フランケンシュタイン対地底怪獣
[Wikipedia|▼Menu]
その知能は低く行動を予測できないため、始末に困ったボーエンらは鉄格子付きの特別室で巨人の手首を鎖でつなぎ、「飼育」することとなる。季子は巨人を「坊や」と呼んで愛情を寄せる。

一方、秋田油田の技師になっていた河井は、油田を襲った地震の最中に巨大な怪獣らしきものを目撃する。それは、中生代の終わりに地下へ潜って大絶滅を切り抜けた巨大爬虫類バラゴンであった。同時に河井は国際放射線医学研究所のニュースを聞き、巨人が敗戦直前に日本に運ばれたもの、すなわち「フランケンシュタイン」の不死の心臓が人間の形を取ったものではないかとの思いを強め、ボーエンのもとを訪ねる。河井の打ち明けた話を受けて川地博士はドイツ・フランクフルトへ飛び、リーゼンドルフ博士から「もしそれがフランケンシュタインなら、手首でもどこでも、身体の一部を切り落とせばよい、フランケンシュタインならまたその部分が再生されるはずだ」との助言を受ける。

巨人へ成長した「坊や」はマスコミの格好の題材となり、取材が殺到することとなる。ちょうどそのころ、帰国した川地は「坊や」の手を切り落とすことを決意して特別室へ向かうが、そこに取材許可を受けたテレビ局のスタッフが現れる。川地は「興奮するから光を当てないで」と指示するが、テレビスタッフが横暴に無視して鉄格子の中に照明を向けたため、「坊や」は興奮して暴れ出し、研究所を脱走する。破壊された特別室の中には手かせで千切れた左手首が見つかり、それがタンパク質を求めて床をはい回る姿から、「坊や」が「フランケンシュタイン」であることが判明する。

脱走したフランケンシュタインは、闇にまぎれて広島から岡山姫路琵琶湖を経て東へ逃走し、故郷のドイツに気候が近い、日本アルプス周辺にまで北上する。一方、バラゴンは白根山近辺で人畜を捕食していたが、地底を移動するうえに目撃者をすべて喰い殺すバラゴンの存在は認知されず、世間はフランケンシュタインが人間を襲い、喰っているのではないかと疑い始める。こうして自衛隊の出動などの強硬策が実施され、石切現場でフランケンシュタインが発見されたことから、政府は一連の事件が彼の仕業であると断定し、葬り去ることを決議する。ボーエンらも「手首」というサンプルが手に入ったため、強く反対はできない。

こうして白根山麓へ自衛隊特車部隊が向かったころ、研究所では培養液から抜け出た「手首」が死んでいるのが見つかり、ボーエンらはフランケンシュタイン本人の飼育を再考せざるを得なくなる。また、河井が秋田油田で目撃した発光体(バラゴンの角)の目撃証言や石切現場での同様の現象を基に、あくまでフランケンシュタインの潔白を信じて疑惑を晴らそうとするボーエンらは、食料の投下でこれを納めようと努力を続ける。日本アルプスの樹海へ入ったボーエンと季子に、川地は最終手段としてフランケンシュタインの唯一の弱点である目を照明弾で無力化させることを提案するが、川地の投げた照明弾の光に反応し、地底から真犯人であるバラゴンが現われ、ボーエンらに迫る。フランケンシュタインは絶体絶命のボーエンらを救おうと、バラゴンの前に立ち塞がる。
結末のバリエーション

本作品には2種類の異なる結末が存在している[10][22]

バラゴンを倒して死体を投げ棄てたあと、フランケンシュタインが地割れに呑み込まれるもの(劇場公開時のもので、いわゆるオリジナル版)[27][10][注釈 4]

バラゴンを倒した後に大ダコが出現する場面が追加されたもの(大ダコ出現版)[27][10]

「大ダコ出現版」は、もともと海外版として別撮りされていたものであり[出典 11]、脚本も別途制作されていた[31]。これは企画時にベネディクト側により提案されていたフランケンシュタインとタコの怪物が対決する『フランケンシュタイン対ジャイアント・デビルフィッシュ』という企画に基づいたものであり[注釈 5]、海外で好評であった『キングコング対ゴジラ』でのキングコングと大ダコの対決シーンの再現を意図していた[22][29]。しかし、「大ダコ出現版」はベネディクト側の判断により使用されず、海外版もオリジナルと同じ結末となり、大ダコ出現版は公開から数年後のテレビ放映で初めて公開された[出典 12]。1992年には、テアトル池袋にて開催された上映イベント「東宝特撮映画全史」にて「大ダコ出現版」が初めて劇場上映された[32]

当初はビデオなどでも「大ダコ出現版」が使用され、オリジナル版の方が幻の存在となりつつあったが、1991年VHSビデオやLDにて2種類のバージョンが視聴できることとなった[27]。本作品の4Kリマスター化を担当した清水俊文によると、2022年時点では編集によって「大ダコ出現版」の結末でネガが保存されており、オリジナル版は「旧国内版」として別に保管されている[33]。2022年6月に日本映画専門チャンネルで初放映された「4Kリマスター版」については、オリジナル版の復元と4Kリマスター化の作業が行われ、これが使用された[33]

この「大ダコ出現版」は長らく「海外版」として紹介されていた[出典 13]

別撮りとなった理由について、監督の本多猪四郎や特技監督の円谷英二は、国内での封切りに間に合わないためであったと証言している[29][注釈 6]

大ダコ出現版は特撮だけでなく、人物が描かれる本編も撮り直されている。なお、大ダコ出現シーンに流れるBGMは『キングコング対ゴジラ』での、大ダコ出現シーンの曲をそのまま使用している[38]

「大ダコ追加バージョン」と「オリジナルバージョン」では、フランケンシュタインがバラゴンの絶命を確認する方法が違っている。前者は「バラゴンの死骸を軽く蹴ってみる」という方法だが、後者は「バラゴンの首をつかんで顔を近づけ、息をしているか確かめる」という方法だった。

次作『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』でのガイラと大ダコの対決シーンは、本作品での「大ダコ出現版」を仕切り直したものとされる[22]
登場怪獣
フランケンシュタイン

諸元フランケンシュタイン


FRANKENSTEIN'S MONSTER
[39]

FRANKENSTEIN[出典 14]

別名

改造巨人[出典 15]

人造人間[出典 16]

[注釈 7]

身長20 m[出典 17](最大時[31][注釈 8]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:299 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef