牛のブルセラ病は流産胎子や胎盤あるいは感染した子宮からの悪露が感染源で、病原体は経口的に摂取され、腸管より侵入する。外陰部、角膜、皮膚も感染経路となる。ブルセラ病は特に妊娠子宮指向性が高いため、子宮内で増殖して胎子に感染する。
診断と治療
臨床症状ブルセラに感染して出来たブタの肉芽腫
あらゆる臓器に感染を起こし、全身症状。その症状に特異的なものはなく、症状は他の熱性疾患と類似している。40℃程度の発熱は主に午後から夕方で、持続的、間欠的、または不規則な発熱(数週間?数カ月続くこともある)、発汗、疲労、体重減少、うつ状態などの症状がみられる。リンパ節腫脹、肝脾腫大がみられる[9][1]。
骨・関節系 - 最もよくみられる合併症で、腸骨坐骨関節炎、膝および肘関節炎、椎間板炎、骨髄炎、滑膜包炎などを起こす。
消化器系 - 成人患者の70%近くで胃腸症状(食欲不振・吐き気・嘔吐・下痢・便秘、悪心)体重減少。
呼吸器系 - きわめてまれで、咳、労作呼吸困難。
泌尿器系 - 精巣炎。
神経系 - うつ状態、髄膜炎がみられるが、頻度は2%以下。
心血管系 - 心内膜炎が最も重要な合併症で、ブルセラ症による死亡原因の大半を占める。頻度は2%以下である。
診断
血液培養による診断が有効で、発熱時で、なるべく抗菌薬投与前の血液、あるいはリンパ節生検材料、骨髄穿刺材料などを対象とする。体組織からの病原体の分離・同定[1]。
治療
感受性のある抗生剤の投与。薬剤の服用期間が短い・外科的処置が不適切だった場合、再発する。
弱毒変異株を用いたヒトの有効なワクチンは開発中。
出典
⇒感染症の話 2002年第10週号(2002年3月4日?3月10日)掲載( ⇒国立感染症研究所)
脚注[脚注の使い方]^ a b c d e ⇒感染症の話 ブルセラ症 国立感染症研究所
^ “家畜の伝染病疾病の名称変更について
表
話
編
歴
日本の感染症法における感染症
一類感染症
エボラ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱
天然痘(痘そう)
南米出血熱
ペスト
マールブルグ熱
ラッサ熱
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急性灰白髄炎
結核