プロパガンダには大別して以下の分類が存在する。ホワイトプロパガンダの例。痴漢の撲滅を目的とした大阪府警による中吊り広告。
ホワイトプロパガンダ
情報の発信元がはっきりしており、事実に基づく情報で構成されたプロパガンダ[1]。
ブラックプロパガンダ
アメリカ合衆国の宣伝分析研究所
(英語版)は、プロパガンダ技術を分析し、次の7手法をあげている[8]。ネーム・コーリング攻撃対象をネガティブなイメージと結びつける[注釈 2]。恐怖に訴える論証
カードスタッキング自らの主張に都合のいい事柄を強調し、都合の悪い事柄を隠蔽、または捏造だと強調する。
バンドワゴンその事柄が世の中の趨勢であるように宣伝する[注釈 3]。衆人に訴える論証
証言利用「信憑性がある」とされる人に語らせることで、自らの主張に説得性を高めようとする。権威に訴える論証
平凡化その考えのメリットを、民衆のメリットと結びつける。
転移何かの威信や非難を別のものに持ち込む[注釈 4]。
華麗な言葉による普遍化対象となるものを、普遍的や道徳的と考えられている言葉と結びつける。
また、ロバート・チャルディーニ(英語版)は、人がなぜ動かされるかと言うことを分析し、6つの説得のポイントをあげている。これは、プロパガンダの発信者が対象に対して利用すると、大きな効果を発する[9]。
返報性人は「利益が得られる」という意見に従いやすい。
コミットメントと一貫性人は自らの意見を明確に発言すると、その意見に合致した要請に同意しやすくなる。
また意見の一貫性を保つことで、社会的信用を得られると考えるようになる。
社会的証明自らの意見が曖昧な時は、人は他の人々の行動に目を向ける。
好意人は自分が好意を持っている人物の要請には「YES」という可能性が高まる。ハロー効果
権威人は対象者の「肩書き、服装、装飾品」などの権威に服従しやすい傾向がある。
希少性人は機会を失いかけると、その機会を価値のあるものであるとみなしがちになる。
ウィスコンシン大学広告学部で初代学部長を務めたW・D・スコットは、次の6つの広告原則をあげている[10]。
訴求力の強さは、その対象が存在しないほうが高い。キャッチコピーはできるだけ簡単で衝撃的なものにするべきである。
訴求力の強さは、呼び起こされた感覚の強さに比例する。動いているもののほうが静止しているものより強烈な印象を与える。
注目度の高さは、その前後に来るものとの対比によって変わる。
対象を絞り、その対象にわかりやすくする。
注目度の高さは、目に触れる回数や反復数によって影響される。
注目度の高さは、呼び起こされた感情の強さに比例する。
J.A.C.Brownによれば、宣伝の第一段階は「注意を引く」ことである。具体的には、激しい情緒にとらわれた人間が暗示を受けやすくなることを利用し、欲望を喚起したうえ、その欲望を満足させうるものは自分だけであることを暗示する方法をとる[11]。またL.Lowenthal,N.Gutermanは、煽動者は不快感にひきつけられるとしている[12]。
アドルフ・ヒトラーは、宣伝手法について「宣伝効果のほとんどは人々の感情に訴えかけるべきであり、いわゆる知性に対して訴えかける部分は最小にしなければならない」「宣伝を効果的にするには、要点を絞り、大衆の最後の一人がスローガンの意味するところを理解できるまで、そのスローガンを繰り返し続けることが必要である」と、感情に訴えることの重要性を挙げている[13]。また「大衆は小さな嘘より大きな嘘の犠牲になりやすい。とりわけそれが何度も繰り返されたならば」(=嘘も100回繰り返されれば真実となる)とも述べた。
杉野定嘉は、「説得的コミュニケーションによる説得の達成」「リアリティの形成」「情報環境形成」という3つの概念を提唱している。また敵対勢力へのプロパガンダの要諦は、「絶妙の情報発信によって、相手方の認知的不協和を促進する」ことであるとしている[13]。