PC はプレストレスにより、ひび割れを発生させない構造であるが、コストが一般に高い。また、ひび割れを許容しないためには大きな力を与える必要があり、これが構造物全体に影響を与えることがある。そこで、ひび割れの発生を前提とした鉄筋コンクリートに、補助的にプレストレスを与え、ひび割れの発生を許容しながらも有害でない範囲に制御するものを PRC (Prestressed Reinforced Concrete) と呼ぶ。性状を比較すると以下の通りである。
RC
ひび割れを許容するコンクリート
PRC
ひび割れの発生を一定幅に抑制するコンクリート
PC
ひび割れの発生を許容しないコンクリート
ただし PRC では、長期荷重に対してはひび割れを認めず、一時的な大きな荷重に対してひび割れを認める設計法が大半である。したがって鉄道橋のように、自重(長期荷重)と列車荷重(一時荷重)の差が大きいものが適している。近年の鉄道橋は大半が PRC 構造を採用している。
また、日本の高速道路においても、過去に造られた中小規模の RC 床版橋に多数のひび割れが発生したことから、これに代わり PRC 道路橋の採用が増加している。 PRC に似た概念に PPC (Partially Prestressed Concrete) があり、世界的にはこの名称の方が一般的である。PRC がひび割れを許容する構造であるのに対し、PPC は引張応力を許容する構造の総称であり、ひび割れに関しては許容するもの、しないものの双方が含まれる。日本においては、ひび割れを許容せず引張応力の発生を許容する構造は、PC として扱うのが通例であることから、PPC の定義が用いられることは少ない。 引張強度計算に誤りがある、あるいは施工ミスによって極端な張力が加えられていた場合、プレストレスト・コンクリートは自ら反って破壊に至る。あるいは加えられる荷重・自重に対して十分な強度が無い場合には、やはり反りによって破壊してしまう。通常このような事故は稀であるが、全く発生していない訳ではない。比較的有名な事故は札樽自動車道の工事で、鉄筋に過大な張力を与えて施工したために高架部分が反りあがり、真っ二つに折れて落下した。逆に施工時期が古い高速道路では、過積載トラックの通行により設計以上の一時荷重がかかり脆化してしまい、道路が波打っている、また耐地震性能が十分では無くなっている事が阪神・淡路大震災における高架崩落事故に基づく調査で明らかになり、耐震補強工事が全国で行われている。
PRCとPPC
作成手法
プレテンション方式(コンクリート打設前に PC 鋼材を緊張する方法)
ポストテンション方式(コンクリート打設後に PC 鋼材を緊張する方法)
利用法
橋梁
枕木
事故
関連項目
プレストレストコンクリート工学会
外部リンク
社団法人プレストレスト・コンクリート建設業協会
⇒公益社団法人プレストレストコンクリート工学会
『プレストレストコンクリート
^ 基礎コンクリートの寿命は?放置するとこんな状態に
典拠管理データベース: 国立図書館