1983年には『暗黒街の顔役』のリメイクであるアル・パチーノ主演作『スカーフェイス』を製作。現在では高い評価を受けている作品だが[2]、当時は酷評されスランプに陥る[3]。この時期には、ドアーズのジム・モリソンの生涯に触発されたストーリーの『Fire』が撮影直前にキャンセルされるという悲劇にも見舞われる。しかし、アル・カポネとエリオット・ネスの闘いを描いたテレビシリーズを映画化した1987年の『アンタッチャブル』がヒットし復活を遂げる[3]。この作品でショーン・コネリーはアカデミー助演男優賞を受賞した。
1990年、トム・ウルフのベストセラー小説の映画化『虚栄のかがり火』が興行的に失敗[4]。それ以降は大味な大作を監督することが増え、1993年の『カリートの道』と1996年のテレビシリーズ『スパイ大作戦』の映画化『ミッション:インポッシブル』を除くとヒットに恵まれなくなる。2000年の火星を舞台にしたSF『ミッション・トゥ・マーズ』が酷評の嵐に見舞われ[5]、ハリウッドから干される。
2007年、イラク戦争で起きた米兵によるイラク人少女レイプ事件を描いた『リダクテッド 真実の価値』を制作し賛否両論を巻き起こした[6]。
2015年にはノア・バームバックとジェイク・パルトローの共同監督による、デ・パルマを題材としたドキュメンタリー映画『デ・パルマ』が公開された。 フィルムスクール出身のいわゆるニューハリウッド世代の代表的な映画監督のひとりに数えられるが、一方で作品の出来不出来が激しいと評価されている。さまざまなジャンルの映画を手がけているが、代表作と呼ばれるものの多くはサイコスリラーとアクション映画である。また、デ・パルマ作品の暴力的な内容はしばしば観客や評論家の非難の的となり、論争を繰り広げてきた。 アルフレッド・ヒッチコックに強い影響を受けていることで知られ、作品にはヒッチコック映画を模したシーンが散見される。その他、オーソン・ウェルズ(『Get to Know Your Rabbit』に出演)、ジャン=リュック・ゴダール、ミケランジェロ・アントニオーニ、アンディ・ウォーホル、メイスルズ兄弟などにも影響を受けている。 分割画面(スプリットスクリーン)[7]や、長回し、スローモーション、目線アングルなどを使用し凝った画作りを行い、デ・パルマカットと呼ばれる独特な映像が注目され、熱狂的なファンがいることでも有名である。 自身が徴兵忌避者であることから反戦映画をいくつか手がけている。デ・パルマの作品において兵士の多くは、少女を強姦する(『カジュアリティーズ』『リダクテッド 真実の価値』)、意味もなくビルを爆破する(『ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン/BLUE MANHATAN1・哀愁の摩天楼』)など、モラルに欠けた人間として描かれることが多い。 俳優のチャールズ・ダーニング、デニス・フランツ、マイク・スター、グレッグ・ヘンリー、撮影監督のヴィルモス・スィグモンド、スティーヴン・H・ブラム、プロダクション・デザイナーのジャック・フィスク、作曲家のバーナード・ハーマン、ピノ・ドナッジオ、エンニオ・モリコーネとよく組む。 クエンティン・タランティーノが初めて夢中になった監督にデ・パルマの名前をあげている。
作風・評価
おもな監督作品
映画
Icarus(1960)
660124 The Story of an IBM Card(1961)
Wotons Wake(1962)
Jennifer(1964)
Bridge That Gap(1965)
Show Me a Strong Town and I'll Show You a Strong Bank(1966)
The Responsive Eye(1966)
Murder a la Mod(1968)
ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン/BLUE MANHATAN2・黄昏のニューヨーク Greetings(1968)
御婚礼/ザ・ウェディング・パーティ
Dionysus(1970)
ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン/BLUE MANHATAN1・哀愁の摩天楼 Hi, Mom!(1970)
汝のウサギを知れ Get to Know Your Rabbit(1972) - ザ・シネマで2021年放送
悪魔のシスター Sisters(1972)
ファントム・オブ・パラダイス Phantom of the Paradise(1974)
愛のメモリー Obsession(1976)
キャリー Carrie(1976)
フューリー The Fury(1978)
悪夢のファミリー The Home Movies(1978)
殺しのドレス Dressed to Kill(1980)
ミッドナイトクロス Blow Out(1981)
スカーフェイス Scarface(1983)
ボディ・ダブル Body Double(1984)
Wise Guys(1986)
アンタッチャブル The Untouchables(1987)
カジュアリティーズ Casualties of War(1989)
虚栄のかがり火 The Bonfire of the Vanities(1990)
レイジング・ケイン Raising Cain(1992)
カリートの道 Carlito's Way(1993)
ミッション:インポッシブル Mission: Impossible(1996)
スネーク・アイズ Snake Eyes(1998)
ミッション・トゥ・マーズ Mission to Mars(2000)
ファム・ファタール Femme Fatale(2002)
ブラック・ダリア The Black Dahlia(2006)
リダクテッド 真実の価値 Redacted(2007)