ブロントテリウム科
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これを構成する骨は、ブロントテリウムなど北アメリカのものでは前頭骨エンボロテリウムなどアジアのものでは鼻骨となっている。つまりこれらの角は、双方で独自に獲得したものであったと思われる。彼らはこの角を使い、儀礼的闘争を行ったとされる。こうしたグループは、全体的に顔面が短縮する傾向があった。眼窩は角のすぐ後ろにまで前進しているものも少なくない。[8]しかしながら、これは脳の容積の増大に寄与するものではなかった。かれらの脳は、大型種であっても小さいままだった。

歯列は、後期に至っても小臼歯は小さいままであった。しかし大臼歯は大きく発達し、小臼歯より前の歯列は消失していった。その大臼歯は高さの低いブロノフォドントと呼ばれる、一つの歯に畝状部と丘状部がほぼ半分ずつ存在する形であり、比較的柔らかい植物を食べることに適応していた。しかし、漸新世に広がった硬い草などには適応しておらず、それが彼らの種の寿命を縮める要因ともなった。

初期グループの四肢は走行に適した形状であった。しかし大型化が進むにつれ太く頑丈になり、上腕骨及び大腿骨の比率が大きくなった。脚部には前足に四つ、後ろ足には三つの蹄を持っていた。これは科全体を通じて変化は無く、指の減少などは見られない。
分類

ブロントテリウム類(あるいはティタノテリウム類)は奇蹄目の現生の上科(ウマ上科・サイ上科・バク上科)とは区別され、ブロントテリウム上科Brontotherioideaに分類される[2][3][5][9]。1945年のシンプソンの分類ではウマ上科が属するウマ形亜目Hippomorphaに含められていた[2]。一方で1997年のマッケナとベルによる分類ではサイ上科・バク上科が属する有角亜目(角形亜目)Ceratomorphaに含められ、絶滅群からなる月獣下目Selenidaの下位に置かれた[3][10]。奇蹄目のクラウングループやイセクトロプス科Isectolophidaeなどとの共通祖先から初期に分岐した基部系統として、ブロントテリウム類のみからなるグループをティタノテリウム形類Titanotheriomorphaとして独立させる説もある[1][11]など、奇蹄目内の類縁関係や分類は安定していない[12]

ブロントテリウム科の分類法には新旧二つがある。一つは43の属と8つの亜族を含む、1920年代以前の伝統的な方法。もう一つは2005年の最近の研究報告に基づくものである。旧分類においてブロントテリウム科に分類されていたランドテリウムおよびゼニコヒップスは新分類ではこの科から除外されている。ただし、ランドテリウムはブロントテリウム科の近縁種ともといわれている。一方、ゼニコヒップスはウマ科の初期のメンバーであるとされた[要出典]。

以下、新分類を示す[要出典]。

ブロントテリウム科 Brontotheriidae

パコティタノプス Pakotitanops

Mulkrajanops

エオティタノプス Eotitanops

パレオシオプス Palaeosyops

ブロントテリウム亜科 Brontotheriinae

Bunobrontops

Mesatirhinus

ドリコリヌス Dolichorhinus

Sphenocoelus

Desmatotitan

Fossendorhinus

Metarhinus

Microtitan

Sthenodectes

テルマテリウム Telmatherium

メタテルマテリウム Metatwelmatherium

Epimanteoceras

Hyotitan

Nanotitanops

Pygmaetitan

Acrotitan

Arctotitan

Qufutitan

ブロントテリウム族 Brontotheriini

プロティタン Protitan

Protitanotherium

リノティタン Rhinotitan

Diplacodon/Eotitanotherium

Pachytitan

Brachydiastematherium

Sivatitanops

エンボロテリウム亜族 Embolotheriina

Gnathotitan

Aktautitan

Metatitan

Nasamplus

プロトエンボロテリウム Protembolotherium

エンボロテリウム Embolotherium / Titanodectes


ブロントテリウム亜族 Brontotheriina

Parabrontops

Protitanops

Notiotitanops

Dianotitan

Duchesneodus

メガセロプス Megacerops - メノドゥス/ティタノテリウム (Menodus/Titanotherium), ブロントテリウム (Brontotherium), ブロントプス (Brontops), Menops,Ateleodon,Oreinotheriumなどを含む





脚注・出典[脚注の使い方]^ a b Jeremy J. Hooker, “Perissodactyla,” In: Kenneth D. Rose & David Archibald (eds.), The Rise of Placental Mammals: Origins and Relationships of the Major Extant Clades, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 199?214.
^ a b c d George Gaylord Simpson, “The Principles of Classification and a Classification of Mammals,” Bulletin of The American Museum of Natural History, Volume 85, American Museum of Natural History, 1945, Pages 1-350.
^ a b c d Malcolm C. McKenna & Susan K. Bell, Classification of Mammals: Above the Species Level, Columbia University Press, 1997.
^ 独立したラムドテリウム科とする説もある(Hooker, 2005; 冨田, 2011)。
^ a b 遠藤秀紀・佐々木基樹「哺乳類分類における高次群の和名について」『日本野生動物医学会誌』第6巻 2号、日本野生動物医学会、2001年、45-53頁。
^ a b 『脊椎動物の進化』 464 - 465頁
^ 『脊椎動物の進化』 466頁
^ 『脊椎動物の進化』 465頁
^ エドウィン H. コルバート、マイケル モラレス、イーライ C. ミンコフ 「脊椎動物の分類体系」『コルバート 脊椎動物の進化 原著第5版』田隅本生訳、築地書館、2004年、505-518頁。
^ 日本哺乳類学会 種名・標本検討委員会 目名問題検討作業部会「哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
^ ジャイルズ・スパロウ「蹄のある哺乳類:奇蹄類」、スティーヴ・パーカー編、日暮雅通・中川泉 訳『生物の進化大事典』養老孟司 総監修・犬塚則久 4-7章監修、三省堂、2020年、482-483頁。
^ 冨田幸光「奇蹄類」『新版 絶滅哺乳類図鑑』伊藤丙雄・岡本泰子 イラスト、丸善、2011年、161-181頁。

関連項目

カリコテリウム - 比較的近縁であるとされる、奇蹄類の草食獣。

ウインタテリウム - ブロントテリウム類の繁栄する前に北アメリカ大陸に生息し、その生態地位を占めていた原始的な大型の有角草食獣。恐角目

アルシノイテリウム- ブロントテリウム類と近い時代のアフリカ大陸を中心に生息していた大型有角草食獣。ゾウ類に比較的近縁の重脚目


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