ブロッコリー
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夏の暑さには弱く育苗が難しいため[15]日本では6月から9月に種を蒔きを育成して、育成した苗を圃場()に植えて収穫まで育てる[16][17]。栽培難度はふつうであるが、多湿に弱い性質がある[18]。他のアブラナ科作物同様、連作障害があり、2 - 4年は同じアブラナ科の野菜を作ることが不可とされる[15][11]。栽培に適した土壌酸度は pH 6.0 - 6.5 で、生育適温は15 - 20℃、発芽適温が15 - 30℃とされる[11]。10 - 20℃が生育に適しており、5℃を下回るような低温環境や25℃を上回るような高温環境では生育が抑制される[19]。15℃以下の低温にあうと花蕾ができる[15]。育て方は、キャベツとほぼ同様である[15]

ブロッコリーは多肥を好む性質で、用土は苦土石灰と有機質の元肥を多めにすき込んで耕した畑にを作る[15]。種まきは、季節に合わせて発芽に適した温度管理を行い、育苗箱に種を筋まきして本葉が出始めたら、1、2本ずつ育苗ポットに植え替える[18]。本葉が5 - 6枚になった苗を、畑に作った畝の中央に40 - 50 cm間隔で植え付け、植え付け直後はたっぷり水やりを行う[20][21]。気温が涼しくなると、中央部に花蕾ができ始める[15]。ただし、育成初期の葉数が少ないときに極端な低温に遭うと、早くに花芽ができてしまい花蕾が大きくならないボトニング(早期抽だい)現象が起こることがある[21]。植え付け後は約10日から2週間おきに追肥と土寄せを行って育成し、頂部についた花蕾が直径15 - 20 cm程になったら収穫の適期となる[14][20][21]。冬期の収穫では、花蕾が紫色になることがあるが、これは低温の影響でアントシアニン色素が生じたためで、食用には全く問題が無い[21]。頂花蕾を収穫した後も、側芽(側花蕾)が出てくる品種もあり、これも収穫する目的で2週間おきに追肥と土寄せを欠かさず行えば、しばらくの間は直径5 cmほどに育った側花蕾の収穫も続けられる[14][21]

家庭で育てやすいのは、小型品種や、茎ブロッコリー(スティックセニョール)などで、コンテナで栽培することも出来る[14]

病虫害はアブラムシアオムシコナガヨトウムシ、根こぶ病[注 1]、軟腐病(なんぶびょう)[注 2]萎黄病(いおうびょう)[注 3]などがあり、特に生育初期に害虫の被害に遭いやすい[15][11]。対策として、レタスなどのコンパニオンプランツを混植したり、寒冷紗によるトンネル栽培などを利用して予防するほか、害虫を見つけたらすぐに取り除く[20]
生産・流通日本のカリフラワーとブロッコリーの収穫量の推移(1973-2012年)世界のカリフラワーとブロッコリーの収穫量の推移(1961-2012年)世界のカリフラワーとブロッコリーの生産地域(2005年)

日本での主産地は北海道(2012年収穫量:22,600t、栽培面積:2,440ha)、愛知県(同:15,700t、951ha)、埼玉県(同:14,900t、1,260ha)であり[23]、市町村別では愛知県の田原市が全国で最も生産量が高い[24]

常温でも外見が変化しないカリフラワーに対し、ブロッコリーは収穫後ただちに低温保存しないと変色が進んでしまうことから、保存技術が未熟だったかつては、ブロッコリーの流通量は、カリフラワーに大きく水をあけられていた。しかし低温流通技術の開発や家庭における冷蔵庫の普及により、1980年代頃からブロッコリーの生産・流通が急速に拡大。現在、東京都中央卸売市場における取扱量では、ブロッコリーが約13万トン、カリフラワーは約2万トンと、かつての状況とは完全に逆転している[25]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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