カナダ、中国、イングランド、ヨーロッパ、スウェーデン、シンガポール、南アフリカなどの中央銀行も、ブロックチェーンに基づく暗号通貨の発行について研究している[20]。ここにいう中央銀行には、イングランド銀行、連邦準備制度、日本銀行をふくむ。
フィンテックをふくむ多様な情報技術にブロックチェーンは利用される。ブロックチェーンの用途として検討されているものとして、ビットコインなどの暗号通貨の他[21] に、スマート・コントラクトとの組み合わせによる取引の自動化[22]、財やサービスの取引や権利の記録への適用などがある[21]。仮想通貨以外の応用はブロックチェーン2.0と呼ばれる[11][23]。新興諸国を対象に電子政府を超越したビットネイション構想が提出されており[24]、現に南アフリカ共和国ではスマートメーターにブロックチェーンが適用されている。マン島は2016年8月8日モノのインターネットに対する応用を試験すると公表している[25]。
2016年9月29日、ユーロクリアとPaxos がロンドン貴金属市場協会でブロックチェーンを稼動させるために提携した[26] が、失敗し後に提携を取り消している[27]。ロンドン貴金属市場協会は、2010年に金取引データが非公開になったり(HSBC#沿革)、協会内部のシルバー・フィックスで価格操作が行われた疑いによる訴訟が提起されたり(ドイツ銀行#概説)した。ユーロクリアはゴールド・フィックスとシルバー・フィックスの両方に参加するJPモルガンと同じモルガングループであり、また顧客に匿名口座を開設している。香港金融管理局はブロックチェーン技術は匿名性を利用して違法な取引や資金洗浄に援用されるリスクがあると2016年11月に報告した[28]。
ブロックチェーンはミューチュアル・ファンドにも採用されている。 ブロックチェーン上で個人情報を扱うにはプライバシー上の懸念があり、リスク軽減の方法が研究されている[29][30]。 ブロックチェーンのマイニング(取引が検証され確認されるP2Pのコンピュータ計算)には相当量のエネルギーが必要となる。2018年6月、国際決済銀行はエネルギー消費量の多さから、パブリック・プルーフ・オブ・ワーク・ブロックチェーンの使用を批判した[31][32][33]。2021年、ケンブリッジ大学が行った調査では、ビットコイン(121. 36TWh/年)は、アルゼンチン(121TWh)やオランダ(108.8TWh)よりも多くの電力を年間に使用する[34]。 Digiconomistによれば、1つのビットコイン取引は約707.6kWhの電気エネルギーを必要とし、これはアメリカの平均世帯が24日間で消費するエネルギーの量に相当する[35]。 2021年2月、アメリカ合衆国財務長官ジャネット・イエレンはビットコインを「取引を行うための極めて非効率な方法」と呼び、「取引の処理に消費されるエネルギー量は驚異的」と述べた[36]。 2021年3月には、ビル・ゲイツが「ビットコインは人類が知るどの方法よりも取引に電力を使う」「気候にとって良いとは言えない」と述べている[37]。 カリフォルニア大学バークレー校国際コンピュータ科学研究所のニコラス・ウィーヴァーは、ブロックチェーンのオンラインセキュリティ、およびプルーフ・オブ・ワーク型パブリックブロックチェーンのエネルギー効率を調査し、いずれの場合も著しく不十分であることを明らかにした[38][39]。2018年にビットコインに使われた31?45TWhの電力は、17?22.9メガトンのCO2を発生させた[40][41]。 暗号通貨業界では、高いエネルギー消費に対する懸念から、プルーフ・オブ・ワークのブロックチェーンモデルから、よりエネルギー消費の少ないプルーフ・オブ・ステークモデルへの移行を検討する企業も出てきている[42]。 2015年12月から2016年1月にかけて、インフォテリア株式会社の報道発表(2015年12月4日)[43] を皮切りに、さくらインターネット株式会社(同12月16日)[44]、株式会社アイリッジ(同12月17日)[45]、株式会社ロックオン 2016年4月7日日本取引所グループは、野村総合研究所[注 2] と共同でブロックチェーンに関する実証実験を開始する事で合意したことを発表した[49]。同グループは2月16日すでに日本アイ・ビー・エム との実証実験合意を発表している。ブロックチェーンに記録される情報は、証券など資産の移転を証明するとともに、これまで証券取引の清算機関が一元管理していた証券振替記録のデータベースそのものになる。この実証実験では、ハイパーレジャー(Hyperledger)・プロジェクトのフレームワークを利用する[50]。 日本の情報産業はブロックチェーン技術を次のようなビジネスへ応用することを検討している。ビットコインなどの暗号通貨の他[21]、スマート・コントラクトとの組み合わせによる取引の自動化[22]、財やサービスの取引や権利の記録への適用等である[21]。
リスク・懸念
エネルギー消費に関する懸念
日本株式市場への影響