新しい鉄道車両を開発する場合も、プロトタイプを作る。 まずはコンセプト図や図面を描いてみるが、空気力学上の性能を確かめるためにはまずは外形だけを形にしたプロトタイプをつくり、風洞実験で具体的な性能の数値を把握する。 線路上で走らせるプロトタイプもあり、「試作車」などと呼ばれる[4]。 プロトタイプ車を用いた試験や試験運行でデータを集め、改良したほうがよい点が見つかれば、仕様を修正したものを量産車の仕様とする。プロトタイプは、通常、廃棄されるというわけではなく、試験段階で改良すべき点が見つかれば、そこだけ改良を施し、量産化が実現し同型の車両が増えた後も、そのまま実際の営業運転に利用されることが多い。量産車と同一に改造される例も多いが、許容範囲であれば、多少異なっていてもそのまま使用される事例も珍しくない。 鉄道車両のプロトタイプの形式は、やや特殊である(モハ90系→101系、EF90→EF66、901系→209系)。また番台区分が異なっていたり(209系950番台→E231系900番台)、外観や組成・編成などが量産車と異なる場合(300系新幹線J1編成、700系新幹線C1編成、400系新幹線S4編成→L1編成、E3系新幹線S8編成→R1編成、207系F1編成など)がある。 また、試験した結果 量産が見送られた場合には、プロトタイプは「1形式1両のみ」(や「数両のみ」など)の車両となってしまうことがある(前者では国鉄207系や713系、後者ではJR東日本クハ415-1901や、日本貨物鉄道(JR貨物)のEF500およびED500が該当する)。さらに一連の試験を終了した車両や量産が見送られた車両については、共通運用が組めない使い勝手の悪さなどから、車齢が10年を満たないうちに廃車となる場合もある(後者ではE331系など)。また、営業運転はおろか試験を行う事なく廃車された車両も存在する(キハ285系がその例[5])。JR東海のN700系やN700S系の先行試作車(9000番台)のように、量産車登場後は営業運転に投入されず、そのまま試験用の編成とされる例もある。 北米の模型・プラモデルの世界では、プロトタイプとは模型を作る際に原型とした実物のこと。(たとえば鉄道模型のプロトタイプは実物の鉄道車両であり、自動車模型のプロトタイプは実物の自動車であり、模型航空機のプロトタイプは実物の航空機であり、兵器模型のプロトタイプは実物の兵器である)北米・GP38-2機関車の実車。模型を製作する際にはこのような実車がプロトタイプと呼ばれる。 例えば、アサーン社がEMD GP38形ディーゼル機関車の模型 ⇒[1]を作る際、実物の機関車のことを「プロトタイプ」と呼ぶ。 また、北米の鉄道模型マニアの間では模型を製作する際に参考とする実物の鉄道車両・鉄道施設のことをプロトタイプと呼ぶ。さらに、鉄道ジオラマやレイアウト、シーナリー(鉄道模型における地形や景観の模型化)を製作する人々にとっては、ジオラマ化・シーナリー化するものは全て、たとえば駅舎、周囲の建物、道路、街並み、自然の景観なども、この世の実物は全てプロトタイプである。 北米の模型の世界で特に好まれたプロトタイプは次のものである。
モータースポーツでは、国際自動車連盟(FIA)などの用語でいう「プロトタイプ」は、この用語を拡大解釈ぎみの使い方をしており、「(まだ)市販段階に至っていない車」といった程度の意味であり、レギュレーションを定めることで競技カテゴリが作られており、競技用のプロトタイプ車が作られていて、プロトタイプと言っても競技車としては完成度がそれなりに高い車が参加する。
プロトタイプ・レーシングカー、プリンス・R380
2011年のデイトナ・プロトタイプスの競技車
鉄道車両
151系のプロトタイプ。風洞で空気力学上の性能を確かめるためのもの。木製。
新幹線のプロトタイプ。空気力学上の性能を調べるためのもの。
リニアモーターカーのプロトタイプ模型
リニアモーターカーのプロトタイプ模型、別バージョン。
JR西日本207系電車。右が電気連結器を装備していない試作車。
模型
自動車(1957年型シボレーは多くの模型が製造された)
兵器(たとえばM4シャーマン戦車。他にも装甲車・戦艦・戦闘機など)
鉄道車両および鉄道施設
貨物自動車、トレーラートラック