塩は電場により伸縮する。このことから高い入力インピーダンスとし、微弱な電力で音を発生させることができるため、初期の鉱石ラジオなどでは必須のイヤホンであった。近年まで学習教材用などとして製造されていたが、ロッシェル塩には潮解性があり、耐久性に難があることから、近年は「クリスタル(イヤホン)」と謳っていてもセラミック型とされているものがほとんどである。2021年現在、ロッシェル塩を用いたイヤホン、マイクを製造しているメーカーはない。
音響機器との接続
有線方式

ヘッドフォンは、通常フォーンプラグ(とフォーンジャック)(コネクタの一種)を用いて音響機器と接続できるようになっている。たとえばウォークマンiPodなどのデジタルオーディオプレーヤーメディアプレーヤー携帯電話スマートフォンCDプレーヤー、パソコンコンポーネントステレオである。

接続端子は、据え置き型のコンポーネントステレオの場合は、もともとはもっぱら直径6.3mmのステレオプラグ(コネクタ)が用いられていたが、その後に登場したポータブルオーディオや小型ステレオ機器への接続では、3.5mmのステレオミニプラグ(コネクタ)が用いられることが多く、なかにはさらに小型の専用端子などが用いられる例も一部にある。またミニプラグ・標準プラグの両方に対応させるため、ヘッドフォンに最初から変換プラグが付属しているものも多い。

なお、有線方式のヘッドフォンの一部に、D/Aコンバータを内蔵しデジタル端子(デジタルオーディオケーブル)で接続可能なものもある。DVDプレーヤーなどからアンプを介さず再生する他、パソコンのサウンドカードあるいはオンボードのデジタル端子に接続したり、パソコンのUSB端子iPhoneライトニング端子に接続する製品がある。
無線方式


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:81 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef