プラトニックラブ
心理学者の宮城音弥は、人間のすべてがプラトニック・ラブの傾向を持っているが、純粋なプラトニック・ラブは正常者のうちにはほとんど見出すことができず、ある種の性格異常者のうちに存在していると指摘している[1]。例えば、既婚男性であるのにもかかわらず不倫をする場合、このような性格異常に該当する。[2]
西洋のプラトニックラブ
中世の騎士道では、貴婦人に対する精神的な愛が強調されていた。
詩人は女性に対する精神的な愛を歌うものであった(ダンテにとってのベアトリーチェ、フランチェスコ・ペトラルカにとってのラウラ)。
こうした、愛に対する姿勢の伝統の背後にあるキリスト教の精神(十戒の一つ、汝姦淫するなかれ、など)との連関でも、プラトニック・ラブが解釈されたものと考えられる。
英語の早い例では劇作家ウィリアム・ダヴェナント(Sir William Davenant)の喜劇 Platonic Lovers(1636)がある[3]。
アンブローズ・ビアスは「プラトニック・ラブとは、不能と不感症の間の愛情を指す、馬鹿がつけた名前である」と風刺している。[4]
ゲーテのシャルロッテ・フォン・シュタイン夫人とのプラトニックラブもよく知られている。ただ、これは肉体関係を持つと人妻であるため不道徳になってしまうためだと考えられている。
日本のプラトニックラブ
北村透谷は「悲しくも我が文学の祖先は、処女の純潔を尊とむことを知らず」と遊里を賛美するような江戸文芸の風潮を嘆いた(『処女の純潔を論ず』1892年)。
脚注[脚注の使い方]^ 宮城音弥『愛と憎しみ その心理と病理』45頁 岩波新書、1963年
^ “既婚男性にとっての本気のプラトニックな恋愛って?【肉体的ではなく精神的な恋愛】”. 占いバンク. 2023年5月1日閲覧。
^ ⇒Theatre Database Sir William Davenant (1606-1668)
^ ビアス『新編 悪魔の辞典』 西川正身訳、岩波文庫、1997年、226-227頁
文献情報
永嶋哲也「愛の発明と個の誕生──思想史的な観点から──」比較思想論輯2004.6 ⇒[1] ⇒[2]
関連項目
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純愛
ディオティマ
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話
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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