フローンの気候区分
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4PW亜熱帯冬雨帯Cs半湿潤冬に雨、一部に春雨秋雨
5WW湿潤温帯CfaCfb、一部Cw湿潤各季節に降水
6aWE(EW)冷帯[注 10]DfDw亜氷雪夏に雨、冬に雪
6亜寒帯[注 11]ET-通年で降水量は少ない
7EE高極帯[注 12]EF通年で少量の降雪

上記以外にもいくつかの特徴がある。3(PP)と4(PW)は大陸の東岸には発達しない(存在しない)気候帯である[4][8]。その理由をフローンは「亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)が高層においてモンスーントラフが侵入するため」としている[11]。5(WW)と6a(WE/EW)の違いは、冬に積雪があるか否か(あれば6a)である[7]。さらに、6a(WE/EW)は北半球大陸上にのみ発達する[8]

フローンは以上のように気候区分を設定したが、フローン自身は気候帯の分布を図1のような仮想大陸上に模式的に示したにとどまり、現実の世界地図上で表現することはなかった[11]
クプファーの気候地域クプファーが示した気候区分図
凡例は本文を参照。

フローンが示さなかった世界の気候帯の地図は、1954年にクプファー(E. Kupfer)の手によって初めて表現された[11]。クプファーは夏と冬(1月と7月)の大気大循環を前提として1月と7月の恒常風(惑星風)の分布図を作成、それを重ね合わせることで気候地域区分図を描き上げた[11]。これが図2に示した図である。

クプファーの設定した気候帯は以下の通りである[12]

1.寒帯気候帯(EE):■(紫色

2.亜寒帯気候帯(WE/EW):■(

惑星的前線帯気候帯[注 13](WW)

3.(以下の3種類からなる):■(水色

海洋性気候(S)[注 14]

大陸性気候(L)[注 15]

SとLの間の移行気候(U)[注 16]


4.夏湿潤東岸気候:■(濃緑色


亜熱帯気候帯(PW)

5.ある程度の冬雨:■(黄緑色

6.弱い春雨(内陸型):■(若草色)


貿易風気候帯(PP)

7.湿潤東岸:■(桃色

8.乾燥西岸・内陸:■(黄色


熱帯気候帯(TTとTP)

9.恒常的湿潤(常緑原始林):■(

10.周期的湿潤(高日季が雨季):■(橙色

クプファーは上記の10気候帯に加え、特殊の高地気候(H)を設定し、ヒマラヤ山脈アンデス山脈が該当するとした[12](ただし、図2には表示していない)。

図2の中にはアフリカ大陸の気候帯8(■:黄色)と10(■:橙色)のように、気候帯の境界が複雑に入り組んだ地域がみられる。これは偏西風帯の北限および南限がその時その時の諸条件で南北に変動するため、1本の境界線が引けず「境界帯」となっているためである[14]

成因に着目した気候区分には、必ずしも現実の気候と一致しないという大きな欠点がある[15]。この場合、気候帯10(■:橙色)に世界最多雨地域のインドアッサム州砂漠地帯のソマリアがどちらも属するという問題が発生する[1]。各々の気候区分にはどれも利点と欠点が存在し、目的や適用地域に応じて使い分けることが必要である[16]
脚注
注釈
^ 貿易風が北半球から南半球、あるいはその逆方向に向かって吹く際に、コリオリの力(転向力)によって曲げられることによって生じる風[1]
^ 極風・極偏東風とも。
^ 仁科淳司『やさしい気候学』による[1]。厳密には8か月以上[7]
^ 無風帯を含む[4]
^ 仁科淳司『やさしい気候学』による[1]。厳密には8か月以下[7]
^ 無風帯を含む[4]
^ 仁科淳司『やさしい気候学』および福井英一郎『気候学概論』による[1][8]。吉野正敏『気候学』および矢澤大二『気候地域論考』では夏に極東風、冬に偏西風に支配される地域(EW)としている[4][9]
^ 「内部熱帯」ともいう[5]
^ 「外部熱帯」ともいう[5]
^ 「ボレアル帯」ともいう[5]
^ 「亜極帯」ともいう[5]
^ 「極帯」ともいう[5]
^ 「汎地球的前線帯気候帯」ともいう[13]。偏西風の卓越する気候帯ではあるが中緯度以外では地表まで偏西風の影響は及ばず、高層のみ影響する[13]


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