ブルジュ・ハリファ
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26,000枚以上のガラス板は、中国香港の遠東環球集団(英語版)(中国建築股?有限公司の子会社)から300人以上の専門家によって据え付けられた[15][16]。建設契約において、Turner社がプロジェクトの管理を担当した[17]。基礎は鉄筋コンクリート製である。プツマイスター社はこの建設のために超高圧コンクリートポンプ車 (BSA 14000 SHP-D) を開発した[18]。コンクリートは45000 m3以上、鉄筋を含めると11万t以上の重量となるコンクリートから直径1.5 m、長さ43 mのパイルが192本造られ、50 m以上の深さに埋められた[19]。躯体には33万m3のコンクリートと55000 tの鉄筋が使われ、工数は2200万[人・時]にのぼった[13]。基礎に使われたコンクリートは高密度かつ低透過性ものである。基盤の下には陰極防食法が施され、地下水が含有する腐食性化学物質による悪影響を最小限にしている[16]。2008年5月プツマイスター製ポンプは地上606 m (1,988 ft) の156階までコンクリートを汲み上げる世界記録を達成した[18]。組み立てには吊り上げ荷重25 tのタワークレーン3台が、最上階に至るまで使われた[20]

建設は2004年9月21日に始まり、外貌は2009年10月1日に完成した。オープンは2010年1月4日に行われた[21][22]

2009年3月、建設プロジェクト議長のエマール・プロパティーズ社ムハンマド・アル=アッバール(英語版)は、ブルジュ・ハリファの事務所スペースの価格が4,000USドル/ft2(43,000USドル/m2)に達し、アルマーニが販売する住居スペースは3,500USドル/ft2(37,500USドル/m2)になったことを発表した[23]。彼は、プロジェクト全体の費用を約15億USドルと見積もった[24]
建設の遅れ

2008年6月9日エマール・プロパティーズ社は、ブルジュ・ハリファの建設がアップグレードを理由とした遅延状態にあり、2009年9月にならなければ完成しないと発表した[25]。広報担当者は「贅沢品まで含めた完成は2004年とされていたが、これは初期の構想によるものである。現在はアップグレードされた完成に向かっている。居住区のデザインは美しくより魅力的かつより機能的に高められた」と述べた[26]。そして完成日を2009年12月2日に延期するという発表が行われた[27]。しかし結局はさらに1か月以上遅れ、ブルジュ・ハリファは2010年1月4日にオープンした[21][22]
労働争議

ブルジュ・ハリファは、主に南アジアからの労働者によって建設され[28][29] 、 2008年6月17日時点で建設現場には7,500人の熟練労働者が働いていた[25]。その賃金は熟練の大工で日給4.34UKポンド、一般労働者で2.84UKポンドだった[28]BBCの調査とヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、労働者の住居は酷いありさまで、賃金不払いや雇い主によるパスポートの差押さえなどがあり、劣悪な環境で仕事をしなければならなかった[30]。建設中の事故死は1名のみと発表されているが[31]、ヒューマン・ライツ・ウォッチによるとUAEによる労働災害や死亡者の報告は「とても不充分な記録」だと言う[32]

2006年3月21日、約2,500人の労働者が、シフトが終わってもバスが到着していない事を原因に不満を爆発させ、抗議活動の上に車や事務所、コンピューターや建設資材などを破壊した[28]。ドバイ内務省職員によると、この損害は50万UKポンドに及ぶという[28]。暴動を引き起こしたほとんどの労働者は翌日には戻ってきたが、彼らは就業を拒否した[28]
デザインと設備横断面の比較(上からブルジュ・ハリファ、台北101、ウィリス・タワー、旧ニューヨーク世界貿易センタービル)

設計は、シカゴのウィリス・タワーニューヨーク1 ワールドトレードセンターで実績を持つSOMが担当した。ブルジュ・ハリファはファズラー・ラフマーン・カーンが開発した、束ねられたチューブ構造(英語版)が採用された[33][34]。このシステムによって、使用する鋼材はエンパイア・ステート・ビルディングの半分に抑えられた[33][35]。設計には、フランク・ロイド・ライトが考えた1マイル高のビルザ・イリノイ計画の構想が影響を及ぼしている。デザインチームのメンバーだったSOMの建築家マーシャル・ストラバラによると、ブルジュ・ハリファのデザインでは、ソウルのタワーパレス3 G棟(英語版)73階建て住居がベースになったという。計画の当初、ブルジュ・ハリファは全室が居住用で計画されていた[10]ヒメノカリス(英語版)の花。6本の放射状に伸びる花びらを持ち、ここからデザインのイメージが取られた。

ブルジュ・ハリファは、イスラーム建築で表現される柄からデザインされた[36]。SOMの構造エンジニアであるビル・ベーカーによると、デザインの際に特定の文化的や歴史的な要素が取り込まれた。翼形状が外側に伸びるY字型の断面は、景観や自然光が差込むのに適し、住居やホテル用途には理想的である[36]。主要設計技師のエイドリアン・スミスは、ビルが持つ3つの切り欠きはヒメノカリス(英語版)の花から連想したという[37]。ビルは中央のコアを取り囲む3つ構成部分で成り立っている。沙漠の地表から上に行くに従って、各構成部分は敷地境界線から後退(セットバック)して螺旋形状を取りながら、上階の床面積がより小さくなってゆく。テラスは27箇所にある。先端になると中央のコアが露出し、その上に尖塔が設置されている。Y字型の床は、ペルシア湾の展望が最も良く見えるようデザインされている。上空から見下ろしたり、地表から見上げると、建物はイスラーム建築のオニオンドームを連想させるように見える。尖塔の先の揺れは、幅1.5 m (4.9 ft) に及ぶ[38]

空前の高さを持つビルを支持するため、六角形のコア部が3方向から構成部分によって補強されるY字型形状を持たせた「バットレスト・コア」という新規構造が開発された。この構造によって建物は自ら外側から支え、ねじれを防ぐことを可能とする[36]

尖塔は4000 t以上の重さを持つ構造用鋼鉄で作られている。中央の頂上パイプは350 tあり、建物の中央からストラット・ジャッキ(英語版)で200 m (660 ft) の高さまで吊り上げられた。


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