ブレードランナー
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映画の撮影が終了した後、これらのプロップは映画の宣伝に使用され[注釈 23]、その後は他のSF映画に使用された[注釈 24]後に処分・売却された。
自走可能なプロップのうち1台はパトロールカー・セダンと共にフロリダ州オーランドMGMスタジオで屋外展示品とされ[注釈 25]、劣化が進んだこともあり、1990年代の末に処分された[52]。自走可能なプロップのもう1台は、映画撮影用車両会社の間を転々とした後、1990年代初頭にオークションへの出品を経て日本のコレクターに売却された[53]。この車両は『ブレードランナー』撮影後に他の映画の撮影に用いられた際に塗装や細部に変更が加えられているが、オリジナルの状態を比較的保った形で現存している[54]。個人蔵ということもあり、時折『ブレードランナー』関連のイベント等に展示される(一部のパーツのみが展示された例もある)他には一般公開はされておらず、「ポリススピナーの実物大プロップのうち1台が日本に現存している」とマニアの間で語られるのみの存在となっていたが、2017年よりは後述の“フライング・スピナー”同様にプロップを製作したウィンフィールドを交えたレストアの計画が進められ、2019年に入りメディアに現存が公表され、その詳細が紹介されている[54][55]

飛行シーン撮影用の“フライング・スピナー”は1990年代初頭に「デッカード・セダン」と共にフロリダ州のアメリカ警察殿堂博物館(英語版)(American Police Hall of Fame & Museum)に売却されたが、1992年、輸送中に大破し、部品状態で売却された。その後は不完全な修理が施されたまま宣伝用の展示品とされ、1999年には再び売却された[53]
21世紀に入り、2003年12月12日に開催されたオークションに出展され、マイクロソフトの創設者の一人、ポール・アレンが落札した。落札時にはオリジナルの状態を大きく損っていたが、ウィンフィールドの工房にレストアが依頼され、2004年6月に完了、アレンが開設したシアトルのSF博物館(英語版)(Science Fiction Museum & Hall of Fame)に搬入され[56]、同博物館の目玉展示品の一つとして常設展示されている[57][58]

また、ロサンゼルスにあるピーターセン自動車博物館(英語版)(Petersen Automotive Museum)にはレプリカが展示されている[59]

エッセンモーターショーで展示されたポリススピナー
1983年の撮影

SF博物館に展示されているポリススピナー
(2012年7月20日撮影)

上方より撮影したポリススピナー 並列に配置された座席のある操縦室がわかる
SF博物館の展示品、2007年7月22日撮影

ピーターセン自動車博物館に展示されているポリススピナーのレプリカ
(2019年5月18日撮影)
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、スピナー(ブレードランナー)に関連するメディアがあります。
ブラスター

スピナーと並んで本作品を語る上で重要な小道具として、デッカード他が使用した架空の拳銃がある。劇中に登場したものは2種類あり、冒頭でリオンがホールデンを撃つシーンで使われた「ブラックホール・ガン」の仮称で考案された、COP社の4連装小型拳銃COP .357をそのまま使用したものと、後に「デッカード・ブラスター」と通称されるようになった、ライフルリボルバーを合わせて改造したプロップガンがある。詳細は「デッカードブラスター」を参照
ブラックホール・ガン

映画の製作にあたり、スコットは従来のSF映画でよく用いられた「明るい光線を発射するレーザー・ピストル」を避けたいと考えており、それに代わる全く新しい表現を求めていた。これに対し、特殊効果監修のデヴィッド・ドライヤーが考案したものが、「ブラックホール・ガン」であった[60]

これは「強力な分子破壊ビームを発射し、命中箇所を分子レベルで破壊する」というもので、画面上ではまったく光を発しない「黒いビーム(Black beam)」が銃から目標に発射され、命中すると目標は消滅する、という表現が考案された。これは、派手な血飛沫や出血を描く必要がない、という点でも良案とされた[注釈 26]

しかし、冒頭でリオンがホールデンを銃撃するシーンにおいて、特殊効果を挿入したカットを試験的に制作したところ、「ただの暗い筋にしか見えず、劇的効果が得られない」と判断され、このアイディアは他のシーンでは用いられなかった[注釈 27]
デッカードブラスター

主人公のデッカードらが使っている銃については、公式な命名がなされていない。いつ、どのような経緯でそのように呼ばれるようになったかは判然としていないが、日本では1983年の初公開時の映画パンフレットにおいて「ブラスター」の名称[注釈 28]で解説されたため、それ以降、この銃はそのように呼称されるようになった[注釈 29]。一介の小道具であるにもかかわらず高い人気を博し、作品の公開後、数多くのプロップレプリカやモデルガンが製作されることになる。

本作品に登場するオリジナルデザインの品々の中で、この「ブラスター」はシド・ミードのデザインではない。当初彼がデザインしたモデルは前衛的に過ぎ、本作品の状況設定にそぐわず採用は見送られ[注釈 30]、新たにCOP .357を基にしたデザインがアシスタントアートディレクターであるスティーブン・デーンにより描き起こされたが[61]、これも採用されなかった[62][63]
なお、リオンがホールデンを撃つシーンで使われているプロップガンは、本来はデーンによるデザインに基づいて改造するために用意された銃を、ほぼそのまま使用したものである。

改めてプロップを製作するにあたり、まず参考にされたのが、映画『マッドマックス』で主人公の使う、「ソードオフ」と呼ばれる二連銃身の短縮型散弾銃である[64]。しかし、前述の「フィリップ・マーロウ的な探偵の物語(ハードボイルド)」の作風に合わせて、拳銃前提という制約があった。実在の銃器をそのまま、もしくは多少の改造を加えて使うという妥協案も出されたが、実際に使用されたものは美術部が現物合わせでプロップを制作したもので、オーストリア製のライフルの機関部をリボルバーと合体させた上に、電飾加工を施したものである[65][66]。ウィキメディア・コモンズには、ブラスター(ブレードランナー)に関連するメディアがあります。

リオンの用いた銃として使われたCOP .357

作中で用いられた“デッカードブラスター”のレプリカモデル
(日本製のもの)

ロケーション

作品の象徴でもある、日本語で書かれた看板やネオンサインが並び、多国籍の人々が行き交う未来都市の街頭は、ワーナー・ブラザースバーバンクスタジオにある「オールド・ニューヨーク・ストリート」と呼ばれるオープンセットを大規模に改装して作られたセットである[67]。「リドリーヴィル(Ridleyville)」のニックネームが付けられていたこのセットには、地上6mの地点に7基の散水装置が設置されており[68]、作品を代表するイメージの一つである「絶え間なく降り続ける酸性雨」を表現するために用いられた。これに撮影後の合成処理で超高層ビルその他を描き加え、2019年の近未来都市が作り上げられた。

その他のシーンは基本的にはロサンゼルスにある著名な建造物、もしくはスタジオセットで撮影し、撮影後に合成等の処理を施したもので、登場した建造物は2016年現在でも存在している。


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