フランス
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フランス本国はドイツによって北部、のちに全土が占領された[39]。一方でシャルル・ド・ゴール率いる自由フランス連合国につき、連合国軍による北仏ノルマンディー上陸作戦の成功により、1944年にフランス共和国臨時政府が帰還して全土を奪還した。

戦後、1946年にフランス第四共和政が成立した。フランスは冷戦構造のなかで自由主義陣営(西側)に属し、北大西洋条約機構(NATO)の原加盟国となる一方、1951年に欧州石炭鉄鋼共同体西ドイツやイタリア、ベネルクス三国と結成。1957年には欧州経済共同体が発足するなど欧州統合に参加した。一方で植民地帝国は崩壊しつつあった。インドシナの支配権を回復するため臨んだ第一次インドシナ戦争では、1954年ディエンビエンフーの戦いベトミンに大敗を喫し、同年7月にはジュネーヴ協定によってインドシナからの撤退を余儀なくされた。さらにアルジェリア戦争が泥沼化し、アルジェリア植民地の維持の是非と、植民者の帰還[40]をめぐって国論が割れ、内戦になりかけた。これを収拾するため、1958年、ド・ゴールが首相に就任し、1959年には強力な大統領権限を含んだ第五共和政が成立した[41]

第五共和政の初代大統領となったド・ゴールは、国内の統一を維持しながら戦争終結へ踏み出した。1958年10月2日ギニア独立を嚆矢として、「アフリカの年」と呼ばれた1960年にほぼ全てのアフリカ植民地が独立した。1962年にアルジェリア戦争の和平交渉を妥結し、アルジェリアは独立した[42]。外交面では、ド・ゴールはヨーロッパの自主性を主張してアメリカと距離を置いた独自路線をとった。その米ソと並ぶ第三極を目指した政治姿勢はド・ゴール主義と呼ばれ、核兵器保有もその一環である。1960年にはトゥアレグが居住するサハラ砂漠核実験を強行した。1966年、フランスは北大西洋条約機構(NATO)を正式脱退した[43]。2009年、フランスはNATOに再加盟し[7][8][9]、NATO全体では英語とフランス語が公用語となっている[3][4][44]

2022年フランス大統領選挙ではエマニュエル・マクロンが大統領に再選された[45]
政治大統領 エマニュエル・マクロン首相 ガブリエル・アタル詳細は「フランス共和国憲法」、「フランス政府」、「フランス第五共和政」、「フランス法」、および「大陸法」を参照詳細は「フランスの政治(英語版)」を参照

1958年10月にフランスの憲法が制定され、半大統領制の共和制となった。

直接選挙で選ばれる大統領(任期5年、2002年以前は7年)には、シャルル・ド・ゴールの時から首相の任免権や議会の解散権など強力な権限が与えられている。これは、立法府である議会より行政権の方が強い体制である。「共和国大統領 (フランス)」および「フランスの大統領」も参照

また、大統領が任命するフランスの首相は、大統領にも議会にも責任を負っており、ともに行政権を持つ(半大統領制)。このため、大統領の所属政党と議会の多数派勢力が異なる場合、大統領自身が所属していない議会多数派の人物を首相に任命することがある。この状態をコアビタシオンと呼ぶ。こうした場合、大統領が外交を、首相が内政を担当するのが慣例となっているが、両者が対立し政権が不安定になることもある。

議会は二院制を採用し、上院にあたる元老院と、下院にあたる国民議会がある。元老院は間接選挙で選出され、任期は6年で3年ごとに半数を改選される。国民議会は直接選挙で選出され、投票に際して小選挙区制二回投票制が定められている。優先権は国民議会にあり、元老院は諮問機関としての色彩が強い。「国会 (フランス)」も参照

主要なフランスの政党としては、再生(中道)、共和党(中道右派)、国民連合(極右)、社会党(中道左派)、労働者の闘争(極左)がある。

歴史ある中央集権官僚主義はフランスの政治体制を代表してきた。スウェーデンには遠く及ばないが、労働人口に対する公務員の比率は21.6%に達する[46]。世界でも屈指の強固さを持つ官僚主義に裏打ちされたその社会構造は、しばしば批判的な意味をこめて「官僚天国」「役人王国」などと形容される[47]

地方政治の現場においては、市町村長職こそフランス国籍保有者に限定されているが、市町村議員に関しては欧州連合諸国の出身者に地方議員の被選挙権を認めている。2020年1月時点で、約50万人いる地方議員うち外国人議員数は2500人近くとなっていた。しかし一方で2020年2月にイギリスの欧州連合離脱があり、フランス国内で活動してきたイギリス人議員が被選挙権を喪失。その数は約3分の1に相当する757人にのぼった[48]
国際関係詳細は「フランスの国際関係(英語版)」を参照

フランスは国際連合の原加盟国であり、国際連合安全保障理事会常任理事国の一国である。多くの国際機関の加盟国でもあり、G7北大西洋条約機構(NATO)、経済協力開発機構(OECD)、世界貿易機関(WTO)、フランコフォニー国際機関がこれに該当する。また、欧州連合原加盟国かつ指導国でもある。

第二次世界大戦でフランスは本国を一時喪失し、自由フランスは英米の庇護・支援を得て母国を奪還したが、当時から独自の外交を志向する傾向があった。第五共和制成立後も冷戦構造のなかでフランスの影響力を保つため、ソビエト連邦と提携したり、NATOの軍事機構から脱退したり、1973年から フランス・アフリカ首脳会議 を主催したりしている。フランスは2003年、アメリカが主導するイラク戦争に終始反対した。

近隣諸国では、ベルギーと密接な関係があり、ベルギー南部はフランス語共同体となっている。

ナチス・ドイツの崩壊後に成立した西ドイツとは戦後和解し、ともに欧州統合の旗手となった。(独仏関係も参照)冷戦終結後は欧州統合を深化し、欧州連合(EU)の主要国として存在感を高めている。ドイツとは1999年1月の通貨ユーロ導入を含む欧州統合に中心的役割を果たしてきた。


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