ブルセラ症
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酪農・農業従事者、獣医師、屠畜場従事者では職業的な感染のリスクが高い[1]

自然宿主に対する病原性発現の初期段階の細胞への接着と侵入に関与する遺伝子、および菌体成分は明らかになっていない部分が多い。


感染経路(牛)

牛のブルセラ病は流産胎子や胎盤あるいは感染した子宮からの悪露が感染源で、病原体は経口的に摂取され、腸管より侵入する。外陰部、角膜、皮膚も感染経路となる。ブルセラ病は特に妊娠子宮指向性が高いため、子宮内で増殖して胎子に感染する。
診断と治療
臨床症状ブルセラに感染して出来たブタ肉芽腫

あらゆる臓器に感染を起こし、全身症状。その症状に特異的なものはなく、症状は他の熱性疾患と類似している。40℃程度の発熱は主に午後から夕方で、持続的、間欠的、または不規則な発熱(数週間?数カ月続くこともある)、発汗、疲労、体重減少、うつ状態などの症状がみられる。リンパ節腫脹、肝脾腫大がみられる[9][1]

骨・関節系 - 最もよくみられる合併症で、腸骨坐骨関節炎、膝および肘関節炎、椎間板炎、骨髄炎、滑膜包炎などを起こす。

消化器系 - 成人患者の70%近くで胃腸症状(食欲不振・吐き気・嘔吐・下痢・便秘、悪心)体重減少。

呼吸器系 - きわめてまれで、咳、労作呼吸困難。

泌尿器系 - 精巣炎。

神経系 - うつ状態、髄膜炎がみられるが、頻度は2%以下。

心血管系 - 心内膜炎が最も重要な合併症で、ブルセラ症による死亡原因の大半を占める。頻度は2%以下である。

診断

血液培養による診断が有効で、発熱時で、なるべく抗菌薬投与前の血液、あるいはリンパ節生検材料、骨髄穿刺材料などを対象とする。体組織からの病原体の分離・同定
[1]

治療

感受性のある抗生剤の投与。薬剤の服用期間が短い・外科的処置が不適切だった場合、再発する。

弱毒変異株を用いたヒトの有効なワクチンは開発中。

出典

感染症の話 2002年第10週号(2002年3月4日?3月10日)掲載( ⇒国立感染症研究所

脚注[脚注の使い方]^ a b c d e感染症の話 ブルセラ症 国立感染症研究所
^ “家畜の伝染病疾病の名称変更について”. 農林水産省消費安全局. 2021年12月26日閲覧。
^ 井上尚英『生物兵器と化学兵器』(中公新書)
^ a b cブルセラ症について 横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課
^ Bruce, David (1887), “Note on the discovery of a microorganism in Malta fever”, Practitioner (London) 39: 161-170 
^ a b c 今岡浩一、「ブルセラ症の最近の話題」 モダンメディア 2009年3月号(第55巻3号)p.76-85 (PDF)
^ a b フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉?へぇの本? 2』講談社、2003年。 
^山口県 環境保健研究センター所報 第48号 (平成17年度) p.30 (PDF) 山口県環境保健センター
^海外旅行者のための感染症情報 厚生労働省検疫所

関連法規

家畜伝染病予防法 - 但し、イヌブルセラ症は対象外。

感染症法 - 四類感染症、全数届出疾患

食品衛生法

と畜場法

外部リンク

厚生労働省:感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について


三枝順三, 上田雄幹, 後藤義孝 ほか、「東京地区のイヌにおけるBrucella canisの汚染調査」 『日本獸醫學雜誌』 1978年 40巻 1号 p.75-80, doi:10.1292/jvms1939.40.75, 日本獣医学会。(英文)

犬ブルセラ病の現状と清浄化に向けての課題 日本獣医師会雑誌 Vol.63, No.10 p740-744

ブルセラ症とは - NIID 国立感染症研究所










日本の感染症法における感染症
一類感染症

エボラ出血熱

クリミア・コンゴ出血熱

天然痘(痘そう)

南米出血熱

ペスト

マールブルグ熱

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