ブラジル
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1908年に最初の本格的な集団移民、いわゆる「笠戸丸移民」が到着して以降、第一次世界大戦期や第二次世界大戦を経て、1950年代に日本政府の後援による移民が停止されるまでにブラジルに渡った日本人移民の子孫は5世、6世の世代になり、サンパウロの世界最大級の日本人街リベルダージ」を中心に、海外で最大の日系人社会(約200万人[25][26][27][28][29])を持つなどブラジル社会に完全に溶け込んでいる。

1923年から1940年まで、五島出身のドミンゴス中村長八神父が初の海外派遣日本人宣教師として、サンパウロ州マットグロッソ州パラナ州、そしてミナスジェライス州南部の計4州で活躍した。「生ける聖人」と呼ばれており、現在、列福調査が進められている[30]

日系ブラジル人は政治や経済などで、高い地位に就くものも多いほか、特に長年の農業における高い貢献は非常に高い評価を得ている。2007年2月には、2世のジュンイチ・サイトウ空軍大将が空軍総司令官に任命され、ブラジル軍の最高位ポストに就いた初の日系人となった[31]

また、1950年代以降、日本の高度経済成長期にかけて東芝トヨタ自動車東京海上日動コマツヤクルト本社日本航空など、重工業から金融、サービス業や運送業に至るまで、さまざまな業種の日本企業がサンパウロを中心に2018年時点で500社以上進出しており[32]、世界でも有数の規模の日本人学校サンパウロ日本人学校など、ブラジル国内に複数の日本人学校があるほか、日本においてもブラジルの音楽やスポーツ、料理などの文化が広く親しまれており、また、両国間の人的交流が活発にあるなどその関係は非常に深いものがある。在留邦人は約5万人(2018年)、在日ブラジル人は約20万人(2019年、法務省)である。

1962年に両国による合弁事業であるウジミナス製鉄所へのODAによる融資を行って以降、電気や港湾、衛生設備など、各種インフラの充実を中心としたODAが継続的に行われている。しかしながら、ブラジルが工業国であり比較的インフラが整っていることから、近年はインフラでも環境、衛生関係の技術的要素に特化されたものとなっている。日本人学校めぐみ学園などがある。
国家安全保障サルヴァドール・ダ・バイーアでのパレードブラジリアブラジル軍空母サン・パウロ詳細は「ブラジル軍」を参照

1889年の共和制革命で主要な役割を果たしたことがおもな理由となり、軍は伝統的に政治に強い影響力を持ち、1920年代ごろから「テネンチズモ」(テネンテ=中尉から転じて青年将校を指す)と呼ばれる、革新的な青年将校が強い影響力を持って政治を進めようとする傾向が生まれ、ヴァルガス体制の設立にも協力した。その後1964年から1985年まで軍政下にあったこともあり、民政移管に際しても大きな影響力を政界に残した。そのため、かつて軍は「ブラジル最大の野党」と呼ばれていた。

また、ブラジルは第一次世界大戦第二次世界大戦ともに連合国側で参戦し、第二次世界大戦に連合国として参戦した際には、ラテンアメリカで唯一陸軍をヨーロッパ戦線(イタリア戦線)に派遣した(ブラジル遠征軍)。その後、1965年のドミニカ共和国の内戦の治安維持に派遣され、アメリカ合衆国主導による、ボッシュ派社会改革政権崩壊への積極的な協力を行った。

1982年フォークランド紛争の敗北によってアルゼンチンの軍事政権が崩壊した後は、長らく最大の仮想敵国と見ていたアルゼンチンとの融和政策が実現し、それまで続いていた軍拡競争が終わったために現在は周辺諸国との軍事的緊張関係はなくなった。ただし、国土が広大で人口も多いために、依然として南アメリカで最大規模の軍事力を保持する。

12か月の徴兵制を敷いており、総兵力は約32万人ほどである。陸軍海軍空軍三軍が存在する。軍事政権期には核開発計画を進めていたが、1988年にアルゼンチンとともに核計画の放棄を宣言した。

近年は国連PKOに積極的に派遣されている。また、各種軍用機や軍用車両の国産化が進んでおり、特にブラジルの航空機産業の基盤を生かした一部の軍用機は自国や南アメリカの周辺国のみならず、ヨーロッパや中東諸国、オセアニアにも輸出されている。

俸給と軍人年金の支払いだけで各軍の予算は圧迫されており、装備の維持と更新に必要とされる予算は不足している。陸軍の全保有車両の78%は運用開始から34年以上が経過しており、一部のトラックは第二次世界大戦中に使用されたものもあるとされる。火砲の大半も第二次世界大戦時のものだとしている。1437両の装甲戦闘車両のうち42%から70%は使用不能で、6,676両の車両のうち40%は使用不能である。弾薬は必要量のわずか15%しかない。海軍も同様に困難に直面している。海軍は7,000キロを越す海岸線を警備するために21隻の水上艦艇しか保有しておらず、しかも可動状態なのは10隻程度のみで、そのうちの多くは制限つきで運用されている。5隻ある潜水艦のうち完全な可動状態は1隻のみで、ほかに2隻が制限つきで運用されている。海軍航空隊の58機のヘリコプターのうち、27機(46%)も作戦不能状態にある。空軍保有の航空機のうち満足に使用できるのは267機のみで、残る452機は予備部品不足と整備不良で飛行不能とされる。この問題を悪化させている要因として、保有航空機の60%が運用20年経過、もしくはそれ以上の老朽機であるためとされる。

近年の軍事費の対GDP比は1.5%程度で推移している[33]が、その広大な国土と多数の人口規模に比して、2009年の予算総額は297億ドルと圧倒的に少ない。2011年の予算は354億ドルとなり、若干の微増になってはいるものの、装備の近代化はまったく進んでいないのが実情である。
陸軍詳細は「ブラジル陸軍」を参照

兵力19万人を擁する。PKOのため、ハイチに展開している。
海軍詳細は「ブラジル海軍」を参照

兵力6万7,000人を擁する。長らくラテンアメリカで唯一の空母を保有する海軍であったが、財政事情などから唯一の空母「サン・パウロ」の近代化改修を諦め[34]、2017年2月に同艦を退役させた[35]。2007年、原子力潜水艦建造計画が持ち上がり、フランスの技術援助を受けて、2020年を目処に原子力潜水艦の配備を計画している。
空軍詳細は「ブラジル空軍」を参照

兵力7万700人を擁する。主要装備はイタリアと共同開発した亜音速ジェット軽攻撃機AMXや、双発ターボプロップ機のエンブラエル EMB 110など。2007年2月、日系2世のジュンイチ・サイトウ大将が空軍総司令官に任命された。
地理アマゾン川サンタカタリーナ州サン・ジョアキンの雪ブラジルの地形図詳細は「ブラジルの地理(ポルトガル語版、英語版)」および「ブラジル大断崖」を参照

国土は、流域を含めると705万km2及ぶアマゾン川と、その南に広がるブラジル高原に分けられるが、広大な国土を持つだけにさまざまな地形があり、北部は赤道が通る熱帯雨林気候で、大河アマゾン川が流れる。近年、環境破壊によるアマゾン川流域の砂漠化が問題となっている。

最高峰はベネズエラとの国境近く、北部ギアナ高地にあるピッコ・ダ・ネブリーナ山で、標高3,014メートルである。熱帯には「セハード」と呼ばれる広大な草原が広がり、エマス国立公園も含まれている。また、北東部は、沿岸部では大西洋岸森林が、内陸部では乾燥したセフタン(ポルトガル語版、英語版)が広がり、セフタンはしばしば旱魃に悩まされてきた。

南西部のパラグアイ、アルゼンチンとの国境付近には有名なイグアスの滝のある、ラ・プラタ川水系の大河パラナ川が流れる。ほかにネグロ川サン・フランシスコ川シングー川マデイラ川タパジョス川がある。


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