ブレーキとアクセルの踏み間違え事故
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2008年にスバル・アイサイトで初めて市販され、衝突被害軽減ブレーキの普及と共に多くの車種に搭載されるようになり、2014年に販売された乗用車の新車の32%に搭載された[14]。2015年にはトヨタ・セーフティセンスの発売が開始された。

新車時点で踏み間違い防止を装着していない車両に対して、カー用品店で後付けで装着するパーツ(例:2016年、ミラリード「ペダルの見張り番」)も開発・販売された[15]

2017年からは、経済産業省や国土交通省が高齢者による誤操作事故防止を目的として「安全運転サポート車」(セーフティー・サポートカー / サポカー)の制度を開始しており、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)と共に普及を推進している。

また衝突被害軽減ブレーキ搭載車は、非搭載車より事故率が低い事が証明されたため[16]、2017年1月から平均10%程度の自動車保険料割引の対象となる事が決定した[17]。割引額は装置や保険会社により異なる。これに伴い、必然的に衝突被害軽減ブレーキとセットのセンサー式踏み間違い事故防止装置も、保険料割引の対象となる。

しかしながら、障害物検知による誤発進抑制機能は10km/hもしくは15km/hの低速でのみ作動するようにプログラムされており、それを超える速度では、アクセルペダルの踏み込みを運転者の加速意図であるとして、障害物を検知していても加速を許容するようプログラムされた製品がほとんどであるため、踏み間違い操作が行われると、加速を許してしまうため、事故防止の効果は限定的である。

SUBARU - アイサイト(EyeSight)

マツダ - ⇒スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)

ダイハツ工業 - スマートアシスト

トヨタ自動車

インテリジェントクリアランスソナー

Toyota Safety Sense


日産自動車

踏み間違い衝突防止アシスト

エマージェンシーブレーキ


スズキ

レーダーブレーキサポート

デュアルカメラブレーキサポート


本田技研工業

シティブレーキアクティブシステム

Honda SENSING


三菱自動車工業 - ⇒FCM-City

シフト・ロック機構

1980年代後半、アメリカ合衆国ではアウディ5000(日本欧州ではアウディ・100として流通)のオートマチック車で急加速事故が多発し問題となった。これを受け1989年、アメリカ国家道路交通安全局(NHTSA)が調査を行った結果、急加速の主な原因を「ペダルの踏み間違い」と結論づけた。アウディ側は、解決策としてキックダウン(急激なアクセルを行った際に生じるシフトダウン)を自動的に抑えるシフト・ロックを設計した。同様の設計手法は、他のメーカーも採用に広がった[18]

日本では1987年頃からAT車の暴走事故が社会問題として大きく報道され始めた[19]。それまではペダルの踏み間違いが暴走の主因であるとされていたが[19]、車体の構造欠陥などが事故原因ではないかとの指摘がユーザー側からされるようになり、特に日産自動車ノックダウン生産されていたフォルクスワーゲン・サンタナでは、アイドル回転制御装置の欠陥(アウディ・100も共通の部品を採用していた)が当時の衆議院にて直接指摘される事態にまで至った[20]運輸省は国会での質問趣意書を受け、過去の暴走事故も含めた包括的な調査を開始、1989年に「アイドル回転数補正装置や定速走行装置に異常が生じた場合、暴走に結びつく可能性のあるエンジン回転数の異常上昇が発生する」事を最終報告書に記している[19]。しかし、ユーザー側から指摘のあった(違法CB無線などによる)電波ノイズによる暴走発生の可能性については記載されなかった[19]。また、同年の運輸白書では「突然のエンジン回転数上昇と同時にブレーキも効かなくなるような暴走現象は認められなかった」とも結論づけられている[21]日本自動車工業会は社会問題が本格化した1987年末に、1989年以降発売される新車の全てに「エンジンを始動後、ブレーキペダルを踏みながらでないとPレンジから他のレンジにシフトレバーを動かせない[22][23]」シフトロック装置を標準搭載する事を決定、日本車にもシフトロック機構が普及する事となった[19]
アクセル感知方式の誤発進防止装置

自動車部品として、アクセルペダルの開度速度を感知し、低速時のアクセルの急踏込・べた踏込を検知した場合に、急ブレーキをかける・エンジンを停止するなどの機能を持った装置が発売されている[24]

サン自動車工業 - ⇒S-DRIVE誤発進防止システム

ナンキ - ⇒STOPペダル

光テクノサービス - ⇒セフティドライビング・アシストシステム(SDAS)

ワンペダル(ナルセペダル)

熊本県玉名市(旧玉名郡岱明町)にある鉄工所 ⇒ナルセ機材が開発したペダル。正式名称は『ワンペダル』で、同社取締役社長の鳴瀬益幸自身が、踏み間違いによる暴走事故を起こしたのを機に開発された[25]

『本質安全』の装置として、アクセルを横押し機構にし、既存のアクセルペダルを撤去しブレーキペダルを改造する(加速させる為には、爪先を右横にひねる動作を行なう)ことで、ペダルの踏み間違いそのものを発生させないワンペダル方式となっている。メーカー品より大きなブレーキペダル上に常に足を乗せて操作するため、加速中であってもペダルを踏み込めば、即・ブレーキ操作となる。そのため結果的に、空走距離を通常ペダルより大きく短縮でき、短い停止距離での車両停止が可能である。

導入実績もまだ少なく、改造費用も約20万円と安価ではないが、国土交通省自動車保安基準適合部品であり、ナルセ機材が所在する玉名市では、このペダルの整備費用に対して補助金が申請できる[26]
クリープ現象

駐車時にはアクセルペダルを踏まず、ブレーキペダルに足をかけ、クリープ現象を利用して駐車することが事故を防ぐ対策の一つである。
司法判断

ブレーキとアクセルの踏み間違いによると見られる死亡事故については、2021年9月現在、次の司法判断が示されている。いずれも当事運転者の過失を事故の発生原因と認め、有罪判決が下されている。

ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いによると見られる死亡事故に対する判例発生日時発生場所人的損害判例出典
死者重傷軽傷判決係争状況
2016/12/3 17:00福岡県福岡市博多区37禁錮5年6ヶ月上告棄却、確定
[27][28]
2018/2/18 7:20東京都港区110禁錮3年、執行猶予5年東京地裁判決、控訴中[29][30]


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