プラモデル
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付属の接着剤近年では組立てに必要な場合でも付属しないことが多いが、1980年代頃まではほとんどのキットに小型のチューブや平行四辺形のパックに入ったものが付属していた[注釈 5]。接着剤を使用せずに組み立てられる、スナップフィットキットと呼ばれるプラモデルも増えている。
デカール
ガンプラ等の初心者向けの製品ではシールやドライデカール(インスタントレタリング)が付属する場合もあるが、スライドマークとも呼ばれる水転写(スライド)方式のものが付属することが多い。
プラモデルの分類
動力装置の有無による分類

動力装置を取り付けないことを前提とするプラモデルをディスプレイキット(またはディスプレイモデル[3])という。完成品を展示(ディスプレイ)することを目的とすることからこう呼ばれる。

組み立てる際に付属もしくは別売の駆動装置を取り付け、走行・駆動させることを目的としたプラモデルもある。電動のモーターを取り付け、乾電池などを動力源として駆動するものをモーターライズキット(モーターライズモデル[3])という。またゼンマイで駆動するプラモデルもある。
製法による分類射出成形されたプラモデルの一例バキュームフォームキットの一例
インジェクションキット(射出成形キット)
金型の中に熱で溶けたプラスチックを高圧で流し込んで成形されたキット。大量生産に向き、パーツの精度も高い。製造には精密な金型と、大掛かりな射出成形の設備が必要となるためにイニシャルコストが高いのが難点。製法上、パーツに金型の合わせ目であるパーティングラインが生じる欠点もある。樹脂の通り道であるランナーがあるのが射出成形品の特徴である。ランナーと部品を結ぶゲートはピンゲートにすることで小さくなるが、樹脂の通り道が小さくなるため、生産性が犠牲となる。金型は定期的に整備を続ければ長持ちし、事実40年以上生産され続けているキットもある。一般的なインジェクションキットの他、樹脂や電鋳や軽合金による簡易金型による「簡易インジェクションキット」という物もあり、これは型の寿命が短い代わりにコストを下げることができるため、マニア向けの少数生産キット製造の手段として用いられることが多い。通常のインジェクションキットより部品の精度が劣る物が多いが、MPMのような一部のチェコ製合金型のものは通常のインジェクションキットに迫る出来の物もある。
バキュームフォームキット(真空成形キット)
熱でやわらかくしたシート状のプラスチックを、型に押し付けて成形したキット。通称「モナカ」。単純に押し付ける手法をヒートプレスと呼び、プラスチックシートと型の間の空気を吸い出して密着させる手法をバキュームフォームと呼ぶ。(例:卵の透明プラスチックケース)型が1枚で済むので少ない設備投資で成形できるが、大量生産にはあまり向かない。雄型を使う場合を雄型成形(ドレープフォーミング)、雌型を使う場合を雌型成形(ストレートフォーミング)という。雌型を使用する場合には表面の細部のモールドの再現が可能である。比較的、流線型の成形に向くこともあり、マイナーな航空機がこのバキュームキットで販売される傾向にあるほか、RCカーのポリカーボネート製ボディはほぼこの製法を用いる。成型品はかなり肉厚が薄くなるため補強が必要であるなど製作難易度は高い。また細部など真空成形の困難な部品はインジェクションやレジン、メタル、エッチング等のパーツが組み合わされる場合が多い。バキュームフォームキットはガレージキットとして扱われることが多いが、インジェクションキットの中に簡易ジオラマベースや帆船の帆、簡易インジェクションキットのキャノピーパーツなどの形で真空成形パーツが含まれる場合もある。
押出成形
熱で溶けたプラスチックをダイと呼ばれるノズルからトコロテンのように押し出して成形する。断面の形が同じものを無限に成形できる。プラモデルのキットが押出成形されることはまずありえないが、各種プラ素材がこの成形方法である。
3Dプリント
3Dプリンタの普及とともに、3Dプリンタ による出力でバキュームフォームの型や簡易インジェクション型の出力、レジンキットの原型、或いは製品そのものをガレージキット等の少量生産向けに出力する事例も見られるようになってきている。背景には高性能の3DCADの低価格化、無料化、3Dプリンタを始めとする出力環境の高性能化、低価格化が挙げられ、新たな潮流となりつつある。3Dデータを元に3Dプリント出力を専門に請け負う業者もある。
ブロー成形
ペットボトルポリタンクの製造と同様に溶融した樹脂に内圧を加えて加工するブロー成形が一部の製品に導入されている。1/12スケールのガンダムのように細部の再現性は射出成形品に劣るものの、金型の製造費用が1桁から物によっては2桁低いので初期投資費用がかからず、少量生産に適する。
対象分野による分類

実在の飛行機・艦艇・戦車・自動車・建築物等、もしくは実在するにはいたらなかった計画兵器等を扱った「スケールモデル」と、SFやアニメ等を扱った「架空のもの」に大別される。スケールモデルにはディフォルメされたものも含める場合がある。アニメ・ゲーム等に登場する車・戦車・船などでは、スケールモデル(一部パーツ変更やキャラクターグッズが追加されることもある)がキャラクターのパッケージで販売されている。
スケールモデル詳細は「スケールモデル」を参照

実物が存在するもの、または設計・企画された物を縮小した模型をスケールモデルと呼ぶ[3]。プラモデルが最初に普及した英米では、ヤード・ポンド法を用いていたため縮尺は「1フィート(12インチ)を何インチに縮小」するかが基本であり[3]、例えば1/4インチ(または1/4”)スケールといえば1フィートを1/4インチに縮小することで1/48スケールを表す。従って「国際標準スケール」には分母が12の倍数のものが多い。しかし、鉄道模型のようにフィートをミリメートルに換算した縮尺(1フィートを4 mmとするもの=4 mmスケール(1/76))を採用する物や、メーカーの都合(箱のサイズや、走行ギミックのためのギアボックスや電池の内蔵)のために決定され、積極的なシリーズ展開のために自然に「標準」になってしまったものもあり、後者の代表がタミヤの1/35である[3]。またバイクのスケールである1/9は、イタリアのプロター社から始まったものである。1/50は航空機ソリッドモデルの標準スケールである。

艦船 1/72、1/144、1/200、1/350、1/400、1/500、1/600、1/700、1/720、1/800、1/1000、1/1200 などのスケールがあり、最も種類が多いのは静岡のメーカー四社が共同で展開したウォーターラインシリーズに採用された1/700である。近年はハセガワの三笠を皮切りに1/350スケールの新製品のラッシュが続いている。また日本模型の30センチシリーズは1/700?1/1100程度に相当する。民間船は(日本国内メーカーでは特に)少ない。帆船はスケールの統一は少なく、レベルの1/96、エレールの1/100、1/150、イマイ(アオシマ)の1/350などでそれぞれ数種類の船がそろえられる。一部メーカーの製品にはモーターと電池により水上走行が可能なモーターライズキットが存在する。

陸上兵器戦車大砲装甲車兵士など)1/15、1/16、1/24、1/25、1/30、1/32、1/35、1/48、1/50、1/72、1/76、1/87、1/144、1/350、1/700 などのスケールがある。現代の主流は1/35、1/48、1/72、1/144であり、その中でも、タミヤが採用し日本国内メーカーが追従、以後イタレリエッシー、エレールなど日本国外のメーカーも従った1/35が圧倒的なアイテム数を誇る。このため米英のメーカーが展開していた1/32(メタルフィギュアの54 mmスケール)ミリタリー物は少数派になってしまった。

航空機固定翼機回転翼機など)1/24、1/32、1/35、1/48、1/50、1/72、1/100、1/144、1/200、1/350、1/700 などのスケールがあり、ディテールアップが楽しめる1/48、コレクション性の高い1/72が主流である。1/24や1/32といった大型キットは、中国メーカーの参入を契機に近年[いつ?]はキット数が増えつつある。また一部のヘリコプターは、陸上兵器の標準スケールに合わせて1/35でモデル化されている。コレクションモデルとして1/144や1/100スケールも人気である。なお航空機のプラモデルというと軍用機がメインと思われがちだが、民間機とくに旅客機も豊富でデカール変えなどで多数の航空会社のカラーリングを再現している。スペシャルマーキングなどの特別塗装を施した機体のキットも人気である。

宇宙開発ロケット宇宙船探査機など)スペースシャトルなどは航空機と近いスケールだが、探査機から巨大な宇宙ステーションまで含むため、スケールに統一性無し。

自動車 1/8、1/12、1/16、1/20、1/24、1/32、1/43などがあり、市販車(高級車含む)、レーシングカーとも1/24が主流であるが、フォーミュラカーは近年は1/20が主流である。日本のトラックやバスなどは1/32スケールが多い。1/43はミニカーの主要スケールであり、ホワイトメタルやレジンキャスト製のガレージキットも多い。一部、ミリタリーモデルの派生として 1/35も増えつつある。


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