ヘアヌード
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1990年代前半 「ヘア解禁」

1990年代は、ついにヘア解禁の時代となる。1990年5月、NHK教育テレビが篠山紀信撮影の『TOKYO NUDE』のヘアー写真を放映。同年には温泉紹介ビデオ『美女紀・女の秘湯』でヘアーが出るなど、本格的なヘア解禁時代の幕開けとなる。

1991年1月、篠山紀信撮影の樋口可南子写真集『water fruit 不測の事態』では数枚の写真に明白に陰毛が写っていたが、警察は摘発を行わず、口頭での警告にとどめた。これが事実上の日本の出版・映像業界における「ヘア解禁」となり、以後続々と出版されるヘアヌードブームの先鞭をつけることとなる[4][8]

4月に『ANAN』で男性モデルとしてヘア露出していた本木雅弘が7月にヘアヌード写真集『ホワイト・ルーム』を発売、さらに11月、当時トップアイドルであった宮沢りえの『Santa Fe』が発表され社会的関心事となる[注 2]。宮沢のヘア・ヌードは決定的で、これ以前とこれ以後でヌード表現が分かれるほどの衝撃を与え、社会のヌードに対する見方も大きく変わった[9][10]。宮沢の影響で、フェミニズム(女性解放・女性主体)の姿勢からのヌードが増え、人気のある芸能人がヘアヌード(全裸)まで見せる敷居も低くなり[12]角松かのり三浦綺音麻生ひろみ・EN DOLL等、アイドル性を保持したままヌードまで見せるヌードアイドル(ヌードル)と呼ばれるアイドルも活動した[13][14]。一方、その様なブームの中で、高須基仁・二見暁等、「脱がし屋」と呼ばれるヘアヌードの仕掛け人が暗躍するようにもなる[15]

7月10日には、東京国際映画祭で『美しき諍い女』が無修正のまま、芸術性を競う目的のもとで上映される。これは各国映画祭では無修正で上映されるものが日本だけではできないのはおかしいという税関と映倫の判断によるもので、芸術性の高いものに関してはヘア表現が許される流れを生んだ。

そして1992年4月27日、映倫は猥褻基準の見直しを公表、10月から「原則として日常生活を描写したところでの陰毛表現は問題なし」との見解を出し、これにより流れは決定的に変わる。同年6月には東郷健が輸入ポルノ税関料収事件に勝訴、個人が楽しむ分にはお咎め無し、ということにもなった。

しかし一方で警察は「陰毛よりさらに過激化した性器の露出表現」に対して取り締まりを進めた。結果、1991年5月『週刊テーミス』のAV現場撮影で男優の陰毛のみならず性器が未修正で掲載された件で編集長は始末書を提出し、同誌は廃刊、同7月に狙って性器を掲載した『スパイ』誌もほどなく摘発され廃刊となっている。1994年には、加納典明の『ザ・テンメイ』への警告に続き、翌1995年2月、『きくぜ2!』を摘発、加納と竹書房社長を逮捕し、『ザ・テンメイ』を休刊に追い込んでいる[4][16]

また、依然として陰毛表現に対しても、1992年4月にヘアヌードを載せた荒木経惟の『写狂人日記』を摘発、『週刊ポスト』へ警告を発するなどしており、1993年1月の『週刊新潮 1/14両号』のヘアヌードでは「発行部数の多さ」、「芸術性は認められるものの、一部でヘアー解禁を受けとめられるおそれがある」(警視庁)との理由で事情聴取を行っている。だが、宮沢りえ以降の勢いはとどまることなく、ヘアを理由とした規制は行われなくなり、大量のヘアヌード写真集が1990年代を通じて出版された[17]
1990年代後半・「一般化」

1995年以降インターネットが一般化していくと、直接無修正の海外表現を閲覧できるようになって、陰毛が写っているかどうかを猥褻の基準とすることは、まったく無意味なものとなってきた[18]。そのため雑誌(週刊誌月刊誌等)のグラビアや写真集、アダルトビデオイメージビデオ等様々な媒体でヘアが写っていることは特別なことでは無く、むしろ雑誌にヘアヌードが無ければおかしいぐらいに毎週、毎月ヘアヌードを載せるようになり、中にはグラビア全てがアダルトモデルによるヘアヌードという一般誌もあった。こうして、ヌードは性器さえ見せなければ「ヌード=ヘアヌード」ということになり、多くのアダルトモデルがヘアヌードを見せるのはそのモデルを(AV女優に)売り出すための手段となってきていた。しかし、話題性としてのヘアヌードは残り、大物芸能人によるヘアヌード写真集が断続的に出版され続ける[19][注 3]

1990年代も終盤になると、過熱化したヘアヌードの流行も沈静化の方向に向かっていくが[21][22][23][24]、1997年には宮沢同様に当時トップアイドルであった菅野美穂の『NUDITY』が話題をさらう[25][26]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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