プラモデル
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カッター(Pカッター[注釈 10]、デザインナイフ、けがき針等を含む)
主にニッパーで切断したあとのゲート処理、パーティングラインの除去、部品の切断・加工やモールドを彫刻するためなどに用いる。使用する際はカッターマットを用いたほうがよい。カッターナイフは本体に替え刃を内蔵するタイプで、替え刃は数枚をまとめたブレードになっており折って新しい刃に交換する。主に大きなもの、直線を切る作業向けの製品である。デザインナイフ(アートナイフ)は替刃を一枚ずつ交換するタイプで、曲線を切るなどの細かい作業向け製品である。両者とも刃先の角度が異なった替え刃があり、用途に応じて選べるようになっている。Pカッター(厚手のプラスチック板などの切断に使う製品)やラインチゼルとけがき針は主に筋彫りに使用される。
ピンセット
小さい部品を掴んだり、手の脂が付着するのをさけるため、シールやデカール等を貼る際に用いる。ピンセットはオランダ語由来の外来語。ツイーザー、トゥイーザーなどの英語読みの名称で市販されている場合もある。基本的には金属製だが、特殊なプラスチックで作られたピンセットもある。
金属やすり紙やすり、その他のやすり類
ニッパーやカッターで処理しきれないゲート跡など綺麗にするために用いる。やすりは元々金属製であり、本来は金属やすりという呼び方は無いが、紙やすりと区別するため模型用語として一般化している。紙やすりは「サンドペーパー」、耐水性のものは「(耐)水ペーパー」とも呼ばれるが、略して「ペーパー」と呼ばれることが多い。部品の表面を削ったり整えたりするために用いる。最近はラッピングフィルム(研磨剤付きのプラスチックフィルム)やスポンジ研磨材も使用される。また、金属部品などの加工にダイヤモンドやすりを使用することもある。なお筋彫りに特化した非常に薄い幅の刃を持つ"スジボリヤスリ"という製品もある。
ピンバイス
パーツに穴をあけるための細いドリル刃(0.1 mm - 3 mm程度)を保持した状態のものをピンバイスと呼ぶことが多い。本来ピンバイスは小径の棒状のものを保持する固定具(バイス)でドリルの刃の部分は含まないのだが、模型ではドリルでの穴あけ以外ではあまり用いられない。
プラモデル用(ホビー用)のこぎり・レザーソー・糸のこぎり
部品を切断するために用いる薄刃ののこぎり。改造する際に使われることが多い。かつては米国エグザクト社のレザーソーが代表的なブランドだった。後にエッチングで作られた薄く目の細かいノコギリであるハセガワ(トライツール)のモデリングソーや、タミヤの薄刃クラフトのこ、シモムラアレック(プラッツ)のハイパーカットソーなど、ホビー専用のものが登場している。
接着剤(セメント)
元来は二つ以上の物質の接着に用いられるものだが、後述のパテとして使用可能なものもある。最近は後述の様に強固な接着の為ではなく、仮止めや完成品の耐震・安定展示用の一時(仮)接着を目的としたものも出回り始めている。
プラスチックセメント
部品同士を接着するために用いる。材料を溶かし、溶剤が蒸発して硬化することで接着される。以前は接着が必要なプラモデルにはチューブ入り等の接着剤が付属している場合が多かったが、現在では一部の外国製キットを除いて付属しておらず、別途購入しておく必要がある。樹脂分を含む「トロトロ型(貼り合せ型)」と溶剤分だけの「サラサラ型(流し込み型)」とに大別される。前者はセメダイン社の瓶入りの製品やタミヤ、グンゼ産業(現在のGSIクレオス)等模型メーカー製品など古くから販売されている。後者はタカラのプロセメントなど少数派であったが、1990年代になってから種類が増え、2000年代には石油系溶剤を含まないリモネンを主成分にした物も増えており、有機溶剤の匂いがきつくないなどの利点があるため、使用するモデラーも増えてきている。また、最近のガンプラ等のプラモデルでは接着剤を使用しなくても製作可能なスナップフィット・キットがほとんどであるが、パーツを組み合わせたときに出来る"合わせ目"を消すために用いることも多い。ただし、スケールモデルではパーツ自体が非常に薄くなっている場合も多くあり、接着剤ではパーツの変形などのトラブルが起きやすいため、擦り合わせで密着度を上げて合わせ目を無くす。
瞬間接着剤
「シアノアクリレート」という特殊な樹脂が主成分の接着剤であり、空気中などの水分と急速に反応し、数秒から数分で硬化する。金属との接着のように、溶剤に侵されない材質や、異なる材質同士を接着する場合に用いられる。近年はプラモデルでも再現性向上のためにエッチングパーツなどの異素材部品を含む物が多く、製作の必需品となっている。ただし透明パーツなどに使ったり近くにおいてあると、接着剤の成分で"曇って"しまうこともある。こうした白化現象を避ける意味で効果促進剤を使う。また、低白化タイプの製品もある。この他には耐衝撃用などもあり、使用対象、強度、粘度、硬化時間などの異なる様々な製品がある。また通常は無色透明なものが多いが、白色や黒色など色のついた商品も出回り出している。
一時接着剤
貼って剥がせる再剥離可能型の接着剤で、仮止めや、完成した模型を地震その他の不慮の際にも倒さないで(安定して)展示する為の一時的固定に利用される。当初は紙等にシールの様に粘着性と再剥離性を与える為に開発され写真製版等から再剥離可能型の粘着剤スプレーが出回り始めた。かつては安定展示用には粘着テープを輪の様にして展示品と台座双方を接着していたり完成品に穴を開け真鍮線等を差し込んで固定していたりしていたが、現在では同じ表面特性を持つ粘着型防振ゲルと共に耐震・安全展示用途での利用が始まっている。
パテ
部品のへこみなどを埋めるために用いる充填材。また、プラモデルの形状変更やオリジナルの造形にも用いられる。硬化した後にカッターなどで切削・成形する事が可能だが、パテによっては切削性の悪いものもある。プラモデル製作で使用されるのはラッカーパテ、エポキシパテ、ポリパテ(ポリエステルパテ)の3種類が多い。最近では光硬化型パテや瞬間接着パテも発売されている。これは硬化までの時間が短く用途によっては非常に便利である。
ラッカーパテ
文字通りラッカー系溶剤を含み、溶剤が揮発することで硬化する。この際、溶剤が揮発した分の体積が減少する(肉痩せ、あるいはヒケという)。従って分厚く盛る場合には向かず、傷や部品のヒケの修正などに用いられることが多い。プラパテと略称されることもある。
エポキシパテ(エポパテ)
粘土状の2種類の基剤をほぼ同量混和して用いる。混ぜ合わせた後の作業時間は早くて1分 - 5分、通常は数十分から数時間で、おおむね一日程度で完全硬化する。ヒケはあまり起きない。種類によっては完全に固まるとかなり硬くなるので、適度な硬さの段階で切削すると加工性がよい。2種類のパテが均一になるよう混ぜ合わせるのが使用上の注意である。模型用のほかに木工用や金属用のものが市販されている。エポキシパテの成分はエポキシ樹脂項目を参照。皮膚が弱い場合には手袋必須である。日本以外ではミリプットのブランドのものが使われており、日本ではポリパテよりも導入が遅かった。一般向けとしてセメダイン社の製品、模型用としてはタカラの「改造くん」が1980年代前半から存在し、その後1980年代後半からフィギュア制作などに多用され、各社から模型用の新製品が発売されていった。
ポリパテ
主剤に硬化剤を練り込んで使用する。硬化時間は硬化剤の割合や気温によって変化するが、数分から数十分と早い。臭気が強いので換気必須である。1980年代前半のガンプラブーム当時、スクラッチビルドのために自動車の修理用品である「ニッペ厚付けパテ」が使用され、その後模型専用の物が開発されていった。
紫外線硬化パテ(光硬化パテ、UV硬化パテ)
太陽光や蛍光灯の至近距離に近づけると紫外線と反応して短時間で硬化する。硬化が早く、作業の効率化に大いに役立つが、場合によっては盛ってから1分とたたないうちに固まってしまうため、手早い作業が必要。現在最も高性能なパテといえるが、値段も通常のパテよりも高い。ただし、最近では少量がデコアート用に使い切り分量(5グラム程度)で百円均一の店などで販売され、それまでのアクリルパテに代わり主流となっている。なお一部の製品は空気に触れていると硬化しない(嫌気性の)ものがある。
瞬間接着パテ
液剤と粉末を混合すると数秒 - 数十秒で硬化する物で、作業が早い反面、物性的に脆い(それでもスチレン樹脂よりは丈夫である)。作業性を高める為に硬化促進剤とその速度を調整する緩衝剤とを併用する事もある(GSIクレオス製品等)。この他、元々接着剤やネイルアート方面で利用されていたアクリルパテがある。粉末のパウダーと液体のリキッドの混合による二液混合型で、硬化開始時間が少々長く(それでも最短で1分以内には硬化開始)、また硬化に紫外線が要らず安価なのでUV硬化パテよりは普及が早かった。現在はネイルアート方面では硬化剤のいらないUV硬化パテに主役の座を明け渡し、模型やデコアート用マテリアルとしての利用が多くなってきている。接着剤としても有用であり、プラリペアなどの商品名で流通している。
塗料
プラモデルを塗装するために用いる。ラッカー系、アクリル系、エナメル系等いくつか種類がある。塗料はその特質を知って使いこなすことが重要である。なお瓶入りの他に常温で蒸発し加圧する液化ガスを圧力源とする"缶スプレー"があり、瓶入りの塗料を同様の塗装加工に用いる為のアイテム(ガイアノーツ"イージーペインター"等)も存在する。
ラッカー系塗料
日本で多用されている、乾燥が速く強固な塗膜が形成できる利点を持つ塗料。通称は「ラッカー系」であるが正しくは非水溶性の有機溶剤を用いた「アクリル樹脂塗料」(MR.HOBBYでは溶剤系アクリル樹脂塗料と記載)である。溶剤の蒸発により樹脂が塗膜を形成するため、アクリルラッカーに分類される。溶剤が非水溶性であることを強調するために「油性アクリル系塗料」と呼ばれることもあるが、「油性」は本来動植物由来の油脂を表す用語であり、石油由来の有機溶剤に使用するのは厳密には正しくない。ラッカーの一種ではあるが、昭和30年代に模型用として売られていた「マメラッカー」などのプラスチックを溶かすほど溶剤の強い、本来のラッカー(ニトロセルロースラッカー)とは別物である。トルエンなどが含まれる業務用塗料ほどではないが、他の模型用塗料に比べ溶剤の臭いや毒性が強く、換気せずに長時間吸入すると中毒を起こす。また揮発性、引火性が強いことにも注意。マルサンのプラカラーを皮切りに、レベルカラー(後にMr.カラー)、モデルカラー、モノグラムカラー、ガイアカラーなど、多くのブランドが存在した。なお、模型専用塗料以外の模型向けの塗料にはトルエンなどを含むものもあるため注意が必要である。
水溶性アクリル樹脂塗料
アクリル系とも呼ばれる。溶剤としてアルコール系の水溶性の有機溶剤に水を混入したものを使用している。水で希釈することも可能だが、乾燥時間が増し光沢面に塗れなくなることもあるので、プラモデルに塗る場合は専用溶剤で希釈することが多い。臭いや毒性はラッカー系より抑えられている。引火性も低く安全性が高いものの、塗膜はラッカー系より弱く、上からラッカー系塗料を塗ると侵される。GSIクレオスの「水性ホビーカラー」と「アクリジョン」、タミヤの「アクリルペイント」が代表的な国産の水溶性アクリル樹脂塗料であり、1980年代初めの発売以来順次改良されているが、使い勝手や塗膜強度の面で敬遠するモデラーもまだ少なくない。最近は、国産とは異なる性質の優れた外国製品も入手しやすくなっており、スケールモデルでは珍しい存在ではなくなった。なお国産商品も改良が進み、これまで希釈性の問題でエアブラシ塗装に不向きとされていた欠点も改善されつつある[注釈 11]。なおアクリジョンの為の汎用うすめ液は水と専用うすめ液とがあるが、専用うすめ液は後述の"リターダー"として働く為に使い過ぎるとなかなか乾かなくなる。なお、アクリジョンの薄め液は生産終了となり、リターダーが販売されるようになった(エアブラシ用薄め液は改良して継続販売)。
エマルジョン系
広義には水溶性アクリル塗料に含まれる低溶剤の塗料。臭気がほとんどなく、水性アクリル、水性ホビーカラーは水でも可能だがアクリルシンナーが推奨されるのに対して、完全に水道水のみで、希釈や洗浄が可能(ただし、乾ききった場合には水溶性でなくなるので専用ツールクリーナーが必要)。乾燥は速く、塗膜も強め。代表ブランドは、シタデルカラーやアクリジョンなど。
エナメル系塗料
専用の溶剤(工業ガソリン系)で希釈する。上記2種類の塗料と異なり、塗装後空気に触れることで化学反応が起き固化する。エナメル系塗料は乾燥が遅く筆塗りでもムラができにくい利点がある。乾燥後の塗膜は光沢に優れる。多湿な日本の気候には不向き<[注釈 12]だが欧米では一般的な模型用塗料として用いられている。また他種の塗料の塗膜を侵さない事からウェザリングに用いられる事が多い。ただし下地がつや消しの場合、顔料が染み付いて取れなくなることがある。
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