ブタジエン
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1つめの合成法はセルゲイ・レベデフにより発見されたもので、エタノールを金属触媒下で高温に加熱してブタジエンと水素へと変換するものである[5]。 2 CH 3 CH 2 OH ⟶ CH 2 = CH − CH = CH 2   + 2 H 2 O   + H 2 {\displaystyle {\ce {2CH3CH2OH -> CH2=CH-CH=CH2\ + 2H2O\ + H2}}}

このプロセスは第二次世界大戦中、および戦後のソビエト連邦の合成ゴム製造の中心となった方法であり、2006年現在でもわずかながらロシアや東ヨーロッパでプラントが稼働している。

もう一つの方法はロシアの化学者イヴァン・オストロミスレンキー(英語版)により発見された方法であり、エタノールを酸化しアセトアルデヒドとした後に、タンタル / 二酸化ケイ素触媒下でエタノールを加え325?350 °Cに加熱することでブタジエンを得るというものである。 CH 3 CH 2 OH   + CH 3 CHO ⟶ CH 2 = CH − CH = CH 2   + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {CH3CH2OH\ + CH3CHO -> CH2=CH-CH=CH2\ + 2H2O}}}

このプロセスは第二次世界大戦中のアメリカの合成ゴム製造の中心となった方法であり、2006年現在でも中国やインドで用いられている。
利用

ほとんどのブタジエンは合成ゴム合成に用いられる。ポリブタジエンは液体といっても差支えない程に柔らかいが、ブタジエンとスチレン、またはアクリロニトリルとを混合して重合させたスチレン・ブタジエンゴムニトリル・ブタジエンゴムはどちらも硬さと伸縮性を備え持っている。スチレン・ブタジエンゴムは自動車のタイヤの素材として多用されている。また家電製品や雑貨に広く用いられるプラスチックであるABS樹脂の主原料の1つでもある。

他にもナイロン合成の前駆体であるアジポニトリルの合成や、クロロプレンゴムの前駆体であるクロロプレン溶媒であるスルホラン、合成中間体として重要な1,4-ブタンジオールの合成などに用いられている。また三量化によるシクロドデカトリエンの工業的製造にも用いられている。
参考文献^ Caventou, E. (1863), Annalen der Chemie und Pharmacie 127, 93.
^ Armstrong, H.E. Miller, A.K. (1886). "The decomposition and genesis of hydrocarbons at high temperatures. I. The products of the manufacture of gas from petroleum." Journal of the Chemical Society 49, 80.
^ Sun, H.P. Wristers, J.P. (1992). Butadiene. In J.I. Kroschwitz (Ed.), Encyclopedia of Chemical Technology, 4th ed., vol. 4, pp. 663–690. New York: John Wiley & Sons.
^ Beychok, M.R. and Brack, W.J., "First Postwar Butadiene Plant", Petroleum Refiner, June 1957.
^ Kirshenbaum, I. (1978). Butadiene. In M. Grayson (Ed.), Encyclopedia of Chemical Technology, 3rd ed., vol. 4, pp. 313–337. New York: John Wiley & Sons.

関連項目

C4H6 - 異性体。

シクロブタジエン

ゴム

ジエン

ウッドワード則

外部リンク

National Pollutant Inventory - 1,3-Butadiene

『ブタジエン』 - コトバンク


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