ブリットポップ
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さらに、女性ボーカルを擁するバンドとしてエラスティカスリーパーエコーベリー[3]らも登場しチャートに食い込んでいった。ちなみに、「ニュー・ウェイヴ・オブ・ニュー・ウェイヴ」なるムーブメントが音楽メディアに取り上げられたが、これはあまり定着しなかった。

ジャーヴィス・コッカーを中心としたパルプは、1978年に結成してから長くインディーズ時代を過ごしていたが、93年にようやくメジャー契約を結んだ後に徐々に知名度を上げ、1995年、「コモン・ピープル」でその人気が上昇し、ロック・ファンの間でブラー、オアシスにも劣らぬ人気を得るに至った。

ブリットポップ・ブームは社会現象と化し、ミュージシャン達が軽薄なバラエティ番組への出演や、新聞に載るなど身近なものへと浸透していった。更には業界の枠を超え、モデルとなってファッション雑誌にイギリス国旗をあしらった衣類を着て登場するなどの一面も見せていた。メディアは音楽のみならず、ファッション芸術などイギリスのポップカルチャーの特集を組み、商業主義の「クール・ブリタニア」と呼ばれるこれらの状況を指す用語が登場し、広く用いられるようになった。

それを象徴するかのように1996年ユアン・マクレガー主演の青春映画トレインスポッティング」が公開され、ロングラン・ヒットを記録。劇中で使われている楽曲にブリットポップ系バンドが多数参加していた。

ブリットポップブームの中で最も注目を浴びたのが、オアシスとブラーのシングル同日発売である。以前から仲が悪く、階級の違い、音楽性の違い、出身地など全てにおいて対照的で、ライバル関係にあり、人気を二分していた両者。特にオアシスは、メディアが自分達よりもブラーのアルバムに賞賛を送っていたことが気に入らず、ふだんからブラーを罵っていた。

そして1995年、そういった緊迫したムードの中、対決の日が訪れる。オアシスはニューシングル「ロール・ウィズ・イット」[4]8月14日に発売すると発表。それに対し、ブラー側が発売日を合わせニューシングル「カントリー・ハウス」を同じ8月14日に発売すると発表した。

どちらがチャート1位を獲得するかメディアはこの騒ぎを煽り立て、イギリスがこのシングル対決に大注目した。さらにはBBCニュースでも、この模様が「ビートルズローリング・ストーンズの再現」との報道がなされた。

大方の予想はブラーやや有利と見ていたが、その予想通り結果はブラーは27万枚、オアシスは22万枚とブラーの勝利に終わった(ちなみに、ブラーのシングルには2バージョンが用意されており、加えてオアシスの「ロール・ウィズ・イット」には何万枚かの集計ミスがあったことも後発覚した)。ガーディアン紙は、これに怒ったノエル・ギャラガーが「ブラーのデーモンとアレックスはエイズにでもかかって死ねばいい」 とコメントしたと報道。ノエルは社会から大きな非難を浴びた[注 2]

しかし、オアシスの2nd『モーニング・グローリー』はイギリスのみならず、アメリカでも最高位4位を記録するなど、全世界で2200万枚を売り上げるヒットとなり、ブラーの『ザ・グレート・エスケープ』 から大勝利を収める。オアシスは、11月にはロンドンのアールズ・コートで、ヨーロッパの屋内ライブとしてはギネス記録である、2日間4万人を動員するライブを開催。さらに翌年の1996年MTVアウォーズ(EURO)でベストグループ賞を受賞し、8月にはロンドン郊外のネプワース公演にて2日間で25万人を集めるなど、イギリスのトップバンドとなった。

また1996年に入っても、ブリットポップ・ムーブメントは衰えることなく、次々と実力派の新人バンドがデビューしていった。『モーニング・グローリー』を蹴落として、デビューアルバム『エクスペクティング・トゥ・フライ』を全英1位に送り込んだブルートーンズ、平均年齢十代にしてメジャーデビューアルバム『1977』を全英一位に送り込んだ北アイルランド出身のアッシュ、インド志向を打ち出し、デビューアルバム『K』がオアシス以来の最速売り上げを記録したクーラ・シェイカーなどが代表的である。オアシスは96年にアメリカでも「ワンダーウォール」をヒットさせ、アメリカ進出に成功した。

その一方で、ムーブメントの影響もあってブリットポップ以前にデビューしていたバンドの再ブレイクも数多く見られた。ギタリストのバーナード・バトラー脱退後やや低迷していたスウェード、またメンバーのリッチー・ジェームスが失踪するというアクシデントに見舞われたマニック・ストリート・プリーチャーズ、レーベル移籍のトラブルから前作から4年もの空白期間を余儀なくされたオーシャン・カラー・シーンらは、それまでを大きく上回る商業的成功をみせている。


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