ムーアは共作者キャンベルの貢献を高く評価しており、一見ラフな描線によって人間の感覚的な経験を自然に写し取る作風が題材に合っていたという[107][117]。ムーアによると、本書で描かれるのは扇情的なホラーコミックの世界ではなく、日常と地続きだと信じられるリアルな世界である[107]。感情に訴えず、平静な視点からの描写に徹するのはキャンベルのモットーでもあった[124]。読者に恐怖を与えるべきシーンでも、キャンベルは大げさな視覚的演出を用いず、事実を事務的に伝えるかのように描写する。「それがありふれた行為だという感覚」は、残虐行為の恐ろしさをはるかに純粋に感じさせることになる[117]。 『フロム・ヘル』はアイズナー賞を複数回受賞している。部門は最優秀定期刊行作品(1993年)、最優秀原作者(1995年、1996年、1997年)、最優秀グラフィック・アルバム(再刊)(2000年)である。コミックブックシリーズは1995年にハーヴェイ賞と国際ホラーギルド賞 ファンや批評家の間では『ウォッチメン』などと並んでアラン・ムーアの代表作とみなされており[39][137][179]、最高傑作に挙げられることも多い[93][180][181][182]。『コミックス・ジャーナル』誌は本作をムーアの「もっとも完成され、もっとも野心的な」作品と呼んだ[142]。 アメリカのコミック界では、本作がコミックメディアによる表現を大きく広げたという評価がある。研究者チャールズ・ハットフィールドらは[183]、「グラフィックノベルの可能性を示すプロトタイプとなった」「誰もが知るランドマーク的作品」と述べ、2000年前後を代表する傑作だとした[184]。グレッグ・カーペンターは本作が「コミックメディアに限界がないことを示した」と書いている[180]。ベン・ディクソンは「コミックメディアを定義する作品の一つ」と呼んだ[185]。ウェブマガジン『スレート
社会的評価
受賞
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