プロテスタント
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日本のキリスト教徒は、半数近くの約90万人がプロテスタントとされている[18]
教義

多くの教派で共有できる基本信条として、ニカイア信条ニカイア・コンスタンティノポリス信条カルケドン信条使徒信条などがあげられる。
福音派とエキュメニカル派の相違

プロテスタントは福音派エキュメニカル派に二分しているとされている[19][20][21][22][23]

福音派の聖書観は、十全霊感である。

エキュメニカル派のプロテスタントの聖書観は二つに大別される。

新正統主義は部分霊感である。

リベラル派は否定霊感である。

異端はいないとする教派

自由主義神学に立つ教派・グループなど、リベラル派においては、何かを異端とみなすこと自身が不寛容であり、キリスト教に異端はいないとする思想もある。
プロテスタント諸派の異端規定

「異端」を定義する基準は、多くの教派で共有できる、ニカイア信条、ニカイア・コンスタンティノポリス信条、カルケドン信条、使徒信条など基本信条からの逸脱である。
他教派との相違

「プロテスタント」は諸教派の総体であって、プロテスタント全体の代表者や指導者のような存在(カトリック教会における教皇正教会における総主教)や、プロテスタント全体を統括するような教団連合組織はない[注釈 6]。また、各教派の成立自体も初代統一プロテスタントからの分離・離脱から生じ、複数に別れたといったものではなく、最初期のプロテスタントであるアナバプテストルター派カルヴァン派ツヴィングリ派などは互いの影響は受けつつも、それぞれ全く別個に成立したもので、最初から統一されたプロテスタントは存在しなかった。それ故、前出の聖公会などをはじめ、「プロテスタントなのか、そうでないのか」が曖昧で線引きの難しい教派・教団が生まれる結果にもなっている。それぞれの成立については本項の系統の節を参照。

対して、カトリック教会はそれに属するすべての教会が中央であるローマ教皇庁バチカン)に結び付いている。正教会は基本的には国や地域ごとに教団は複数に分かれているものの、同じ教義・奉神礼を共有し、相互にフル・コミュニオン関係を維持する連合体として存在しており、イスタンブールコンスタンディヌーポリ総主教庁を全地総主教庁と呼ぶなど、名誉的にではあるが全正教会の筆頭・総本山的扱いとしている[注釈 7]。そういった意味では、カトリックや正教会と同じような意味・用法での「プロテスタント」という名の教派は存在しないのである。

「プロテスタント」の語は66巻の聖書を共有するキリスト教について使われており、同じ正典を用いる人々の分派を教派(ディノミネーション)とし、違う正典[注釈 8]を用いる分派は宗派[注釈 9](セクト)として区別されることがある[24]

プロテスタントは同じ教派でも宗教法人としての教団は更に分かれていることも多い。例えば、同じルーテル教会としての教派と自己規定していても、「○○ルーテル教団」「△△ルーテル?教会」「○○ルター派××教団」といった法人が分かれているケースもあり、さらに法人が別なだけでなく交流すらないケースもある。これは移民や宣教によって成立母体が異なる場合や、教義の解釈によって分裂が起こることに起因する。逆のパターンとしては日本基督教団などのように、異なる教派同士が一つの超教派教団[注釈 10] に所属している場合もある。

また、ルーテル教会には修道院制度が僅かながら存在するが、他のプロテスタント諸派には修道院制度が存在しないなど、プロテスタント諸派の間には小さくない差異がある。
活動
エキュメニカル運動

20世紀に起こった、プロテスタントを中心とするキリスト教の教会一致運動のこと。
国教会と自由教会

Cuius regio, eius religio(領主の信仰が、汝の信仰)の原理は、欧州の外では通用せず、アジア地域などにおいて敬虔主義が伝道の原動力になった[25]国教会から独立した教会は自由教会(フリーチャーチ)と呼ばれている[26][27][28]
合同教会

複数のプロテスタント教派が共同で合同教会を作る動きが特に20世紀になって盛んになっている。 [29][30]カナダ合同教会北インド教会(Church of North India)、南インド教会(Church of South India)、中国基督教協会などである。
系統

プロテスタントは主にカトリック教会から分離した教派、さらにそこから分離した教派を指す。正教会をはじめとした東方教会から分離した教派を指すことはない(古儀式派などはプロテスタントとは呼ばれない)。

聖公会英国国教会)は、カトリック教会から分かれてプロテスタントの教義から影響を受ける一方で、カトリック教会の信条・聖職制度・典礼等を引き継いでいるという経緯がある。そのため、聖公会をプロテスタントに分類する見解もあり、聖公会も自身を「宗教改革の結果生まれた教会としては、プロテスタントに属している」と規定している。一方で、カトリックの伝統も受け継いでいることから「中道の教会」「橋渡しの教会」とも位置づけている[31]英国王室では、王位継承者でプロテスタント信仰を持っている者、正教の信仰を持っている者は王位継承後、スコットランド国教会にも帰属しなければならないとしており、この場合聖公会はプロテスタントに含まれると考えられる。

カトリックから分離した教派であっても、上述のようにプロテスタントと自認している聖公会をそのように呼ぶか否かは、各教団・信徒個人で意見が分かれる。また同じくカトリックから分離した教派である復古カトリック教会は、プロテスタントを自認する聖公会とはフル・コミュニオンの関係にありながら、カトリックを自称しておりプロテスタントには含まれないとされる。このように、プロテスタントなのかそれ以外なのか線引きの難しい教派や教団も見られる。

非常に稀な例ではあるが、プロテスタントの流れでありながら正教会の奉神礼を採用しているエヴァンジェリカル・オーソドックス教会という教派も存在する。これは元々福音派系プロテスタントであった教派が結果的に正教会の奉神礼を採用したのであり、源流は正教会ではなくカトリック分離組の流れ(福音派経由)のプロテスタントである。なお、この教派の多くの教会は最終的にどこかしらの地域の正教会に合流しており、独自のプロテスタント教派としては現在では数を減らしている。
系統概略図キリスト教諸教派全体からみた系統概略。更に細かい分類方法と経緯がある。聖公会、プロテスタント、アナバプテストについて上図より詳しい系統図であるが、これもあくまで大まかな流れであり、さらに細かい分類方法・経緯がある。
社会学における見解
プロテスタンティズムと近代社会


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