元隊員達によるDVDオーディオコメンタリーによると、他にも元隊員のカメオ出演がある。「ディトマソ」と無線で呼ばれるチョーク班長、墜落現場へ急行するMH-6 リトルバード「スター41」のパイロット、再び出撃するストルッカー軍曹の車両隊に飛び乗る眼鏡をかけた隊員、ラストのスタジアムでコーヒーを手渡した隊員などである。
ラストで敵対地域を脱出し、停戦ライン(グリーン・ライン)を通り抜けて親米地域に入った米兵たちが住民の歓待を受けるシーンは、モノクロでスローモーションがかかり、まるで米兵たちの夢想であるかのような演出がなされるが、オーディオコメンタリーでは史実であったと述べられている。
原作・史実との相違点
登場する兵士のモデルになったアメリカ陸軍兵士ジョン・ステビンズは、2000年6月、12歳未満の少女(6歳の実の娘)を強姦した罪で懲役30年を言い渡され[7]服役となったが、軍はこの事実を隠すため原作者マーク・ボウデンにキャラクター名を変えるように圧力を掛けていた。その結果、役名が「ジョン・グライムズ」と変わっている。
ボウデンの自著では「変わった男だった。獣や狂人のように踊り回り戦っていた。」と名指しで描写されていた[8]。
装備の質でも将兵の錬度でもアイディード派民兵を上回り、劇中前半にてアイディード派の要人の身柄確保に成功したはずのアメリカ陸軍が、形勢が悪くなった背景も描写されている。「短時間で終わるはずの作戦が、長時間に及ぶ泥沼の市街地戦へと化した」展開について、劇中では「アメリカ陸軍内に、白昼の内に攻撃を仕掛けるのが危険だと訴える者がいるが、作戦が実行に移される」と、「アメリカ陸軍が駐屯基地から出撃する様子をアイディード派民兵が遠巻きに監視しており、携帯電話で仲間に連絡をする」というシーンがあり、数ではそれなりの規模を有する民兵側がアメリカ陸軍に対して素早くかつ的確に動いて苦戦を強いるに至った理由付けがされている。
劇中の米軍兵士のヘルメットには、その兵士の名前が書かれているが、当時も現在もアメリカ軍ではそのようなことを行っていない。その事実を指摘されつつもリドリー・スコットは、装備がほぼ同じで顔が隠れるヘルメットをかぶっている各兵士たちキャラクターを観客が見分けられやすいよう、ヘルメットに名前を書かせた。
特に映画冒頭、レンジャー部隊とデルタフォースの確執が描かれているが、実際にはデルタの隊員にはレンジャー出身の者も多く、そこまで大きな確執はなかった。
作中では、命中したものを含めヘリに対してはRPG-7が数発発射されたところしか描かれていないが、実際にはもっと大量のRPGが空中に向かって放たれていた。移動するヘリに、対空用途を想定していない無誘導のRPG-7を命中させるのは困難であり、「大量に撃たれていたRPGが、不運にも2機のブラックホークにまぐれ当たりした」のが実情である。
脚注[脚注の使い方]^ a b c “Black Hawk Down (2001)” (英語). Box Office Mojo. 2010年4月8日閲覧。
^ “ ⇒日本映画産業統計 過去興行収入上位作品(興収10億円以上番組)2002年(1月-12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2010年4月8日閲覧。
^ ブラックホーク・ダウン TV吹替初収録特別版 4K Ultra HD+ブルーレイ <初回限定生産>パラマウント映画日本語版公式ホームページ
^ “Black Hawk Down”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年7月13日閲覧。
^ “Black Hawk Down Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年7月13日閲覧。
^ Army Chief Warrant Officer Aaron A. Weaver
^ “ ⇒U.S. v. John H. Stebbins” (PDF) (英語) (2005年8月30日). 2011年2月24日閲覧。