プロ野球選手
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メジャーリーグの選手メジャーリーグの選手(アレックス・ロドリゲス

アメリカ合衆国カナダメジャーリーグベースボール(MLB)を、日本では英語でMLBの選手を意味する「メジャーリーガー(Major Leaguer)」といった言葉をそのままカタカナ語として用いて呼称することがある。

メジャーリーグは、その強い競争原理から日本のプロ野球より厳しい環境であるとされ、成績が伴わなければ契約が更新されず直ちに自由契約、またはシーズン途中でもマイナーリーグのチーム行き、故障で成績が上がらない間にトレードで代わりの選手が入れば戦力外通告、などが普通に行われ、選手は常に厳しい立場に立たされる[31]。また、マイナーリーグとメジャーリーグには選手の待遇に大きな差があることも特徴で、両者の給料の格差を指してマイナーリーグを「ハンバーガー・リーグ」、メジャーリーグを「ステーキ・リーグ」と呼ぶ事もある[32]大谷翔平を説得するために用意された日本ハムの「大谷翔平君 夢への道しるべ?日本スポーツにおける若年期海外進出の考察?」では「メジャーリーグは選手を淘汰する仕組み、日本プロ野球は選手を引き上げる仕組み」と説明し、直接渡米して過酷なマイナーリーグで生活するよりも日本で経験を積んだほうが良いと説明し、契約に成功した[33]

ただし、選手にとって厳しい面ばかりではなく、長年に渡って好成績を残し続けたり、非凡な才能を評価されたりと球団にとって必要不可欠な選手と見なされた場合には年俸は天井知らずとなり[注釈 8]、トップ選手となれば高級住宅街に豪邸を構えるなど「アメリカン・ドリーム」とも言うべき成功を収めることができる[21]。そのようなスター選手の移籍に伴う獲得合戦の際には数億ドル(数百億円)という大金が動く[34]アレックス・ロドリゲス2007年10月にニューヨーク・ヤンキースと10年総額2億7,500万ドル、出来高も含めると3億ドルの大型契約を結んだ他、ジャンカルロ・スタントンは2014年オフにマイアミ・マーリンズとの間に総額3億2,500万ドル+出来高の13年契約という北米プロスポーツ史上最高総額の超大型契約を結んでいる[35][36]。選手側も少しでも良い条件を引き出すために、球団と契約交渉を行うためのスポーツエージェントを置く代理人交渉制度が主流となっており、契約に関連するビジネスも発展している。
国際大会への出場北京オリンピック野球競技日本野球代表(イチロー)

それまでオリンピックを含む国際野球連盟(IBAF。現世界野球ソフトボール連盟、WBSC)管轄の国際大会はアマチュアのみの出場であったが、他競技でのプロ解禁の流れを受けて1997年にIBAFはそれらの国際大会へのプロ出場を解禁することになった。

最初に適用された大会は翌1998年の第33回IBAFワールドカップ。同年のアジア競技大会では韓国がオールプロで編成して初の金メダルを獲得。2000年シドニーオリンピックは初めてプロ野球選手が参加するオリンピック大会となり、米国が正式種目となって初めて金メダルを獲得した(公開競技時代には1988年ソウルオリンピックで金メダルを獲っているが、キューバのボイコットによる不参加が大きかった)。台湾野球代表

日本が初めてプロを派遣したのは1999年のアジア野球選手権大会兼シドニーオリンピックアジア地区最終予選で、この時はプロアマ混合で挑んだ。初のオールプロで編成して出場した大会は2003年のアジア野球選手権大会兼アテネオリンピックアジア地区最終予選であり、8年ぶりとなる優勝を決めている。これ以降オリンピックおよびその予選会についてはオールプロで出場しているが、それ以外の国際大会(IBAFワールドカップアジア競技大会など)は開催時期に合わせてプロアマ混合またはオールアマで出場している。

しかし、これらの大会にはメジャーリーガー(40人ロースター枠登録選手)は参加しておらず、米国の場合は3Aクラスの選手で構成されている(ただし米国以外ではシーズンと重ならない大会に限りロースターも含めて招集する場合がある。前出の1998年アジア競技大会の韓国代表には当時ロサンゼルス・ドジャース所属だった朴賛浩が含まれていた)。背景にはこれらの国際大会の多くがMLBシーズン中(それも8月以降のプレーオフ争いも佳境に入った時期)に開かれるためシーズンを中断するか各球団が主力を欠いて消化しなければならず、また、大会において負傷した際の補償など課題も多いため各球団並びに選手会が消極的なのがある。この問題はオリンピック競技からの野球除外に至った要因のひとつともされている。

2006年からはメジャーリーガーも含めたプロ選手が参加するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が行われており、米国を始め、ドミニカ共和国などはメジャーリーガーのみでナショナルチームを結成した上で参戦している他、日本や韓国、ベネズエラなどメジャーリーガー擁する国も国内などの選手を加えたオールプロチームとなっている。この大会はIBAFの協力も受けつつMLB機構が中心となり、(MLBなど北半球主要プロ野球リーグの)シーズン開幕前に開かれている。

2011年にWBCがIBAF公認の世界一決定戦となったのに伴い、アマチュア主体たるワールドカップを発展的解消した上で、WBCの中間年にプロ主体たるプレミア12が創設された。このプレミア12の第1回大会は2015年11月に開かれたが、ワールドシリーズ終了直後という開催時期の問題からMLBは40人ロースターに登録された選手の参加を認めなかった。そのため、MLB選手会による40人ロースター枠発表後に行われた11月21日の決勝戦において、米国代表は3名の選手がこのロースター枠に入ったため出場できず、さらに試合も韓国に0-8で敗れてしまった。韓?野球代表
関連書籍

『プロ野球選手になるには』 -
柏英樹、2009年、ぺりかん社ISBN 4831512397

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 一例としてサンワード貿易硬式野球部など。
^ 記事では「60人」になっているが、この後に井口資仁が、1億8,000万円で契約を更改したため、「61人」になる。
^ ただし酒井は黄色靭帯骨化症という特定疾患(難病)を患ったことから、契約期間中での快復と現役復帰を見込んでの複数年契約であり、現在みられる他球団流出防止のための複数年契約とは意味合いが異なる。
^ 一例として、エクトル・ルナ中日。2013年の6月に、2年間の延長契約)、ブランドン・ディクソンオリックス。2016年の9月に、2年間の延長契約)など。
^ またこの調査対象には独立リーグなどで現役を続行する選手も含まれているため、引退者に占める割合はより高いと考えられる。
^ 具体例として、2000年高野光精神疾患を患い39歳で、2011年伊良部秀輝が精神的に追い詰められて42歳で其々自殺したことが挙げられる。
^ 小川博が2004年に、引退後の勤務先で強盗殺人事件を起こして無期懲役刑を受けている。引退後に覚醒剤に手を染めた野村貴仁清原和博、窃盗を繰り返した伊奈龍哉小野仁のような例もある。
^ メジャーリーグではサラリーキャップは導入されていない。ぜいたく税制度(収益分配)は存在する。詳細はメジャーリーグベースボール#戦力均衡策を参照。

出典^ 一般社団法人日本野球機構. “ ⇒2023年 セ・パ公式戦 平均試合時間”. NPB.jp 日本野球機構. 2024年1月27日閲覧。
^ “6時間21分の死闘も、最長には5分及ばず…過去の記録的ロングゲームを振り返る | BASEBALL KING”. BASEBALL KING (2015年8月22日). 2024年1月27日閲覧。
^ 千葉ロッテマリーンズファンクラブ会報「Team26マガジン」2010年第2号「ビジター遠征虎の巻」より
^ 東京書籍. “プロ野球選手兼監督 古田敦也さんの職業インタビュー|EduTownあしたね”. EduTown あしたね. 2024年2月18日閲覧。
^ プロ野球選手を陰で支える? 下平さやかアナ語る「虚像」朝日新聞「わたしのThink Gender」2021年3月6日
^ “プロ野球選手のハードすぎる移動 レギュラーシーズン4万キロ超の道のり経て、日本一へ - スポニチ Sponichi Annex 野球”. スポニチ Sponichi Annex. 2024年1月27日閲覧。
^ a b “【野球】なぜ当日移動ゲームは過酷だと言われるのか 阪神・岡田監督の心配が図らずも的中してしまった背景/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online (2024年1月27日). 2024年1月27日閲覧。
^ 永野秀雄. “ ⇒特集・スポーツと労働 プロスポーツ選手の労働者性”. 日本労働研究雑誌. 労働政策研究・研修機構. 2017年3月10日閲覧。
^ “2023年シーズン 年俸調査結果 支配下公示及びポジション別”. 日本プロ野球選手会. 2024年1月27日閲覧。
^ “2023年シーズン 年俸調査結果 リーグ別支配下平均”. 日本プロ野球選手会. 2024年1月27日閲覧。
^ “【プロ野球】日本人最初の「1億円プレイヤー」は誰?”. webスポルティーバ. 2017年3月7日閲覧。
^ 津金一郎. “FAの歴史を振り返る。最初にFA権を行使したのは誰?”. webスポルティーバ. 2017年3月7日閲覧。
^ “ ⇒ロッテ・鈴木が1億円でサイン!「ひとつの目標だった」”. ベースボールキング. 2017年11月27日閲覧。
^ “2014年プロ野球年俸ランキング”. 日刊スポーツ. 2017年11月27日閲覧。
^ “プロ野球・年俸ランキング2022【TOP100】 | BASEBALL KING”. BASEBALL KING (2022年2月1日). 2024年1月27日閲覧。
^ “巨人“奥の手”杉内に4年20億+背番18”. 日刊スポーツ. 2017年11月27日閲覧。
^ “おかわり君「ライオンズ一筋」4年最大20億にニッコリ”. スポニチアネックス. 2017年11月27日閲覧。
^ “ソフトバンクがバンデンハークと3年12億契約延長”. 日刊スポーツ (2016年6月21日). 2018年9月11日閲覧。
^ 福田秀人. “ ⇒成果主義及びコンピテンシー評価導入に伴うリスクに関する理論的考察”. p. 46. 2017年3月10日閲覧。
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^ “ ⇒戦力外選手/現役引退選手の進路調査結果(2007年?2014年)”. 日本野球機構. 2017年3月7日閲覧。
^ “元巨人軍の剛腕が“闘魂こめて”打つ本格うどん!『讃岐うどん 條辺(じょうべ)』店主 條辺剛さん【男の野球メシ#01】”. リクルート (2015年6月4日). 2018年9月11日閲覧。
^ (日本語) 【野球選手はプロ引退したら何も出来ない!】何も出来ない人ほど結婚するの早い?!, https://www.youtube.com/watch?v=LhIZkpqgEB0 2023年4月23日閲覧。 
^ “ ⇒プロ野球OBのセカンドキャリアに新たな就労支援制度を実施”. 日本プロ野球OBクラブ. 2017年3月6日閲覧。
^ “学生野球資格回復”. 日本プロ野球OBクラブ. 2017年3月7日閲覧。
^ 神保忠弘. “学生野球資格回復研修会:プロ選手引退後、指導者の道へ”. 毎日新聞. 2017年3月6日閲覧。
^ a b “ ⇒2016年 現役若手プロ野球選手「セカンドキャリアに関するアンケート」”. 日本野球機構. 2017年3月6日閲覧。


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