ブルックリン区
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19世紀末はその爆発的成長の最後の時代であり地下鉄と工業化は最南端(西側)のベイ・リッジからサンセット・パークまで拡大した。ブルックリン市は1886年にニューロッツ町、1894年にフラットブッシュ町、グレーヴセンド町、ニューユトレヒト町、1896年にフラットランズ町を併合し、その面積はほぼキングス郡全体に匹敵する大きさとなった。
ニューヨーク市併合1936年のイーストリバー沿岸。左がブルックリン橋で鉄道のアプローチが設けられている。右は1909年開通のマンハッタン橋。手前がブルックリン。アルフレッド・C・シャピン市長(1888-1891 民主党)デヴィッド・A・ブーディ市長(1892-1893 民主党)

1883年、ブルックリン橋が完成し長年船しかマンハッタンとの連絡手段がなかった時代は終わった。それに伴いマンハッタンとブルックリン市の交流は劇的に活発化した。この頃になるとブルックリン市はこのまま独立した発展を続けるのか、またはニューヨーク郡、西部クイーンズ郡、リッチモンド郡(スタテンアイランド)、ブロンクス郡を内包する5区構成のニューヨーク市の一部となるのか揺れることとなった。法律家アンドリュー・ハズウェル・グリーンを始めとした革新派は5区構成の案に賛成し、彼らは反対派の保守層や新聞社ブルックリン・イーグルと議論を交わし続けた。1894年の選挙では5郡の郡民は5区構成の併合案に賛成するものが多数派となり、1898年に正式に併合、現在のニューヨーク市が誕生した。

この併合によりブルックリンの人々のアイデンティティはかなり複雑なものとなり、しばしば新聞などで「1898年の偉大なる失敗」とも言われた。こういったブルックリンの独自性は現在も年老いた人々に受け継がれておりブルックリナイツとしてのプライドを保持している。

なおニューヨーク市誕生後もブルックリン区はキングス郡としてニューヨーク州の郡の一つとして存在し続けている。

歴代のブルックリン市長市長政党就任退任
ジョージ・ホール民主党/共和党1834年
ジョナサン・トロッター民主党1835年1836年
ジェレマイアー・ジョンソンホイッグ党1837年1838年
サイラス・P・スミス1839年1841年
ヘンリー・C・マーフィー民主党1842年
ジョセフ・スプラグ1843年1844年
トーマス・G・タルメイジ1845年
フランシス・B・ストライカーホイッグ党1846年1848年
エドワード・コップランド1849年
サミュエル・スミス民主党1850年
コンクリン・ブラッシュホイッグ党1851年1852年
エドワード・A・ランバート民主党1853年1854年
ジョージ・ホール1855年1856年
サミュエル・S・パウエル民主党1857年1860年
マーティン・カルブフェリッシュ1861年1863年
アルフレッド・M・ウッド共和党1864年1865年
サミュエル・ルース1866年1867年
マーティン・カルブフェリッシュ民主党1868年1871年
サミュエル・S・パウエル1872年1873年
ジョン・W・ハンター1874年1875年
フレデリック・A・シュローダー共和党1876年1877年
ジェームズ・ホーウェル民主党1878年1881年
セス・ロウ共和党1882年1885年
ダニエル・D・ホイットニー民主党1886年1887年
アルフレッド・C・シャピン1888年1891年
デイヴィッド・A・ブーディ1892年1893年
チャールズ・A・シェレン共和党1894年1895年
フレデリック・W・ウルスター1896年1898年

政治

1898年の併合以来、ブルックリンでは大きな権力を有するニューヨーク市長をトップとする行政が敷かれている。このニューヨーク市行政は公安、教育、福祉、衛生、インフラ、娯楽と全てにおいて指揮権を握る形となっており、それぞれの区の独立性は小さい。アントニオ・レイノソ区長

ブルックリン市庁舎として使用されていた建物は現在区庁舎になっており、ニューヨーク市の中央行政と郡の行政のバランスを取る立場にある。区長はニューヨーク市予算委員会にて重要な立場にあり、市及び区の予算編成を行う。1989年アメリカ合衆国最高裁判所は最大の人口を抱えるブルックリンが予算委員会で人口が最も少ないスタテンアイランドと同等の権限しか有さないのはアメリカ合衆国憲法修正第14条の平等保護に反するとして違憲という判決を下した。1990年からは区長は区の為に市長や市議会、州議会などでも発言する機会が増えている。現在の区長、民主党のアントニオ・レイノソは2022年に就任した。

ニューヨーク市内は民主党支持者が多数派で、ブルックリンも同様の傾向にある。共和党は区南部のベイ・リッジやディッカー・ハイツなどで支持者を獲得している。ブルックリン区庁舎

民主党は公共住宅や教育、経済に力を入れており、その中でも今論争中なのが区中北部プロスペクト・ハイツ地区を中心としたアトランティック・ヤーズという再開発で住宅やオフィスを含む高層ビルを16棟建築する計画となっている。

ニューヨーク市5区はそれぞれがニューヨーク州の郡として存在しており、ブルックリンもキングス郡として独立した郡裁判所と選挙によって選ばれる地方検事(District Attorney)を持つ。現在のエリック・ゴンザレス(民主党)は2016年より地方検事の職についている。ブルックリンは区として16人を市議会に送っており、これは5区最大の人数である。また市のインフラ整備などに助言する権限を有する名誉職のコミュニティ・ディストリクトという役職は市に59人おり、そのうち18人はブルックリン代表である。

ブルックリンの公式モットーは Een Draght Mackt Maght という古いオランダ語で、ネーデルラント連邦共和国のモットーに感銘を受けたことから作成された。英語訳すると In Unity There is Strength となり、日本語訳するなら「結束は力なり」。このモットーは区旗と区印に刻まれている。尚、区の公式色は青と金。
連邦政治

ブルックリンは大統領選挙においてここ50年間共和党候補を選出していない。2020年の大統領選挙では民主党候補(現大統領)ジョー・バイデンが76.78%を、共和党候補ドナルド・トランプが22.14%を得票した。

全米435ある連邦議会下院選挙区のうち、ブルックリンは5つの区を持ち、そのうち1区は全域がブルックリン区内にある。

ニューヨーク州第7区: クイーンズ西部を含む選挙区。現職は民主党のニディア・ベラスケス(1992年初当選)。

ニューヨーク州第8区: 現職は民主党のハキーム・ジェフリーズ(2012年初当選)。

ニューヨーク州第9区: 現職は民主党のイベット・クラーク(2006年初当選)。

ニューヨーク州第10区: マンハッタン南部を含む選挙区。現職は民主党のジェリー・ナドラー(1992年初当選)。

ニューヨーク州第11区: スタテンアイランドを含む選挙区。現職は共和党のニコル・マリオタキス(2020年初当選)。

ブルックリンの歴代大統領選の結果[2][3][4]年共和党民主党
2020年22.14% 202,772票76.78% 703,310票
2016年17.51% 141,044票79.51% 640,553票
2012年16.90% 124,551票82.02% 604,443票


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