プロット_(物語)
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このように、プロットは原因と結果の連鎖である[1][2][3][12]

プロットとストーリーの区別については、イギリスの作家 E・M・フォースター1927年に発表した『小説の諸相』での解説が有名である[13][14]。フォースターによれば、「国王が亡くなった。そして王妃が亡くなった」はストーリーである。それに対して、「国王が亡くなった。そして王妃は悲しみのあまり亡くなった」はプロットである。前者では、国王の死とは無関係に王妃が続けて死去している。これは前後関係にすぎない。一方で、後者では、国王の死が原因で王妃が死去している。これは因果関係である[15][3]
用例

日本の映画制作において実際に用いられているプロットは以下のようなものである〔出典の例を『アナと雪の女王』('13) に改変〕[16]。宮殿の一室。アレンデール王国の王位継承者、エルサ (8) の寝室である。

まだ夜が明けて間もない。エルサは眠っている。

そこへ妹のアナ (5) が入ってくる。アナは一緒に遊んでくれるよう催促するが、眠気の覚めないエルサに断られる。そこでアナはこう切り出す。

「雪だるま作るのはどう?」

エルサは魔法が使えるのである。魔法とは氷の魔法であり、エルサは手から冷気を出して一瞬で雪を作ったり、ものを凍らせたりすることが出来る。そして、そのことはエルサとアナだけの秘密である。

アナは手を引っ張ってエルサを舞踏室に連れて行く。はしゃぐアナをエルサが制止する。アナがせがむと、エルサは氷の魔法を使い始める[17]

プロットは必要に応じてさらに短くまとめることが出来る[18]。早朝。アレンデール王国の王位継承者、エルサ (8) が宮殿の寝室で眠っている。

エルサは氷の魔法を使える。妹のアナ (5) はエルサに魔法で遊ぶよう催促する。エルサはアナと舞踏室へ行き、そこで魔法を使う[19]
日本におけるプロット

日本の映像産業では、脚本などを執筆する前に、ストーリーの大まかな構成を理解するために書かれる小説体の文書そのものが〈プロット〉と呼ばれている。それは、脚本家自らの執筆のためだけのものではなく、企画書に添付してプロデューサーに提出される。この場合のプロットは、製作者が読むことを前提としたビジネス文書である。そのとき、プロットの枚数は、ワープロで1枚ほどの梗概 (シノプシス) から、同30枚以上まで様々である。脚本家の斉藤ひろしは、日本では、コンクールに応募するときにはワープロで1-2枚程度、プロデューサーに企画を持ち込むときには同5-10枚程度が望ましいとしている。このように、日本の映像産業においては、脚本の前段階の文書がプロットと呼称されている[20]

斉藤によれば、日本の映像産業においてプロットの必要とされる理由は主に三つある。第一に、脚本を作成する前に、プロデューサーが構成の完成度を確認するためである。第二に、プロデューサーが読む時間を節約するためである。第三に、心理描写のある小説体の文章のほうが、最小限の説明しかない客観描写のみの脚本より、製作者にとって理解しやすいためである[20]

また、日本の漫画制作でのプロットは、ネーム (絵コンテ) の前段階のメモ書きを意味する。日本の漫画のプロットは、あらすじ、もしくはハコ書き、または脚本そのままの形などで書かれるが、いずれにしても、演出の指定を含めた簡単な小説体のものが一般的である。日本の漫画におけるプロットは、やはりストーリーの構成を事前に把握するために用いられる[21]。漫画家で京都精華大学マンガ学部長 (当時、後に学長) の竹宮惠子によれば、プロットは A4用紙2枚程度まで (多くとも3枚) に収めなければ、自分自身や編集者がそれをプロットとして読むことは困難である[22]
ファーブラとシュジェート

20世紀初頭、ロシア・フォルマリズムの文学理論は、物語を構成する要素をファーブラとシュジェート(英語版)に分けた。それ以降、物語論においては、ロシア語のファーブラ (Fabula) が「ストーリー」として、同じくシュジェート (Syuzhet) が「プロット」として、それぞれ置き換えられる場合がある[23][24][要ページ番号]。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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