一方、名画座での上映では映画マニアからの好評を博し、渋谷パンテオンでは、3週間限定上映と告知されていたにもかかわらず、結果的に4週間に延び、その後リバイバル上映が行われるようになってからはカルト映画的な人気を得、アメリカ本国からVHSを個人輸入するほどの熱狂的なマニアも現れた。当時から普及し始めていたビデオパッケージにより、内容をより精査して繰り返し観ることが出来るようになると評価は更に高まり、ソフトも記録的なセールスとなった。日本初公開時に映画館では鑑賞特典として、小さいポスターが配られた。これは偶然にも、後年『ディレクターズ・カット』で使用されたポスターと同じである。大学生時代に劇場で鑑賞した小島秀夫は、後に本作に大きな影響を受けた『スナッチャー』、『ポリスノーツ』を制作した。
公開25周年を迎える2007年に、日本で行われたファイナルカット・カウントダウンイベントの際[85]、来場した全ての観客にポスターやネガフィルムやフライヤーなどが配られ、劇中の広告に使用された「強力わかもと」も進呈された[86]。また、抽選により100名限定でオリジナルTシャツ、2名限定で『ブレードランナー製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション』[86]、3名限定で『シド・ミード・ビジュアルフューチャリストDVD』がプレゼントされた。
本作には前述のわかもと等実在企業が数多く登場した一方、史実では業績不振に陥り消滅・破産した企業もある(パンアメリカン航空、RCAなど)。一部ではこれを「ブレードランナーの呪い」と称している[87]。
Rotten Tomatoesによれば、126件の評論のうち高評価は89%にあたる112件で、平均点は10点満点中8.5点、批評家の一致した見解は「劇場初公開当時は誤解されていた、リドリー・スコット監督のミステリアスなネオノワール映画『ブレードランナー』の影響力は時とともに深まってきている。視覚的にも並外れた、痛切なヒューマンSFの傑作。」となっている[88]。Metacriticによれば、15件の評論のうち、高評価は13件、賛否混在は1件、低評価は1件で、平均点は100点満点中84点となっている[89]。
受賞
1983年度ヒューゴー賞 - 最優秀映像作品賞受賞
1983年度英国アカデミー賞 - 撮影賞・衣装デザイン賞・美術賞受賞、編集賞・メイク賞・作曲賞・音響賞・特殊視覚効果賞ノミネート
1983年度ロンドン映画批評家協会賞 - 特別業績賞受賞(ローレンス・G・ポール、ダグラス・トランブル、シド・ミード)
1983年度ロサンゼルス映画批評家協会賞 - 最優秀撮影賞受賞(ジョーダン・クローネンウェス)
1983年度アカデミー賞 - 視覚効果賞・美術賞ノミネート
1982年度イギリス・撮影者協会賞ノミネート
1983年度・1993年度ファンタスポルト映画祭 - ファンタジー作品賞ノミネート
1983年度ゴールデングローブ賞 - 作曲賞ノミネート
1983年度第14回星雲賞 - 映画演劇部門賞受賞
2018年度キネマ旬報「1980年代外国映画ベスト・テン」第1位[90]
バージョン詳細は「en:Versions of Blade Runner」を参照
本作には諸般の事情により、他映画作品では類を見ない7つの異なるバージョンが存在する。とくにスコットが再編集した1992年の『ディレクターズ・カット』では、作品の解釈を変えるような意味深長なシーンが追加された(詳細は「デッカードは何者なのか」の節を参照)。
なお、サンディエゴ覆面試写版とUSテレビ放映版を除く5つのバージョンは、日本では2007年12月14日にリリースされたDVDボックス『ブレードランナー 製作25周年記念アルティメット・コレクターズ・エディション(以下『UCE』)』[注釈 33]で全て視聴する事ができる。 1982年。113分。『UCE』では「ワークプリント版」と称される。本作公開前の同年3月、ダラスやデンバーで観客の反応を見るためにテスト試写(スニークプレビュー)が行われた際のバージョン。しかし観客の反応は余り芳しいものでは無く、最悪だったとスコットは振り返る。フォードを倒す悪役に同情的なこと。画面は暗く絶えず雨が降り、ハッピーエンドではないこと。ユニコーンの折り紙も不評だったという[4]。 以下は本バージョンのみで見られるシーンである。 1982年。未ソフト化。同年5月にサンディエゴでスニークプレビュー(覆面試写)が行われた際のバージョン。基本的にリサーチ試写版と同じだが、3つの新たなシーンが追加されたと言われる(詳細な箇所は不明)。 1982年。116分。『UCE』では「US劇場公開版」。北米で初めて商業上映された際のバージョン。リサーチ試写版で不評だった点を改善し、一般受けを良くしようとしたが、結果的にはそれでも評判は上がらず、映画評論家に酷評された[4]。エンドロールの空撮映像は、『シャイニング』のオープニングの別テイクを借用したものである[26]。 1982年。ヨーロッパや日本で劇場公開された際のバージョン。なお、日本ではワーナーのレンタルビデオや初期にリリースされたLDソフトに初期劇場公開版が収録されていた為、バージョンの違いが認識されており、ビデオ発売時には「完全版」と称して発売された。日本版『UCE』でも同様に呼称している。 1986年。114分。未ソフト化。CBSでの放映用に編集を行ったバージョン。
リサーチ試写版(ワークプリント版)
冒頭の制作会社のロゴが白地で映される。
オープニング・クロールはなく、レプリカントについて辞書の引用風に解説した文章のみが映される。
序盤のスシバーでの「二つで十分ですよ」のシーンにおいて、注文した丼の具材が映っている[30]。
バッティの死を目の当たりにするシーンで、デッカードのナレーションが重ねられる。
エンドロールはなく、「The End」が表示されるのみ。
サンディエゴ覆面試写版
初期劇場公開版(オリジナル劇場公開版、US劇場公開版)
冒頭はあらすじを載せたオープニング・クロールに変更。
ハリソン・フォードによるナレーションを追加。
暴力シーンの一部映像(タイレル博士が目を潰されるシーンと、バッティが自らの手を釘で貫くシーン)を削除。
エピローグで、デッカードとレイチェルが逃亡する映像[26]とナレーションを追加。
インターナショナル版(インターナショナル劇場公開版、完全版)
初期劇場公開版で削除された暴力シーンを復活。他、いくつか微細な変更が行われた。
USテレビ放映版
暴力シーンの削除。
オープニング・クロールにおけるボイスオーバーの追加(フォードではなく、アナウンサーによるもの)。
ディレクターズ・カット(最終版)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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